「今年こそギターを弾けるようになりたい!」
そう決意してギターを買ったのに、数週間後にはほこりをかぶってしまった──そんな経験はないだろうか。
やる気がゼロだったわけではない。むしろ最初は熱量が高かったはずだ。なのに続かない。
これは才能不足ではなく、「楽しさ」をうまく取り入れられなかったことが原因であることが多い。
ギターを長年続けてきた筆者自身も、義務感で練習していた時期は何度も挫折を経験した。逆に「楽しいからやる」という感覚を持てるようになってからは、練習が生活の一部になり、結果的に上達も早まった。
この記事では、ギター習得において「楽しさ」がどれほど重要な役割を果たすのか、そしてどうすれば日々の練習に楽しさを組み込めるのかを解説していく。
なぜ「楽しさ」がギター上達のカギになるのか?
1. 楽しい練習は「持続力」を生む
多くの人が「ギターが弾けるようになったらカッコいい」「あの曲を弾きたい」と思って練習を始める。
しかし、日々の練習は地味な基礎練習や繰り返しの連続。そこに楽しさがなければ「今日はやめておこう」が積み重なり、気づけばフェードアウトしてしまう。
一方で、「あ、このリフかっこいい!」「今の音気持ちいい!」と感じられる瞬間は、練習そのものが報酬になる。
たとえば、筆者は初めて Deep Purple の「Smoke on the Water」 を弾いたとき、たった4音のリフでも心の底から「ギター面白い」と思った。こうした小さな楽しみが次の練習への原動力になるのだ。
2. 楽しむことで「脳の集中力」が高まる
脳科学の研究では、楽しさを感じているときに分泌されるドーパミンが、集中力や記憶力を高めることが分かっている。
ギター練習に置き換えると、次のような効果がある。
没頭感が強まる → フロー状態に入りやすく、時間を忘れて弾き続けられる
工夫が生まれる → 「もっと良い音を出すには?」と自然に探究心が湧く
挑戦を恐れない → 失敗を「遊び」と捉え、新しい奏法に挑める
筆者も「好きな曲のコピーは10回繰り返しても飽きない」が、「苦手な基礎練習は10分で限界」だった時期がある。楽しさは練習量そのものを引き上げ、結果的に上達スピードを早める。
3. フロー体験が「上達の実感」をもたらす
「気づいたら2時間経っていた」──これはギター練習における理想の姿だ。
フロー状態に入ると、音楽と自分が一体化したような感覚を味わえる。この状態で練習した内容は、定着率も高く、成長を実感しやすい。
逆に、義務感だけで取り組むと時間の経過が遅く感じられ、同じ1時間でも学習効率が大きく落ちる。
楽しさが「練習の質」と「練習の量」を同時に底上げするのだ。
4. 楽しさは「挫折」を防ぎ、心を守る
ギター習得には必ず停滞期がある。コードチェンジがうまくいかない、速弾きで指が動かない、録音すると下手に聴こえる──こうした壁は誰にでも訪れる。
ここで「楽しさ」があるかどうかで分かれ道になる。
義務感だけで練習している人 → 「向いてない」と思ってやめてしまう
楽しさを見つけている人 → 「今日は弾けなかったけど音を出すだけで楽しい」と思える
筆者もFコードが鳴らせず挫折しかけたが、同時に好きな曲のイントロを一部だけでも鳴らす練習をしていたおかげでギターを手放さずに済んだ。楽しさは心のセーフティネットなのだ。
ギター練習に「楽しさ」を取り入れる具体的な方法
1. 小さな成功体験を作る
いきなりフルコピーではなく、サビやイントロだけ練習する
速弾きのフレーズなら、まずは冒頭の3音だけを完璧に
「できた!」という感覚が積み重なると、モチベーションは自然に上がる。
2. 練習を「可視化」する
カレンダーに「練習した日」に○をつける
スマホで録音し、昨日の自分と聴き比べる
たとえ1週間で大きな進歩がなくても、「続けている自分」が見えるだけで楽しさにつながる。
3. ご褒美を設定する
30分練習したら好きなバンドのライブ映像を見る
弦交換後に「新しい音を楽しむ時間」をあえて作る
練習そのものだけでなく、練習後の小さなご褒美もモチベーションになる。
4. 仲間とシェアする
SNSに短いフレーズをアップする
ギター仲間と「今週の練習成果」を報告し合う
誰かに見てもらうことで「聴かせたいから練習する」という楽しみが生まれる。筆者もInstagramに遊び心のあるフレーズを投稿したことで「もっとネタを考えたい」と自然に練習量が増えた。
5. 練習を「遊び」に変える
スケールを“わざと難しい指使い”で弾いてみる
子どもの歌をロック風にアレンジしてみる
ブルースのセッションにアニメソングを混ぜてみる
こうした「遊び練習」はすぐに実力につながらないかもしれないが、練習を継続するための潤滑油になる。
6. 完璧主義を手放す
「毎日1時間練習しなければならない」と思うほど、やめたくなる日が増える。
大切なのは、やめないこと。
弾けない日があってもいい
5分だけ触る日があってもいい
「今日は音を出しただけ」でも十分
ギターは「触り続けた人」が最後に勝つ楽器だ。
結論|楽しさがある人は必ず続けられる
ギター習得において、続けられる人とやめてしまう人の違いは才能ではない。
楽しさをうまく取り入れているかどうか で決まる。
楽しさは、
練習の持続力を生み
フロー状態を引き寄せ
停滞期を乗り越える力を与え
ギターを一生の相棒にする
義務ではなく、ワクワクする冒険としてギターと向き合う。
その姿勢こそが、最短で、そして最も楽しく上達していくための秘訣なのだ。