「いくら練習しても弾けない」が続くと、脳は「練習=無駄」と学習する。その呪い、独りじゃ解けませんよ。
どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。
新潟の冬は雪かきで腰と前腕が鍛えられる季節ですが、皆さんのギターライフはいかがでしょうか。
「毎日練習しているのに、全然うまくならない」
「動画と同じように弾いてるはずなのに、変な音がする」
そんな状態が1ヶ月、3ヶ月と続くと、だんだん「自分には才能がないんだ…」と心が折れてきませんか?
実はそれ、あなたの才能がないからではありません。脳が「何をしても無駄だ」と学習してしまった状態(学習性無力感)に陥っている可能性が高いです。
結論から言うと、この「独学の沼」から抜け出す最短ルートは、根性で練習を続けることではなく、「プロの視点(外部の目)」を一度だけ入れることです。
今回は、独学の限界と、脳科学的に見た「人に習うべきタイミング」について解説します。
はぁ…。もうFコードの練習始めて3ヶ月経つけど、全然鳴らないのよね。やっぱり私にはギターの才能なんてなかったのよ。もうメルカリに出しちゃおうかしら…。
待て。それは才能の問題じゃない。お前の脳が「学習性無力感」に陥っているだけだ。間違ったフォームで反復練習を繰り返したせいで、脳が「ギター=鳴らないもの」と誤認しているぞ。
そうそう。悩んでる時間がもったいないよ。3ヶ月悩むくらいなら、1回プロに見てもらったほうが早くない?
独学の落とし穴「学習性無力感」とは?

「学習性無力感(Learned Helplessness)」という心理学用語をご存知でしょうか。
これは、「抵抗できないストレスを与えられ続けると、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなる」という心理状態を指します。
ギターの独学で言えば、こういうことです。
動画を見て練習するが、うまくいかない(ストレス)
やり方を変えてみるが、やっぱり弾けない(ストレス)
脳の判断:「あ、これ何やっても無駄だわ」
結果:ギターを見るだけで「どうせ弾けない」と感じ、練習をやめる(挫折)
独学ギタリストの9割が1年以内に挫折すると言われていますが、その多くはこの「無力感」に負けてしまったケースです。
これは意志が弱いからではなく、脳が「無駄なエネルギーを使わないように」とブレーキをかけている正常な反応なのです。
努力が空回りする原因は「メタ認知」の不足

なぜ独学だと「学習性無力感」に陥りやすいのか。それは「メタ認知」が働きにくいからです。
メタ認知とは、「自分自身を客観的に見る能力(もう一人の自分の目)」のこと。
独学では、自分の演奏を主観でしか判断できません。「合っている気がするけど、なんか変」という状態から抜け出せないのです。
例えば、自分の髪の毛を自分で切ることを想像してみてください。鏡を使っても後ろは見えませんよね?
プロの講師に見てもらうというのは、「三面鏡を使って、自分では見えない角度のズレを教えてもらう」のと同じこと。
| 状態 | 独学(主観のみ) | レッスン(メタ認知あり) |
| リズム | 「合ってるつもり」で走り気味 | 「今の箇所、気持ち早いよ」と指摘 |
| フォーム | 「指が届かない」と力む | 「手首を1cm前に出せば届く」と修正 |
| 音作り | 「なんかショボい」と悩む | 「ミドルを上げれば解決」と即答 |
自分一人では何時間かけても気づけない「1cmのズレ」を、他者の視点は一瞬で見抜きます。これが「時間を買う」ということです。
プロに頼るべき「3つの危険信号」

では、どのタイミングで教室や単発レッスンを検討すべきか。
「うまくなってから行く」のではなく、以下のサインが出たら**「沼にハマる直前」**です。即座に頼ってください。
1. 同じ箇所で2週間以上停滞している
「Fコードが鳴らない」「このフレーズで必ず指がもつれる」。
2週間やっても変化がない場合、それは練習不足ではなく「やり方(フォームや力の入れ方)」が物理的に間違っている可能性が高いです。
間違ったフォームでの反復練習は、悪い癖を固める「ヘタになる練習」です。
2. 指や手首に「痛み」がある
指先の皮が痛いのは正常ですが、手首、肘、親指の付け根に鋭い痛みがある場合は要注意。
身体構造(バイオメカニクス)に反した無理な動きをしています。これを独学で突破しようとすると、腱鞘炎コース一直線です。
3. 「ギター=義務」になりつつある
「練習しなきゃいけないけど、気が重い」。
これは脳のドーパミン(やる気物質)が枯渇しているサイン。
スクールに行けば、「先生に見てもらう」という適度な緊張感と、「できた!」と褒めてもらえる報酬が得られるため、脳のやる気スイッチが強制的にリセットされます。
うっ…!「手首が痛い」も「気が重い」も全部当てはまってるわ…。でも、先生って怖くない?「こんなこともできないの?」って思われそうで…。
逆だよリブ代。先生たちは「初心者がどこでつまずくか」のデータを大量に持ってるの。むしろ「あー、そこ難しいよね!こうすれば楽だよ」って言いたくてウズウズしてるはずさ。
その通りだ。それに、プロの講師は「できない原因」を論理的に分解できる。お前の人格を否定するんじゃなくて、「動作のバグ」を修正するエンジニアみたいなもんだと思えばいい。
単発レッスンは「脳のデバッグ」作業

「教室に通う=毎月月謝を払って何年も通う」と重く考える必要はありません。
最近は「1回だけの単発レッスン」や「体験レッスン」を受け入れている教室も多いです。
独学派の人こそ、「脳のデバッグ(修正)作業」として、スポットでプロを使うべきです。
今の練習方法で合っているかの答え合わせ
変な癖がついていないかのチェック
どうしても弾けないフレーズの攻略法を聞く
これだけで、停滞していた3ヶ月が一瞬で解消することも珍しくありません。
特に「独学こそが王道」と思っている人ほど、一度フィードバックを受けるとその爆発的な効果に驚くはずです。
よくある質問(Q&A)
Q. まったくの初心者で、曲も弾けない状態で行ってもいいですか?
A. むしろ、その段階がベストです。
変な癖がつく前に「正しいフォーム(脱力した状態)」をインストールできるからです。初心者にこそ需要があり、経験者は世話を焼きたい生き物なのです。
Q. 先生との相性が不安です…。
A. 合わなければ変えてOKです。
メンタルを削ってくるような先生なら、即ブロック(退会)で大丈夫。あなたの心の平和が最優先です。複数の体験レッスンを回って、話しやすい先生を探しましょう。
まとめ
独学は素晴らしいですが、脳の仕組み上、どうしても「自分一人では気づけない壁」にぶつかります。
「学習性無力感」:できないが続くと、脳は諦め癖をつける。
「メタ認知」:自分を客観視するには、他者の目が必要。
「デバッグ」:痛みや停滞は、プロに修正してもらう合図。
「独力で頑張ること」が偉いのではありません。「ギターを楽しんで続けること」が偉いのです。
もし今、独学の壁にぶつかって辛いなら、それはあなたのせいではなく、やり方を微調整するタイミングが来ただけ。
今日のワンステップ
近所のギター教室、またはオンラインレッスンの「無料体験」のページを1回だけ開いてみてください。
申し込まなくてもいいです。「こういう選択肢もあるんだ」と脳に認識させるだけで、無力感は薄れます。
あなたのギターライフが、再び「楽しい!」で満たされますように。
おまけ











