ギタリストにとって、歪みエフェクター探しほど尽きない楽しみはないですよね。
最新モデルを試して「これだ!」と興奮したかと思えば、ヴィンテージの名機に触れて「やっぱりこれか…」と唸る。
そのたびに選択肢が広がり、この悩ましい儀式を繰り返してしまうという訳ですが。
実は筆者も最近、歪みエフェクター熱が再燃し、いろいろなモデルを試す日々を送っています。
そんな中、前々から気になっていた「DS-1W」をついに試奏する機会がありました。
DS-1Wと言えばBOSSのロングセラーモデルDS-1をBOSS直々に再構築し新モードも追加した話題の歪みエフェクターで、まさに最新と最古を兼ね備えたモデルです。
この記事では、名機DS-1がどんなエフェクターなのか、そしてアップデート版のDS-1Wの魅力や使い方について詳しくご紹介します。
これを読めば、きっとDS-1Wに興味が湧くはず!ぜひ最後までお付き合いください。
DS-1とは
DS-1は、BOSSが1978年に発売した代表的なディストーションペダルです。
登場以来、40年以上にわたり多くのギタリストに愛され続けており、そのオレンジ色の筐体は、エフェクターボードの定番として世界中のステージで活躍しています。
特に80年代から90年代にかけて、ハードロック、パンクロック、メタル、ハードコアといったラウドなジャンルのギタリストたちにとって、DS-1は欠かせない存在でした。
手頃な価格、使いやすい設計、そして圧倒的なパフォーマンスがその人気の秘訣です。
使用ミュージシャン
DS-1は、数々の伝説的ギタリストによって愛用されてきました。その一部をご紹介します
エドワード・ヴァン・ヘイレン
ジョージ・リンチ
ジョー・サトリアーニ
スティーブ・ヴァイ
マイク・スターン
カート・コバーン
ジョン・フルシアンテ
これらのギタリストを見ると、一見するとジャンルやプレイスタイルには共通点がないように思えます。
しかし、彼らに共通するのは、いずれもギターヒーローと呼ばれる存在であるという点です。
DS-1はその時代を象徴するギタリストたちによって使用され、「ギターヒーローのアイコン的存在」として知られるようになりました。
サウンドの特徴
DS-1のサウンドは、その明るくカラッとしたキャラクターが特徴です。
クランチからハイゲインまで幅広いトーンをカバーし、特にリードトーンでは抜群の存在感を発揮します。
一方で、低域がやや控えめな設計となっており、これが単体で聴いた際には「低域が足りない」と感じられることがあります。
しかし、バンドアンサンブルにおいてはこの特性がむしろメリットとなり、ギターの音が埋もれず、他の楽器との分離感を保ちながら際立つことができます。
そのため、DS-1はギタリストがバンドの中でしっかりと存在感をアピールするための理想的なディストーションペダルといえます。
ジョー・サトリアーニやスティーブ・ヴァイといったギターインスト界隈から高い評価を受けているのも、この特性が理由の一つでしょう。
まさに「Theディストーション」と呼ぶにふさわしいサウンドキャラクターを持つDS-1は、すべてのギタリストが一度は試しておきたい名作です。
過去記事でDS-1の紹介もしているので気になる方はそちらもどうぞ
技クラフトとは
技クラフトは、BOSSが2014年に立ち上げた特別なラインナップ。
アナログ回路を基盤に、BOSSの技術と知識を結集した製品群で、従来のモデルをアップデートしたり、新しいサウンドの可能性を追求しています。
このシリーズは、アナログの温かみや質感を追求する一方、最新技術を活用した「Xシリーズ」とは一線を画す存在。
ギタリストにとって特別な輝きを放つ、プロフェッショナル向けのラインナップとして注目されています。
今回の「DS-1W」も、その技クラフトシリーズの一つとして登場し、BOSSが誇るディストーションの名作「DS-1」を再構築したモデルです。
DS-1Wの特徴
BOSSディストーションの原点DS-1を再構築
DS-1Wは、1978年の発売以来多くのギタリストに愛されてきた「DS-1」をベースに、現代的な解釈で再構築したモデルです。
ディスクリート回路を採用し、従来のDS-1を忠実に再現したスタンダードモードと、
新たな音の可能性を追求したカスタムモードを搭載しています。
スタンダードモード
従来のDS-1を再現したサウンドで、より解像度が高く、レスポンスが良くなった印象を受けます。
ピッキングニュアンスに素早く反応し、弾いていて気持ちが良いディストーショントーンを実現。
ただし、DS-1と直接比較したわけではないので、あくまで筆者の主観ではありますが、細かな改善が施されているのは間違いありません。
以前筆者はSD-1とSD-1Wを比較した際にSD-1Wの方が格段に解像度が上がっているなと感じた経験があります。
DS-1Wも同様の傾向があってもおかしくはないでしょう。
本当に二台並べて弾き比べておけばよかったです。
カスタムモード
スタンダードモードからさらに進化したサウンドが特徴。音量が上がり、中域が強調され、オーバードライブペダルのような厚みやボトム感が加わっています。
特に驚いたのは、ローゲインセッティングでも無理なく自然な音を作れる点。
クランチ的なセッティングでの使いやすさも秀逸で、場合によってはブースターとしても機能します。
このモードは、DS-1のキャラクターを持つオーバードライブ的な感覚で使うのも良いでしょう。
ジャズコーラスは不向き?
