TC Electronicから新たなTonePrint対応マルチエフェクト
「PLETHORA X1」が発表され、一部サイトではすでに情報が公開されています。
本記事では、現時点で分かっている「PLETHORA X1」の特徴やシリーズ概要、
そして類似コンセプトを持つ他社製品との比較を行い、読者の皆様がこの新製品を理解する一助となることを目指します。
PLETHORAシリーズとは
TC Electronicが展開する「PLETHORA」シリーズは、複数のTonePrint対応ペダルエフェクトを自由に組み合わせ、仮想的な「エフェクトボード」を構築できるマルチエフェクト・プラットフォームです。
代表モデルである「PLETHORA X5」は、
その名の通り5つのエフェクトスロットを自由にアサインでき、TonePrintによる多彩なサウンドバリエーションが特徴。
ユーザーはTC Electronicが誇るディレイ、リバーブ、コーラス、フランジャー、ピッチシフトなど、数々の代表的エフェクトアルゴリズムを好みに合わせてロード・エディット可能です。
このシリーズのコンセプトは、「1台で、自由自在にエフェクト構築を実現する」という点にあり、従来の個別ペダルを数台組み合わせるスタイルから一歩踏み出し、デジタルプラットフォーム上で必要な音を必要なだけ呼び出すことを可能にします。
収録エフェクト
Plethora x1にはTC Electronicを代表するエフェクターが14種類収録されています。
順にザックリ紹介していきます。
Hall Of Fame 2 Reverb
クラシックなルーム、ホール、プレートリバーブをはじめ、多彩なリバーブタイプを備えたペダル。自然な空間系エフェクトから幻想的なアンビエントサウンドまで、幅広いジャンルに対応可能。プロフェッショナルなサウンドと操作性が特徴です。
Flashback 2 Delay
クリスタルクリアなデジタルディレイ、ウォームなアナログディレイ、テープエコーなど、多彩なディレイサウンドを網羅。簡単な操作で多様なディレイ効果を作り出せ、ライブやスタジオで幅広く活躍します。
Pipeline Tap Tremolo
クラシックなトレモロ効果を提供する一台。アンプ内蔵型トレモロを思わせる温かみのあるトーンから、モダンなリズム表現まで対応。タップテンポ機能で正確なタイミング設定が可能です。
Corona Chorus
ウォームなアナログコーラスと明瞭なデジタルコーラスを切り替えられる万能型ペダル。シンプルな操作で、明るく煌びやかなサウンドや、柔らかで厚みのあるトーンが得られます。ライブや録音での使用に最適です。
Viscous Vibe
伝説的なUni-Vibeのサウンドを再現し、深みのあるヴィブラートやコーラス効果を提供。ジミ・ヘンドリックスやデヴィッド・ギルモアを思わせるヴィンテージトーンを手軽に得られるペダルです。
Brainwaves Pitch Shifter
多機能なピッチシフターで、シンプルなピッチ変更から複雑なハーモニー生成まで可能。正確なトラッキングと多彩なサウンドが特徴で、クリーンから歪み系まで幅広く対応します。
Sub N’ Up Octaver
1オクターブ上と下を自由にブレンドできるオクターブペダル。クラシックなオクターブ効果から、独創的なサウンド表現まで対応し、リフやソロに深みと迫力を加えます。
Mimic Doubler
ステレオダブリング効果を提供し、分厚いサウンドを作り出すペダル。簡単な操作でリアルなダブリングトーンを実現し、バンド演奏やスタジオワークでの存在感を高めます。
Quintessence Harmony
特定のキーに基づいた正確なハーモニー生成が可能なペダル。シンプルな操作でソロプレイに深みを与え、幅広い音楽ジャンルに対応する使いやすいモデルです。
Shaker Vibrato
繊細な揺らぎから強烈な揺れまで、幅広いビブラートを実現します。「Rise Time(ライズタイム = 立ち上がり時間)」機能を搭載し、レズリー等の回転スピーカーの立ち上がりのような効果を得ることができます。
Vortex Flanger
