「コーラスを使ってみたけど、どうにも派手すぎる」
「広がりは欲しいけど、音が波打つのは苦手」
そんなギタリストにこそ知ってほしいのが、
BOSS DC-2W Dimension Cという存在だ。
このエフェクター、普通のコーラスとまったく別物だ。音が揺れない。でも確実に音が良くなる。「あれ?なんか音が立体的に聴こえるぞ?」と感じるけど、どこも目立っていない。そんな“自然すぎる魔法”を使える一台だ。
この記事では、趣味でギターを楽しむ人に向けて、DC-2Wの特徴、サウンドの傾向、実際の使用感まで徹底的にレビューしていく。
コーラスじゃない“広がり系エフェクター”
DC-2Wを一言で表現するなら、「揺れないのに広がる」。
一般的なコーラス(CE-2やCE-5、MXR M234など)は、LFOによってピッチや位相が揺れて、いわゆる「コーラス感」が生まれる。これはこれで美しいけれど、音がうねって主張しすぎたり、特に歪みとの相性で“モヤモヤ感”が出てしまうことがある。
一方、DC-2Wはそういったうねりや揺れがない。なのに音の定位が広がって、左右に包まれるような感覚が得られる。
これはBOSSが誇る名機「Dimension D(SDD-320)」の設計思想を踏襲しており、
ステレオの位相と遅延を活用して音の“奥行き”を演出している。しかも、それをペダルサイズで再現しているというのが驚きだ。
DC-2モードとSDD-320モード、2つのキャラを選べる
DC-2Wには2種類のモードが搭載されている。
① DC-2モード(ORIGINAL)

1985年に発売されたBOSSの初代「Dimension C」の音を再現したモード。中域がやや前に出る印象で、音に厚みと艶が出る。
また、技クラフトになってステレオインにも対応。
マルチエフェクターの後にステレオで繋ぐといった使い方や、シンセサイザー等に繋いでも面白そう。
② SDD-320モード(STUDIO)

Rolandのラック型名機「Dimension D」を再現。
こちらはより空気感が自然でナチュラルな広がりが得られる。
スタジオ録音やクリーン系にぴったり。
つまりDC-2Wは、宅録からライブ、クリーンから歪みまで幅広く対応可能な2台分のディメンションエフェクトが1台に入っていると言える。
操作が簡単すぎる
DC-2W最大の特徴は、操作が超シンプルなこと。
ノブもない。液晶もない。あるのはモード切替スイッチと4つのボタンだけ。
それぞれのボタンに音色がプリセットされているのだが、正直4つとも大きな差はない。
二つのボタンを同時押しする事で更にバリエーションが増えるのだが、その差もほぼない。
筆者の感覚だとボタン操作よりも前述したモード選択の方が音色変化の差が大きい。
つまり、エフェクトの操作に関しては上手い下手が無いと言っていい。
「エフェクターは使いたいけど、ツマミが多いのは苦手…」という人には理想的なエフェクターだ。
歪みに重ねても“エグくならない”
DC-2Wが真価を発揮するのは、歪み系エフェクターとの組み合わせだ。
通常、オーバードライブ〜ディストーションの上にコーラスをかけると、音が滲んでしまったり、中域がこもってしまうことがある。特にバンドアンサンブルの中では、ギターの音が“どこにいるか分からない”という状態になりがちだ。
でもDC-2Wを使うと、音が抜ける。エグみが消えて、すっきりと垢抜けた印象になる。
例えるなら、スマホのカメラにビューティーフィルターをかけたような感覚だ。
それでいて「エフェクトかけてます!」みたいな嫌味は一切ない。
これ、地味だけどすごいことだ。
ボードの“どこに置いても”正解になる数少ないペダル
DC-2Wは、接続位置の自由度が高いのもポイント。
歪みの前:原音に立体感を加えるような効果
歪みの後:音全体にまとまりを持たせる
センドリターン:広がりがさらに自然になる
最後段:全てを包み込むような質感に
といった具合で、どこに置いても効果が良い方向に作用する。これは珍しい。
中でもおすすめなのは「アンプのセンドリターン」や「システムの最後段」。ここに入れると、DC-2Wの定位コントロールが最大限活き、最もエフェクティブに効く。
音作りに疲れた中級者にも、初心者にも
DC-2Wは、初心者〜中級者、果てはプロレベルまで対応できる懐の深さを持っている。
直感的な操作 → 初心者に優しい
宅録でも生きるナチュラルなステレオ効果 → 宅録ユーザーに重宝
歪みとの相性 → バンドでも安心
伝説的な名機を再現 → 音の信頼性が高い
「どうせまた使わなくなるエフェクターにお金をかけたくない」という人ほど、DC-2Wの“空気のような仕事”に感動すると思う。
BOSSならではの安定性と耐久性も安心材料
DC-2WはWAZA CRAFTシリーズの製品で、BOSSによる高品質なパーツと組み込みが特徴。
ノイズも少なく、電源にも強く、故障にも強い。ライブ、宅録、スタジオ、どんな環境でも同じように動作する安心感がある。
DC-2Wは音作りのリーサルウェポン
コーラスは苦手だけど、音に広がりは欲しい
歪ませた音を垢抜けさせたい
エフェクターの沼に疲れた
宅録でもう一息垢抜けたい
そんな悩みを、DC-2Wは「踏むだけ」で解決してくれる。
DC-2Wは、空間系エフェクトが辿り着いた“一つの完成形”だ。
効果の割に少々値は張るが何を加えるか迷ったら、ひとまずこれを試して欲しい。