どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。
新潟の冬、寒さよりも恐ろしいのは「新米の旨さ」です。
ついついコシヒカリを大盛りで食べてしまい、その後の練習で意識が銀河の彼方へ飛びそうになること、ありませんか? 私はよくやります。
そんな「食後の謎の眠気」や「急に下手になる現象」に悩むギタリストへ、今日は科学のメスを入れます。
昼食後の練習、メトロノームが子守唄に聞こえませんか?
「よし、休日は昼からガッツリ練習するぞ!」と意気込んで、カツ丼やラーメンを腹いっぱい食べた30分後。
指が水あめの中にあるように重い。
さっきまで弾けていたフレーズのリズムが、なぜかモタる。
集中力が散漫になり、気づけばギターを抱いたままスマホを見ている。
こんな経験、ありませんか?
「気合いが足りないからだ!」と自分をビンタしても、残念ながら目は覚めません。
むしろ、脳内で「緊急シャットダウン」のサイレンが鳴り響いている状態です。
その「抗えない眠気」はあなたのせいじゃない
私も地元の名物「タレカツ丼」を食べた後のリハーサルで、BPM180の曲がBPM250に感じるほど脳の処理速度が落ちた経験があります。
これはあなたの根性が足りないのではなく、身体のメカニズムとして「今は寝ろ」と命令されている状態なのです。
「血糖値の乱高下」を管理せよ
練習の質が落ちる最大の犯人は、食後の「血糖値スパイク(急上昇と急降下)」です。
練習のパフォーマンスを最大化するなら、「練習の2時間前に食事を済ませる」か、「低GI食品(血糖値が上がりにくい食事)」を選ぶこと。これがリズム感を守る鉄則です。
脳のエネルギー切れ「反応性低血糖」の恐怖
ご飯やパンなどの炭水化物(糖質)を大量に摂ると、血液中のブドウ糖(血糖値)が急激に上がります。すると体は「下げなきゃ!」と慌ててインスリンというホルモンを大量に分泌します。
その結果、今度は血糖値が急降下し、「反応性低血糖(シュガー・クラッシュ)」と呼ばれる状態に陥ります。
脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖ですが、この急降下により脳がガス欠状態になります。特に、リズムキープや複雑な運指を司る前頭前野の機能が低下するため、集中力が切れ、眠気やダルさに襲われるのです。
脳科学で解く「グルーヴ」と「血糖値」の関係

リズム感は「指」ではなく「脳」で作られる
リズムキープやグルーヴは、脳の「大脳基底核」や「小脳」が深く関わっています。これらは一定の間隔を予測し、筋肉へ指令を出す司令塔です。
血糖値スパイクによる「脳のガス欠」が起きると、この指令系統にラグ(遅延)が生じます。自分ではジャストのつもりでも録音を聞くとモタっている、というのは、脳内時計と実際の時間のズレが原因です。
集中力の持続時間とインスリン
インスリンが過剰分泌されると、眠気を誘発するだけでなく、イライラや不安感を引き起こすこともあります1。
「弾けないフレーズにイラッとして練習を辞める」というメンタルブレイクも、実は食事の内容が引き金になっている可能性があるのです。
人類の敵!?「高GI食品」の罠

白い悪魔「白米・うどん・パン」
食品が血糖値を上げるスピードを数値化したものをGI値(グリセミック・インデックス)と呼びます。
残念ながら、我らが新潟の宝「白米」は高GI食品の代表格(GI値80以上)です。うどん、食パン、そしてバンドマンの主食であるラーメンも同様です。
これらを単体でドカ食いすることは、練習前に自らハンデを背負うようなものです。
「エナドリ」は諸刃の剣
カフェインで覚醒作用はありますが、大量の砂糖が含まれているエナジードリンクは、一時的にテンションが上がった後、強烈な「だるさ」が襲ってくる典型的なスパイク要因です。
本番30分前ならまだしも、長時間の練習前には不向きです。
ギタリストのための「最強の練習メシ」戦略

タイミングは「練習の2時間前」
消化活動が落ち着き、血糖値が安定して脳にエネルギーが供給されるベストタイミングは、食後2時間程度です。
スタジオ練習や重要なレコーディングがある場合は、逆算して食事を済ませましょう。
選ぶべきは「低GI食品」
血糖値を緩やかに上げる食品を選べば、集中力が長時間持続します。
| 食品カテゴリ | 高GI(避けるべき/練習直後はNG) | 低GI(おすすめ/練習前に◎) |
| 主食 | 白米、食パン、うどん、餅 | 玄米、全粒粉パン、そば、オートミール |
| 間食 | チョコレート、ドーナツ、煎餅 | ナッツ類、ヨーグルト、高カカオチョコ |
| おかず | ジャガイモ、人参、練り物 | 鶏肉、魚、大豆製品、ブロッコリー |
食べる順番を変える「ベジファースト」
どうしても白米が食べたい(新潟は白飯が美味え)。そんな時は「食物繊維(野菜・海藻)→タンパク質(肉・魚)→炭水化物(米)」の順で食べましょう。
食物繊維が糖の吸収を穏やかにし、スパイクを防いでくれます。牛丼屋でサラダを先に食べるだけでも効果絶大です。
よくある質問(Q&A)
Q. 空腹の方が集中できる気がするのですが?
A. 一理あります。
空腹時は「グレリン」というホルモンが出て、一時的に集中力や記憶力が高まることがあります(狩猟本能的なやつです)。ただし、ガス欠でフラフラしては意味がありません。「少しお腹が空いてきたな」くらいがベストです。満腹は絶対に避けましょう。
Q. 練習中の糖分補給はどうすれば?
A. ラムネ(ブドウ糖)を数粒か、パラチノース配合のドリンクを。
脳のエネルギーはブドウ糖です。ラムネなら量を調整しやすく、急激なスパイクも起きにくいです。スローカロリーな糖質を含むドリンクも、長時間のスタジオリハには有効です。
まとめ:グルーヴは胃袋から作られる
練習後の眠気の正体は「血糖値スパイク」による脳のガス欠。
白米やラーメンのドカ食いは、リズム感を狂わせる「デバフ」行為。
練習の2時間前に食事を済ませ、蕎麦や玄米などの「低GI食品」を選ぶ。
どうしても白米を食べるなら、野菜から先に食べて吸収を遅らせる。
「飯食ったあとの練習、なんか調子悪いな」と思っていたあなた。それは才能がないのではなく、身体の使い方が間違っていただけかもしれません。
おまけ

Sugar Crash! ♪











