上達方法

「耳が良い」とはどういうこと?ギタリストが身につけたい6つの聴く力と鍛え方

「耳が良い人」って、一体どんな人のことを指すのだろうか?
ギターを弾いていると、周りに一人や二人、「え、そこ聴き取れるの?」みたいな感覚鋭い人がいるはず。
演奏が上手い人、バンドアンサンブルが安定している人、音作りが上手な人──その多くに共通しているのが「耳の良さ」だ。

特にプロ志向でなくても、趣味でギターを弾いている人にとっても「耳の良さ」は、演奏を楽しむ上で欠かせないスキルになる。
では、「耳が良い」とは具体的にどんな状態のことを言い、どうやって鍛えていけばいいのか?
新潟在住で、普段は雪国の湿気と戦いながらギターを弾いている筆者が、実体験も交えて掘り下げていこうと思う。

結論:耳の良さとは「知識」と「体験」が結びついた状態

まず最初に伝えたいのは、耳の良さは「生まれ持った才能」だけで決まるものではないということ。
むしろ音楽理論などの知識と、それを実際に聴いてきた、または弾いてきたという実体験の積み重ねによって身につく部分が大きい。

つまり、後天的に鍛えられる。これは大事なポイント。
そして耳が良くなればなるほど、バンドで合わせる時の精度が上がったり、ソロでの表現の幅が広がったりする。ギターがさらに楽しくなる。

「耳が良い」ってどういう状態?

耳が良いとされる人が持っているスキルでぱっと思いつくものを6つ紹介しよう。

1. ピッチ(音程)のズレを聴き取れる

これは絶対音感とは別物で、相対音感に近い能力。
たとえば、バンドのスタジオ練で「ちょっとそのコード、音が濁ってるな」と気づける人。
または、チョーキングしたときに「もうちょっと上げないと半音になってない」と感じ取れる人もこれに当てはまる。

■ ギタリスト的あるある:
チューニングしたつもりが微妙にズレてるとき、「うわ、やっぱダメだ。全体に気持ち悪い」と感じることがある。それに気づけるのが“耳が良い”証拠。

2. リズム感が鋭い

リズムがいいプレイヤーは「グルーヴがある」と言われる。
リズムとはテンポだけでなく、ビート、拍子、ノリまでを含んだ広い概念。
threds投稿文にもあるように、メトロノームのテンポを半分に設定する練習は、リズムの体感を深める上で非常に効果的。

■ ギター練習例:
通常の120BPMでカッティングしてたのを、60BPMに設定して裏拍でクリックを鳴らしてみる。これだけでリズムがグッと良くなる感覚が掴める。

3. 楽器の音色を聞き分けられる

音源を聴いて、「これはシンセ?それともブラス?」みたいな判断ができる力。
バンドアレンジや耳コピをするとき、これがあると一気に再現度が高まる。

■ 補足:
エレキギターでも、「これはリアピックアップのシングルコイル」「これはハムバッカーのセンター寄り」みたいな違いに気づけるようになると、音作りの精度が一段上がる。

4. コード進行を聴き取れる

いわゆる「耳コピできる人」はここが強い。
ベースラインを追ってコードを推測したり、テンションやノンダイアトニックコードの存在に気づいたりする。

■ ギター視点:
様々な曲をコピーしているうちに「この進行、また来た!」ってなる感覚が養われてくる。そういう積み重ねがコード耳を育てる。

5. 転調がわかる

一聴して「おっ、ここからキー上がったな」と気づけるかどうか。
転調には平行調、同主調、半音上げなど色々あるが、それぞれの特徴を知っていることが前提になる。
また作編曲視点での転調のテクニックを知っていることも武器になる。

■ 補足:
転調のリテラシーがあると、バンドで急に「この曲最後転調してみよう」となった時にも柔軟に対応できる。

6. 曲の構成を把握できる

Aメロ、Bメロ、サビ、それぞれの長さや展開が理解できる。
このスキルがあると、即興でのアドリブやバンド練での効率も格段に良くなる。

■ 練習法:
お気に入りの曲を紙に書き出して構成を整理してみる。「Aメロ8小節、Bメロ4小節、サビ8小節」みたいに。やってみると意外と構成が複雑だったりして面白い。

耳を鍛えるにはどうしたらいい?

● 音楽理論を勉強しよう

コード理論やリズムの知識は、耳を鍛えるベースになる。
知識がないと音の判断ができないし、知識だけでも実音が分からなければ役に立たない。セットで学ぶのがベスト。

● 音楽を「分析的に」聴こう

ただ音楽を流しっぱなしにするのではなく、「これは何の楽器?」「この進行は何?」と意識して聴く。
通勤中や車移動のBGMすら耳トレに変わる。

● 自分の演奏を録音して聴き返そう

「録音すると下手さがバレる」って感じたことがあるなら、すでに耳が育ち始めてる証拠。
ズレてることに気づく、違和感を言語化できるようになる──これが成長の第一歩。

● メトロノーム練習はガチで効く

特に裏拍クリック、BPM半分設定、そしてあえて「1小節に1発だけ」設定する練習は超おすすめ。
ギターはリズム楽器でもあるので、リズムの精度は音以上に大事な場面も多い。

● チューニングをしよう

これが一番大事。
常に正しいチューニングがされた楽器を使用することで、チューニングのズレを敏感に察知できるようになる。
逆にチューニングがズレた楽器で練習を続けてしまうとまず耳は育たない。

チューニングの合った楽器で練習することは耳を育てるための必須条件だ。

まとめ:耳の良さは「後天的な能力」

ギターが上手い人は、例外なく耳も良い。
でもそれは生まれつきの才能だけではなく、日々の「聴く力」の積み重ねによって育てられたものだ。
そしてその「耳」を鍛えることで、もっと音楽が楽しめるようになる。

ピッチのズレ、リズムの取り方、コード進行、音色の違い……
こうしたものをひとつずつ聴き取れるようになれば、あなたの演奏は確実に変わっていく。

「耳は鍛えられる楽器」だと思って、日々の練習の中に少しずつ取り入れてみてほしい。

ABOUT ME
吉田寛定
新潟市在住のギターインストラクター。 趣味ギタリストに向けた“ちょうどいい温度感”の発信を心がけています。 新潟市江南区のギター教室|7丁目ギター教室にて無料体験レッスン受付中。亀田・横越エリアの方はぜひどうぞ。