ギタリストたるもの、節目節目にファズというものが気になるものです。
オーバードライブやディストーションはいくつも買ったし使っているけどファズだけはちょっとよく分からなくて…
という方は多いはず。
そこで今回はそんなファズビギナーにもとっつきやすいであろうBOSSの技クラフトからリリースされているファズ、FZ-1Wを紹介していきます。
FZ-1Wは往年のファズをベースにしながら、モード切替や安定性に配慮した設計で、初心者からプロまで幅広いユーザーに使いやすい一台となっています。
この記事では、FZ-1Wの特徴や他モデルとの比較を通じて、その魅力を詳しく解説します!
技クラフトとは
技クラフトは、BOSSが2014年にスタートさせた特別なシリーズです。
このシリーズは、BOSSが持つ長年の技術と革新性を結集し、過去の名器のモディファイモデルや、新しいエフェクターをアナログ回路でデザインしています。
対照的に、デジタル技術を活用した先進的なエフェクターを展開する「Xシリーズ」も同年に登場。
この二つのシリーズは、BOSSのラインナップの中でも特別な存在感を放っています。
技クラフトは、アナログ回路ならではの温かみのあるサウンドと、高い品質を持つモデル群としてギタリストから支持されており、今回のFZ-1Wもその一翼を担う注目の製品です。
BOSS FZ-1Wの特徴
操作しやすい3ノブ
FZ-1Wは、クラシックなファズペダルにありがちな「癖の強さ」を大きく改善したモデルです。
多くのファズペダルは、大きすぎる筐体や扱いづらいパラメーターが特徴ですが、FZ-1Wはお馴染みのBOSS筐体に、Fuzz、Tone、Volumeというシンプルな3ノブ構成で直感的に操作可能。
これにより、初心者でも簡単に理想のサウンドを作り出せます。
また、どのノブをどの方向に回せばどんな反応が得られるのかが明確なので、細かい調整も容易です。
クラシックなファズのエッセンスを持ちながら、BOSSらしいユーザーフレンドリーな設計が光る一台です。
モード切替スイッチ
FZ-1Wの最大の特徴は、
ヴィンテージモードとモダンモード
の2つのモードを切り替えられる点です。
ヴィンテージモード
往年のファズペダルを研究してデザインされたモード。
腰高で鋭いトーンが特徴で、クラシックなファズサウンドが楽しめます。
ボリューム操作にも忠実に追従し、Fuzz特有の「鈴鳴り感」やニュアンス豊かなサウンドを表現します。
モダンモード
ヴィンテージモードを基に、現代的なブラッシュアップが施されたモード。
音量が上がり、低域の厚みが増したダークなサウンドが特徴。
ボリュームを絞った際は鈴なり感もありつつロー感も残る印象的で、ヴィンテージモードに比べてフラットな特性を感じます。
幅広いジャンルで使いやすい仕様になっています。
どちらのモードもローノイズで、扱いやすさに配慮された設計ですが、Fuzz独特の弾き心地もしっかりと感じられます。
TONEツマミに対する反応も良く、操作するとキャラクターの変化も楽しめるので、いろんなポジションで楽しむ事が出来ます。
初心者から上級者まで、Fuzzの楽しさを十分に味わえるモデルと言えるでしょう。
安定感のあるシリコントランジスタを使用
FZ-1Wでは、シリコントランジスタを採用しています。
多くのヴィンテージファズはゲルマニウムトランジスタを使用していますが、ゲルマニウムは気温や湿度の影響を受けやすく、設定の再現性に課題がありました。
一方、シリコントランジスタは環境に強く安定性が高いだけでなく、より高いゲインを実現できるという特徴があります。
FZ-1Wはこの特性を活かし、ハイゲインなFuzzサウンドも楽しむことが可能です。
BOSSらしい堅実な選択といえるでしょう。
高品質なバッファを搭載
「BOSSのバッファは音質を損ねる」という誤解もありますが、技クラフトシリーズではバッファ回路にも徹底的な配慮がされています。
バッファとは、信号の劣化を防ぐための回路で、長いケーブルを使用する場合に特に重要な役割を果たします。
FZ-1Wでは、このバッファを搭載することで、ペダルオフ時でも音質を保ちながら安定した動作を実現。
Fuzzの持つ魅力を損なうことなく、ペダルボードに組み込んだ際の使いやすさを高めています。
ファズ初心者でも安心!?
FZ-1Wは、操作がシンプルで音作りが直感的に行えるため、Fuzz初心者にもおすすめです。
価格もファズというカテゴリーとしてはリーズナブルで、初めてのFuzzとして選びやすいモデルとなっています。
特に、ヴィンテージモードでクラシックなFuzzサウンドを体験しつつ、モダンモードで現代的なトーンを楽しめる点は、入門機として非常に魅力的です。
Little Fuzzy Driveに似てる?
FZ-1Wは、以前紹介したLittle Fuzzy Driveと似た仕様を持っています。
どちらもFUZZ、TONE、VOLUMEという3ノブ構成で、モード切替スイッチを搭載しています。
ただし、FZ-1Wはシリコントランジスタを採用しているのに対し、Little Fuzzy Driveはオペアンプによる歪み回路を採用しており、弾き心地に違いがあります。
FZ-1WはクラシックなFuzzの魅力を重視しているのに対し、Little Fuzzy Driveは扱いやすさを追求したモデル。
どちらも優れた特徴を持っているので、2台を比較して選ぶのも一興です。
Little Fuzzy Driveに関しては過去記事を参照ください。
もう一つの現行ファズFZ-5
BOSSのレギュラーラインナップにはFZ-5というかなり個性的なファズも存在しています。
FZ-5はBOSSが展開するデジタル技術「COSM」を使用したファズペダルで、FUZZFACEやFZ-1A、OCTAVIAをモデリングした3種類のサウンドを搭載しています。
FUZZFACEとOCTAVIAはジミヘンが使用していたでお馴染み
FZ-1AというのがRowlingstone’sのsatisfactionで聞けるあの音を作っていたファズだそうです。
FZ-5の魅力はそんな60年代のヴィンテージファズサウンドを体験できる点ですが
元ネタ以上のゲインレンジを持っていて、さらに過激化したサウンドも楽しめるのも面白い。
また音量のレンジもしっかり確保されているのでアンプをプッシュするブースターとしての用途でも活躍する。
ファズのキャラクターを混ぜてファジーなブースターとして使ってみるとまた新しい価値に触れるきっかけになると思います。
ファズというカテゴリーは名機の回路を再現したコピーモデルも多い中で、FZ-5はデジタルモデリングで再現するという攻めた性質を持っていて独自の輝きを放っています。
2007年発売という事で既に20年近く販売されているにもかかわらず熱心な愛用者を見たことが無いのでこれ実は穴場かもしれません。
皆で是非再評価を。
過去記事にてFZ-5の紹介、応援をしているので気になる方は是非併せてご覧ください。
まとめ
BOSS FZ-1Wは、クラシックなFuzzの魅力とモダンな使いやすさを融合させた技クラフトシリーズの新定番。
初心者から上級者まで、多くのギタリストに愛される一台になる可能性を秘めています。
もしあなたがFuzzペダルに興味を持っているなら、このFZ-1Wを試してみる価値は十分にあるでしょう!
FZ-1Wでファズの弾き方を覚え、魅力にハマり、広大でドス黒いファズ沼に足を踏み入れるきっかけになれば嬉しいです。