ギターx心と身体

ギターの練習サボっても上達する?“サボりもチャラになる休養”の話。

「ギター、毎日練習しないと上手くなれないんじゃ…?」
そう思って、自分にプレッシャーをかけすぎていないだろうか。

確かに、毎日ギターに触ることは大切だ。
でも、上達を目指すあまりに“休むこと”に罪悪感を抱いてしまっては、本末転倒である。

実は、ギターを“練習しない日”にも、脳はしっかりとギターに関する情報を処理している。
つまり、うまく休むことも練習の一部。科学的にもその重要性が示されている。

脳は、休んでいるときに整理している?

脳科学の分野では、DMN(デフォルトモードネットワーク)というネットワークが注目されている。
これは、人がぼーっとしているときや、何もしていないように見える状態でも活発に働いている脳の領域のことだ。

DMNは、情報の整理、記憶の定着、自己認識、未来の想像などに深く関わっている。
ギターで新しいコードを覚えたり、難しいリフに挑戦したあと、あえて何もせずに過ごすことで、脳はその情報を“整理棚”にしまいこみ、必要なときに取り出せるようにしてくれる。

つまり、練習をしない日は“ムダな日”ではなく、“脳を整理する時間”になっている。

「1日3分」ルールと、計画的な休みのすすめ

当ブログでは、「1日3分でもいいからギターに触れる」というミニマムな習慣化を推奨している。
この考え方は、「とにかく続けること」を重視するものだ。

しかし現実的には、仕事や家庭、急な予定などでギターに触れない日もある。
そんなときに「今日はノルマを達成できなかった…」と落ち込む必要はない。

むしろ、あらかじめ「この日は練習しない」と“計画的にサボる日”を決めておくことが、メンタル面でも継続力の面でも有効だ。
自責の念に駆られず、むしろ「今日は休むから、明日からまた頑張ろう」と前向きな気持ちでギターと向き合える。

特に真面目な人ほど、「継続=毎日欠かさずやること」と思いがち。
でも、継続とは「やめないこと」であって、「毎日必ずやること」ではない。

習慣的に触れている人は“軽めの練習”で休養を

一方で、すでにギターを習慣的に触っている人にとっては、「今日はサボろう」と意識的に休む必要はあまりないかもしれない。
むしろ、ギターを弾くこと自体がストレス解消や日々のルーティンになっている人も多い。

ただ、そういった人でも、疲れている日はあえて“軽く終える”ことを意識してほしい。
たとえば、ウォームアップだけやって終了するとか、好きな曲を数曲適当に弾くだけでも良い。

特に筆者の住む新潟のように気候が厳しく、寒暖差のある地域では、体が重く感じる日も珍しくない。
そんな時は、無理に1時間練習するよりも、10分でスパッと終えてゆっくりお風呂に入るほうが、翌日にコンディションを取り戻しやすい。

科学的に正しい“休み方”とは?デジタルデトックスと運動がカギ

ギターの練習を“サボる”だけでなく、どんな過ごし方をするかも非常に重要だ。

脳を休ませるためには、以下のような活動が効果的とされている

  • サウナ(特に水風呂との交代浴)

  • フットサル(チームスポーツ)、柔術(格闘技)、ランニング(有酸素運動)などの息が上がる運動

  • 読書や散歩などの静かなアクティビティ

  • 登山やキャンプなど自然に触れる活動

重要なのは、“デジタルデトックス”“有酸素運動”を組み合わせること。
スマホやPCの画面を見続けるとDMNの働きが阻害されるため、あえてネットから離れてアナログな時間を持つのがポイント。

特にミュージシャンや音楽好きは、自分が“静的な趣味”ばかりになっていないかを振り返ってみてほしい。
ギター、読書、映画、作曲…と、どうしても部屋の中で完結する趣味に偏りやすい。

そこに「息が切れるくらい動く」運動を少し取り入れるだけで、心身のバランスが整いやすくなる。

複数ジャンルの趣味でギターも上達しやすくなる

DMNの働きに関する研究では、「異なるジャンルの知識や経験を持っている人の方が、創造性が高い」という結果もある。
つまり、ギターだけに没頭するよりも、別ジャンルの趣味を通じて得た感覚や知見が、演奏や音作り、アレンジに活きるのだ。

たとえば、登山で聞いた野鳥の声が作曲編曲に影響したり、格闘技で得た身体感覚がフォーム改善に役立ったりする。

複数ジャンルの趣味を持つことで、脳のネットワークが強化され、より柔軟で創造的なプレイスタイルが身につく。
これは趣味でギターを弾いている人にも大きなメリットになる。

休養は“サボり”ではなく“成長するための時間”

ギターの練習を休んだ日、それは“止まった日”ではない。
むしろ、脳が水面下で動き、記憶が定着し、演奏力が育っている大切な時間だ。

「今日は練習できなかった…」と思っても、自分を責めなくて大丈夫。
その休みは、DMNがしっかり働いてくれている“学びの時間”でもある。

上達したい人こそ、「うまく休む」ことを練習と同じくらい大事にしてほしい。

ABOUT ME
吉田寛定
新潟市在住のギターインストラクター。 趣味ギタリストに向けた“ちょうどいい温度感”の発信を心がけています。 新潟市江南区のギター教室|7丁目ギター教室にて無料体験レッスン受付中。亀田・横越エリアの方はぜひどうぞ。