最近の曲はイントロがない。その背景と未来の可能性

音楽の話

こちらはThreadsに投稿した下記の内容を掘り下げた記事です。

投稿者: @hirosada_yoshida
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音楽とその消費の仕方は時代と共に進化し続け今日に至ります。

かつては、音楽を楽しむためには、レコードやCDを購入し、家に帰ってから部屋のコンポなどで聴くというプロセスが一般的でした。

しかし、サブスクリプション、ストリーミングサービスの台頭により、このような手間が必要なくなったのは言うまでもありません。

この変化が、曲の構造、特にイントロの有無にどのように影響しているのかを考察し、現代の音楽文化とその将来について深く掘り下げます。

古き良き時代の音楽体験

かつて音楽を聴くことは、単に曲を楽しむだけではなく、その過程自体が一種のイベントでした。

CDの発売日には家族で店に出かけ、新しいアルバムを手に入れることが特別な体験でその一つ一つが思い出となっている方もいるかと思います。

このプロセスには、選択、購入、そして実際に音楽を聴くまでの期待感という、3つの重要な段階があり

それが音楽を聴くまでの儀式となっており、今思い返せば不便である事極まりないのですが
その過程自体が楽しみの一部となっていました。

テクノロジーによる変化

サブスクリプションやストリーミングサービスの普及により、音楽を聴くまでのプロセスは劇的に楽になりました。

一曲を聴くためには、わずかなクリックやタップだけで済むようになり、我々はわずかな月額を払うだけで無数の音楽にアクセスできるようになったのです。

この変化は、音楽に対する期待感や特別感を薄れさせ、消費の仕方に大きな変化をもたらしました。

また、インターネットの無限の選択肢の中で、音楽は他の多くのコンテンツと競争するようになり、より刺激的で瞬間的な満足を求める傾向が強まっています。

イントロの役割と現代の傾向

イントロは、リスナーを曲の世界へと誘う重要な役割を果たしてきました。

久保田早紀さんの「異邦人」
クリスタスキングの「大都会」
B’zの「LOVE PHANTOM」
宇多田ヒカルさんの「Traveling」
など
名イントロを持つ楽曲は挙げれば枚挙にいとまがありません。

しかし、瞬間的な満足を求める現代の傾向の中で、イントロの長さは短くなるか、完全に省略されることが多くなっています。

特に、TikTokなどのプラットフォームで人気を博する曲は、即座に注目を集め、リスナーを引き込む必要があります。

このような変化は、音楽制作のアプローチにも影響を及ぼし、より短く、直接的な曲が好まれるようになっています。

音楽の質とイントロの有無

しかしながらイントロの有無は、曲の質とは直接関係が無いと筆者は考えています。

例えば、米津玄師さんの「Lemon」やLiSAさんの「紅蓮華」など、多くのハイクオリティな楽曲は、イントロの有無にかかわらず、後世に残る名曲となる可能性が高いです。

重要なのは、音楽がどのように聴き手の心に響くかであり、そのためにはイントロが必ずしも必要ではないことがあります。

音楽の進化

音楽の世界におけるイントロの有無に関する議論は、しばしば表面的な変化に焦点を当てがちです。

しかし、これは音楽が単にイントロを省略するようになっただけではなく、より根本的な進化の一部であることを見落としています。

今日の音楽制作においては、多様なセクション構成が探求されており

official髭男dism の「Crybaby」
King Gnuの 「逆夢」
YOASOBI の「アイドル」
など

これらの曲は、リスナーに新鮮な聴き心地を提供し、予測不可能な展開で魅了します。

このような進化は、音楽が創造性と革新性の境界を押し広げていることを示しており、アーティストがリスナーの期待を超えるために新しい方法を模索していることを物語っていますし

更にこれらの楽曲がサブスクリプションの視聴ランキングで長期にわたりトップの座に輝いていたことはリスナーのレベルも次のステージに進化している事の証明でもあります。

解放された音楽の表現

イントロが省略されたり、曲の構成が従来のフォーマットから逸脱したりすることは、音楽表現がより自由になった証拠です。

アーティストは、リスナーを驚かせ、感動させるために、従来の枠組みに縛られることなく、自身の音楽的ビジョンを追求しています。

これは、音楽が単にコンテンツの背景の一部ではなく、それ自体が強力な影響力を持つ作品として楽しまれている事でも再確認できます。

音楽文化の未来への期待

音楽の進化は、アーティストとリスナーの間の創造的な対話を促進します。

イントロの有無、曲の構造、さらには音楽がどのように作られ、消費されるかという点においても、常に新しい地平が開かれています。

この進化は、音楽が人間の経験と感情を反映し、強化する手段として、その力を失っていないことを証明しています。

結局のところ、音楽の変化は、アーティストがどのように自らの創造性を表現し、リスナーがどのようにそれを受け入れ、解釈するかに関するものです。

イントロがなくなったのではなく、むしろ音楽はイントロ→Aメロ→Bメロ→サビという画一的なフォーマットから解放され、さまざまな形で進化しているのです。

これは、音楽という芸術形式が持続的に成長し、進化していくことの明確な証です。

リスナーとして、私たちはこの変化を受け入れ、新しい音楽の形式を探求することで、音楽が提供する無限の可能性を体験することができます。

音楽は、常に進化し続ける生きた表現であり、その豊かさと多様性を受け入れる事で私たちの豊かな音楽体験は続いていきます。

プロフィール


吉田寛定
中学時代は吹奏楽に打ち込み14歳でギターに目覚め、高校入学後はバンド活動に明け暮れる。その後音楽の専門学校を卒業。アイドルのバックバンド、レコーディングに参加。商店経営、楽器店勤務、ギターインストラクターを経験。趣味は読書と格闘技観戦。

プロフィール
吉田寛定 中学時代は吹奏楽に打ち込み14歳でギターに目覚め、高校入学後はバンド活動に明け暮れる。その後音楽の専門学校を卒業。アイドルのバックバンド、レコーディングに参加。商店経営、楽器店勤務、ギターインストラクターを経験。趣味は読書と格闘技観戦。
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