「BOSSのエフェクターはジャズコ(Roland JC-120)と相性が良い」という評判を耳にしたことがある方も多いでしょう。
しかし、DS-1に限って言えば、チューブアンプでこそその魅力が最大限に引き出されます。
そんなイメージがあったので筆者はDS-1WをマーシャルのDSLで試奏しました。
ただ、カスタムモードのキャラクターを加味するともしかしたらジャズコでも良いパフォーマンスを発揮できたのではないか?と空想してしまう。
お店で試奏する際には、この点を意識してアンプを選んでみてください。
Theディストーション的な明るいロックサウンド
DS-1Wは、そのオレンジ色の筐体が示す通り、明るくゴキゲンなロックサウンドを奏でます。
ハードロックやオルタナティブロックなどのハイゲインサウンドにはもちろん、 ローゲインセッティングでのブルース・ロックやクランチトーンにも最適です。
湿度の低いカラッとしたキャラクターが非常に心地よく、歯切れの良いリフや煌びやかなソロプレイにピッタリな1台です。
ジャンルを問わず使える万能なディストーションペダルと言えるでしょう。
使用例
スタンダードモードでの使用
従来のDS-1同様、エフェクターボードの歪みセクションの最後尾に置いてハイゲインサウンドを作るのが定番の使い方です。
これにより、しっかりとしたディストーションサウンドを得られます。
スタンダードモードでサウンドを作る際には、TONEツマミの設定がポイントです。
12時以降に設定するとやや高域が強調されすぎる傾向があるため、9時から11時あたりに設定すると耳に優しいバランスが取れるでしょう。
これだけでサウンドの印象がぐっと変わります。
ただし接続するアンプの特性によってはその限りではありません。
当然中域を強調したマーシャルと硬質なハイを持ったフェンダーのシルバーフェイスではそれに接続する機器の使い方も適宜調整しなければなりませんよね。
ご自身でその塩梅を探すのもDS-1及びDS-1Wのスタンダードモードの醍醐味です。
カスタムモードでの使用
カスタムモードでもハイゲインサウンドを作るのはもちろんアリです。
スタンダードモードに比べ、太さと重心の低さが加わり、より迫力のあるサウンドに仕上がります。
また、カスタムモードではゲインを控えめにしてオーバードライブ的に使用するのも効果的です。
TONEを少し上げ目に設定することで、明るく抜けの良いトーンが得られます。
自分好みの設定を探してみてください。
ブースターとしての使用
DS-1Wのカスタムモードは、ブースターとしても非常に優秀です。
特にカスタムモードでは音量レンジが広いため、歪ませたアンプやオーバードライブペダルの前段に配置し、ゲインを低め、音量を大きめに設定して使用すると、ソロやハイライト部分でのプレイに最適です。
ブーストした音にDS-1特有のキャラクターが加わり、より表情豊かな演奏が可能になります。
幅広い用途で活躍する万能ペダル
DS-1Wは、ハイゲインサウンドのメインディストーションとしても、オーバードライブ的な用途でも、さらにはブースターとしても使用できる万能なペダルです。
どの用途でも確実に活躍し、どんなエフェクターボードにもフィットする柔軟性を持っています。
1台持っているだけでさまざまな使い方が可能なDS-1W。
初心者からプロまで、多くのギタリストにとって心強い味方となるでしょう。
まとめ
BOSS DS-1Wは、名機DS-1を現代的にアップデートしたディストーションペダルです。
スタンダードモードではDS-1のクラシックなサウンドを楽しめ、カスタムモードではオーバードライブのような厚みのあるサウンドを作り出せます。
ハイゲインからクランチトーンまで幅広い表現力を持ち、DS-1に欲しかったけど足りなかった要素を見事に融合させたこのペダルは、初心者から玄人まで幅広くおすすめできる一台です。
ディストーションペダルを探しているなら、ぜひDS-1Wを試してみてください。
これからのスタンダードとのなりうるポテンシャルのあるディストーションペダルであると感じました。
参考になれば幸いです。