譜面が読めないギタリストへ|全部は読まなくていい。要るのは3つ

譜面が読めないのは、あなたが怠けたからではありません。ギターにはTAB譜という、あまりに便利な代替言語があるからです。
どうも、新潟市江南区でギター講師をしている吉田です。
独学で行き詰まっている人ほど、譜面への負い目を抱えています。
ただ、五線譜を一から覚え直す必要はありません。
ギタリストに足りないのは音の高さではなく、時間の情報だけです。
教室で読譜を扱うとき、筆者が最初に教えるのも4分・8分・16分と休符だけです。
この記事では、ギタリストにとっての読譜の重要性を解説します。



TAB譜が便利すぎた

TAB譜は、6本の線と数字だけで「何弦の何フレットを押さえるか」を確定させます。
音名も、調号も、加線も要りません。楽器を触った初日から使えます。
これほど完成度の高い代替表記を持っている楽器は、実はそう多くありません。
ピアノには存在しませんし、管楽器にもありません。
ギターとベースなど軽音弦楽器だけが持っている特権のようなものです。
その結果、何が起きたか。
読譜を回避したまま10年でも弾き続けられる環境ができました。
バンドも組めますし、ライブもできます。
困らないから後回しになり、後回しにしているうちに「読めない人」として固定されます。
つまり、譜面が読めないのは意志の問題ではなく、代替手段が良くできていたことの結果です。
ここを自分の性格の問題だと思い込んでいると、対策の方向を間違えます。
五線譜の「縦」は読まなくていい。読むのは「横」だけです
五線譜には2つの軸があります。縦が音の高さ、横が時間です。
このうち縦の情報は、ギタリストにとってすでに解決済みです。
TAB譜の数字が、押さえる場所という形で音の高さを指定しています。
ここをもう一度五線譜で学び直すのは、同じ情報を二重に持つ作業になります。
問題は横です。
TAB譜は時間の情報を落とします。
数字が並んでいても、その音をどれだけ伸ばすのか、次の音までどれだけ空けるのかは書かれていません。
リズム表記が併記されている譜面もありますが、市販のTAB譜でもネット上の譜面でも、省略されているものも多いのが現状です。
独学の人が最終的に動画に頼るのは、この横の情報を音源から補っているからです。
譜面で確定できない部分を、耳と目で毎回拾い直している。
これが練習時間を食っています。
【プチ解説】音価って何?
音符1つが「どれだけの長さ鳴るか」のことです。
4分音符なら1拍、8分音符ならその半分、16分音符はさらに半分。
音の高さとは無関係に、長さだけを表しています。
TAB譜の数字が「どこを押さえるか」なら、音価は「どれだけ持つか」の担当です。
教室で最初に教えるのは、4分・8分・16分と休符です
筆者が読譜を扱うとき、最初の題材はいつもこの4つです。
4分音符、8分音符、16分音符、そして休符。
ここをしつこく繰り返します。
理由は、この3種類の音価が読めるようになると、フレーズを分解できるようになるからです。
たとえば「イントロのリフがなんか違う」という状態。
ここで音価が読めないと、リフ全体を丸ごと繰り返すしかありません。
100回弾いて、そのうち偶然合った回を身体が覚えるのを待つ練習になります。
音価が読めると「16分4つのうち、3つ目の音が早く出ている」まで特定できます。
練習対象が1音に絞られます。同じ30分でも、進む距離が変わります。
読譜は、練習に目盛りを入れる作業です。目盛りのない定規では、どこがどれだけズレているかを測れません。
コピー練習そのものの進め方は、こちらで詳しく書いています。
休符は「何もない場所」ではありません
音価と同じ比重で休符を教えるのには、はっきりした理由があります。
独学の人は、休符を読み飛ばすからです。
譜面上で休符は空白に見えます。
何も書かれていないのだから何もしなくていい、と処理されます。
ところが実際の演奏では、休符は「弾かない」という指定であり、そこには弦を止める動作が入ります。
カッティングの歯切れの良さは、鳴らしている音ではなく、止めている時間の精度で決まります。
8分休符なのか16分休符なのかが読めれば、右手をいつ弦に戻すかが確定します。
読めなければ、なんとなく止めるしかありません。
音が汚いと悩んでいる人の原因が、押弦ではなく休符の処理だったケースは何度も見てきました。
本人は左手を疑っているのに、実際に直すべきは右手の戻すタイミングだった、という形です。
小節番号とリピート記号は、曲の地図
音価が「1拍の中の解像度」だとすれば、小節とリピート記号は「曲全体の座標」です。
小節が数えられると、演奏する箇所を言葉で指定できます。
「Bメロの4小節目、2拍裏から入る」と言われて、それが1往復で通じるかどうか。
通じなければ、実際に音を出しながら「ここ、ここです」と何度もやり直すことになります。
リピート記号、D.S.、コーダの読み方が分かると、曲の構成が紙1枚に収まります。
5分の曲を、紙の上で20秒で見渡せる状態です。
構成を覚えるのに音源を頭から流し直す必要がなくなります。
これは、バンドを組んでいる人だけの話ではありません。
教室でも同じで、講師の指示が座標で伝わる生徒は、同じレッスン時間で扱える情報量が違います。
YouTubeを見てもわからないのは、自分のズレの場所
レッスン動画は、正しい音を見せてくれます。
ただ、あなたの演奏のどこがズレているかは教えてくれません。
自分の演奏と手本を比べて「なんとなく違う」で止まってしまうのは、違いを指す言葉を持っていないからです。
ズレを言語化するには、時間の座標が要ります。
何小節目の、何拍目の、16分のいくつ目か。
この座標を持っていると、動画の見え方が変わります。
手本を漫然と眺めるのではなく、自分が詰まっている1音を探しに行けます。動画は答え合わせの道具になります。
逆に言えば、動画を何本見ても上達しない時期があるのは、見る側に測る道具がないからです。
どこから手をつけるか。入り口は3つあります
一度に全部やる必要はありません。今の状況に近いものを選んでください。
1. 楽器を置いて、手拍子だけでやる
譜面を見ながらリズムだけ叩きます。ギターを持たないので、押弦もピッキングも頭から外れます。読むことだけに脳を使える状態です。4分と8分の混在から始めて、慣れたら16分を混ぜます。
2. コピー中の曲のTAB譜に、自分で拍の線を引く
今練習している曲の譜面に、1拍ごとの縦線を鉛筆で入れていきます。音源を聴きながら、どの数字がどの拍に乗るかを書き込む作業です。読む練習と耳コピの精度上げが同時に進みます。
3. リズム譜だけの教則本を1冊やる
音の高さが出てこない、リズムだけの教材があります。縦を捨てて横だけ扱うので、この記事の考え方とそのまま噛み合います。
独学で詰まっているなら、対面で一度見てもらうのが早いです。筆者は新潟ですが、7丁目ギター教室は全国にあるので、お近くの教室を探してみてください。読譜は自分のズレに自分で気づけないぶん、他人の目が入ると進みが変わる分野です。
そもそも理論や譜面が自分に必要なのかを決めかねている人は、先にこちらを読んだ方が順番として自然です。
https://gainfomation.net/music-theory-necessary/
横が読めるようになって、縦にも興味が出てきたときの入り口はこちらです。

・おススメの教則本
kindle unlimited でも配信されているので、他の教本も含めて安く読みたい方にはこちらもおススメ。