アナログライクなフランジャー効果を提供し、微妙な揺らぎやジェット機のような効果音まで対応。音作りの幅を広げる汎用性の高いペダルです。
HyperGravity Compressor
高品質なコンプレッションを提供するモデル。自然な音圧調整からダイナミクスの強調まで幅広く対応し、クリーンなトーンやリードプレイに適しています。
Sentry Noise Gate
ノイズを効果的にカットし、クリアなサウンドを提供するノイズゲート。高い精度でノイズを除去し、ハイゲインアンプ使用時でもサウンドの透明感を保ちます。
Helix Phaser
クラシックなフェイザー効果とモダンなモジュレーションを提供。揺らぎや動きを加えるサウンドが特徴で、ギター演奏に表情豊かなニュアンスを加えます。
以上14種です。
それぞれが実機並みの品質だとしたら
これは絶対お買い得ですよね。
単体で買うならちょっと高くてもPlethora x1を買った方が良いのでは…
価格は32,000円程でした。
単体買いだとそれぞれ19,800円から27,000円なので…
これアリですね
PLETHORA X1で出来る事
小さな筐体に凝縮されたマルチエフェクト
PLETHORA X1は、PLETHORAシリーズの中でも特に「コンパクト性」を追求したモデルです。
X5が5スロット、X3が3スロットのエフェクトを同時使用できるのに対し、X1は2スロットのみのシンプル設計となっています。
しかし、2スロットとは言うものの、AB切り替えモード時に二種類のエフェクトを切り替えて使えるというような感じで
2種のエフェクトの同時使用はできないよ王です。
しかしながら、そこにロードできるTonePrint対応エフェクトは膨大。
ディレイ一台、リバーブ一台といった「単一エフェクト」として運用するのはもちろん、2種類のエフェクトを切り替えることで、1台で多彩なシチュエーションに対応可能です。
TonePrintによる柔軟な音作り
TonePrintテクノロジーにより、ユーザーはTC Electronic公式アプリやウェブサイト、そしてBluetooth接続を用いて、自由自在なエフェクトデザインが可能です。
ディレイタイム、モジュレーションの深さ、リバーブテイルの長さなどを細かく設定し、カスタムプリセットとしてロードできます。
また、世界中の有名ギタリストやプロデューサーがデザインしたTonePrintもダウンロードできるため、瞬時にプロレベルのサウンドが入手可能です。
セカンダリーフットスイッチ機能
Plethora x1のフットスイッチにはエフェクトのON/OFFを操作するバイパスモードに加え
別の操作が出来るセカンダリーフットスイッチ機能を搭載。
フットスイッチを長押しすることでセカンダリーフットスイッチに切り替わります。
MASH
圧力感知型 MASHフットスイッチでエフェクトパラメータを制御します。
詳しくは後述します。
A/B モード
選択したボードのスロット A とスロット B のTonePrint を切り替えます。
TAP TEMPO
Flashback 2、Pipeline Tremolo 向けのテンポ入力。
RAMP
VISCOUS VIBE の 2 つのモジュレーション速度を可変スルーレートで切り替えます。
また、バイパスモード時の操作も
通常のON/OFFの切り替えが出来るラッチに加え、
踏んでいる時だけエフェクトをONにするモーメンタリー
モーメンタリーにMASHの機能を追加したモーメンタリー+MASHを選択可能です。
ラッチを選択している場合のみ長押しでセカンダリーフットスイッチに移行する仕様なのでしょうか。
実機を触って確かめてみたいところですね。
MASHスイッチでリアルタイムコントロール
PLETHORA X1には、強弱を感知する「MASHスイッチ」が搭載されています。
これは通常のフットスイッチとは異なり、踏み込みの圧力でパラメータを変化させる独自機能です。
例えば、踏み込みを強くすればディレイのフィードバックを増やす、リバーブテイルを長引かせるといった表現が可能になります。
これにより、エクスプレッションペダルを用意しなくても、ライブパフォーマンス中にダイナミックなサウンドコントロールが行えます。
コンパクトな筐体と柔軟な接続性
小型かつ軽量であるPLETHORA X1は、ペダルボードの空きスペースに容易に収まり、外部エクスプレッションペダルやMIDIコントロールとの連携、ステレオ入出力への対応など、柔軟な運用が可能です。
結果として、ツアーミュージシャンやスタジオワークを行うギタリストはもちろん、自宅での録音にも簡単に導入でき、幅広いユーザー層が恩恵を受けられる設計となっています。
ZOOMのマルチストンプやLINE6のHX oneとの比較
では、既存の競合製品と比べてPLETHORA X1はどのような位置づけになるのでしょうか。
代表的な比較対象として、ZOOMのマルチストンプや、LINE6のHX oneを挙げてみましょう。
ZOOM マルチストンプとの比較
ZOOMのマルチストンプは、小型筐体に多彩なエフェクトを内蔵したリーズナブルかつ汎用性の高いマルチエフェクトです。
多くのエフェクトを同時使用でき、アンプモデリングや様々なFXを内蔵しているのが強み。
また、価格帯も比較的低めで入手性が良く、初心者から上級者まで幅広く支持されています。
一方、PLETHORA X1はエフェクト一つごとにTonePrint対応の高品質なアルゴリズムをロードするというアプローチ。
エフェクト品質や細かなカスタマイズ性ではTC Electronicならではの強みがあり、特定のエフェクトのクオリティを極めたい人、既に優れたアンプヘッドやプリアンプを持ち、そこに「最高品質の空間系・モジュレーション」を加えたいユーザーに向いています。
またステレオインに対応している点も特徴で
やはりシステム後段での活用が期待できますね。
LINE6 HX Stompとの比較
LINE6のHX oneはHelixエンジン搭載で、オリジナルエフェクトに加え、数多くの高品質なモデリングエフェクトまで網羅したデバイスです。
それに対して、PLETHORA X1はモデリングエフェクトは持たず、代わりにTC Electronicのオリジナルエフェクトのみを収録しています。
HX oneはより選択肢の幅が広く、既に有名なサウンドの実機モデリングが使える点が強みですが
PLETHORA X1は「こだわりのエフェクトを厳選して追加する」方向性といえるでしょう。
選択肢は多い方が良いという方はHX one ある程度絞られていた方が迷わなくて良いという方はPLEHTORA X1と言ったところでしょうか
また、HX oneには歪み系エフェクトも多く収録されているためより多用途が期待でき
PLETHORA X1はディレイやリバーブ、空間系に強いといった印象です。
HX oneよりも安価で入手できる点と二種類のエフェクトをABモードで切り替えが出来る点は強みかもしれません。
LINE6の密度のあるトーンか
TC Electronicの洗練されたトーンか
それぞれ音の傾向も違うので好みが分かれるところでもあると思います。
まとめ
PLETHORAシリーズは、TonePrint技術を用いて柔軟なエフェクト編集と仮想ボード構築を実現するマルチエフェクト・プラットフォームで、X1はその中でも最小構成の2スロットモデル。
コンパクトでありながら、Bluetooth経由でのエフェクト管理やMASHスイッチによるリアルタイムコントロールをサポートし、音作りにおいて妥協のない表現力を提供します。
ZOOMマルチストンプやLINE6 HX Stompなどの競合モデルと比較すると、汎用的な多機能性よりも、TC Electronic伝統の高音質エフェクトを中心に「一点豪華主義」的な運用が可能な点が大きな特徴です。
アンプモデリングや多段重ねを必要としないプレイヤーや、自身のシステムに高品質な空間系・モジュレーションを追加したいギタリストにとって、PLETHORA X1は魅力的な選択肢となるでしょう。
個人的には「MASHスイッチ」という独自の機能は面白いなと思います。
システムのプチ増強は勿論飛び道具としても活躍できるので既にシステムを持っているプレイヤーにとって重宝される一台となりそうです。
TC Electronic製品がすでに高い評価を得ていることを考えると、その登場は多くのプレイヤーが待ち望むところです。
とにかく早く触ってみたい。