どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。
「BD-2(ブルースドライバー)は持っておきたいけど、もっと激しい歪みも欲しい」
「ボードのスペースがないから、歪みペダルを2台も置けない」
「ブースターとメインの歪み、組み合わせを考えるのが面倒くさい」
ギターを弾いていると、こんな贅沢な悩みにぶつかることってありますよね。
定番のBOSS BD-2は最高だけど、メタルやハードロックには少しゲインが足りない。
かといってハイゲインペダルだけだと、クランチやニュアンスが出しにくい。
結局、ペダルを2台並べて、パッチケーブルで繋いで……とお金も場所もかかってしまう。
結論から言うと、BOSS JB-2 Angry Driverは、そんな悩みを1台で、しかも最高レベルのクオリティで解決してくれる「反則級のペダル」です。
なぜなら、BOSSの超定番「BD-2」と、JHS Pedalsの人気ハイゲイン「Angry Charlie」という、全くキャラクターの異なる2つの名機を1台に凝縮しているからです。
しかも単に2つ入っているだけでなく、直列・並列接続まで自由に選べるという、魔改造レベルの機能を備えています。
今回は、このBOSSとJHSの奇跡のコラボペダル「JB-2」について、その実力と使いこなし術を徹底レビューしていきます。
JB-2 Angry Driverとは?

BOSS JB-2 Angry Driverは、2017年にBOSSコンパクトエフェクター40周年を記念して発売されたモデルです。
最大の特徴は、アメリカのブティックペダルブランドJHS Pedalsとの共同開発であること。
BOSSといえば「世界標準の安定感」、JHSといえば「マニアックで高品質な改造・オリジナルペダル」というイメージですが、この両者がタッグを組んだことで、とんでもない化学反応が起きました。
白い筐体に赤い文字というデザインも、JHSのブランドカラーを彷彿とさせつつ、BOSSの伝統的なフォルムに収まっているのが熱いポイントです。
2つの伝説的サウンドを1台に
JB-2の中身は、シンプルに言えば「2つの歪みエフェクターが同居している」状態です。
BOSSモード:不朽の名作「BD-2 Blues Driver」

まずはBOSS側のサウンド。
これは名機BD-2 Blues Driverをベースに、JB-2用にチューニングされたサウンドです。
ジャリッとした高域、ピッキングニュアンスへの追従性、ボリュームを絞った時の鈴鳴り感。
まさに「あのBD-2の音」です。 クランチからオーバードライブまで、バッキングや手元で音を作るスタイルに最適です。
個人的にJB-2に収録されているブルースドライバーの音色はオリジナルのBD-2の灰汁(アク)を抜いたような洗練された音色に仕上がっているように感じました。
JB-2はBD-2の上位モデルであるBD-2Wのバリエーションモデルとして見てもいいかもしれません。
JHSモード:モダンハイゲイン「Angry Charlie」

もう一方は、JHS Pedalsの看板商品Angry Charlieのサウンド。
これはMarshall JCM800のサウンドを再現したハイゲイン・ディストーションです。
BD-2とは対照的に、太く、粘りがあり、豊かな中低域を持っています。 リードギターや、ハードロックなリフを弾くには最高のサウンドです。
つまり、「フェンダー系アンプのようなジャキジャキ感(BD-2)」と「マーシャル系アンプのド迫力(Angry Charlie)」が、この小さな箱に同居しているわけです。
これだけでご飯3杯いけますね。
真骨頂は「モードセレクター」にあり

JB-2がただの「2 in 1ペダル」ではない理由は、右端にある6つのモード切替スイッチにあります。
ここがこのペダルのキモであり、一番面白いところです。
単体使用モード(JHS / BOSS)

文字通り、JB-2をJHSモードだけ、もしくはBOSSモードだけを使う設定です。
スイッチでエフェクトのON/OFF
JHSモードならアングリーチャーリーとして
BOSSモードならブルースドライバーとして使用できます。
「今日はBD-2として使おう」
「この曲はAngry Charlieで」といった使い分けが可能です。
切り替えモード(JHS/BOSS)

フットスイッチを踏むたびに、JHSとBOSSが切り替わります(この場合、エフェクトOFFにはできません)。
「AメロはBD-2でクランチ、サビはAngry Charlieで爆音」というチャンネル切り替え的な使い方が、ペダル1台で完結します。
※外部フットスイッチを繋げば、ON/OFF操作も可能になります。
直列接続モード(JHS→BOSS / BOSS→JHS)

ここからが沼の入り口です。2つの回路を直列(シリーズ)で繋ぐことができます。
JHS→BOSS:
ハイゲインなAngry Charlieを、後段のBD-2でレベルブーストしたり音色を整えたりする設定。
BD-2をプリアンプ的に使い、Angry Charlieで歪みを足すような感じでも使えます。BOSS→JHS:
BD-2でブーストして、後段のAngry Charlieをさらに激しく歪ませる設定。
TS系ブースターでマーシャルをプッシュするような、王道のリードサウンドが作れます。
並列接続モード(PARALLEL)

個人的にJB-2最強の機能がこれです。
BOSSとJHS、2つの歪みを並列(パラレル)でミックスして出力します。
直列だと音が潰れすぎてしまうことがありますが、並列なら
「BD-2のジャキッとしたコード感」と
「Angry Charlieの太いサステイン」を同時に鳴らせます。
コードの分離感を保ちつつ、音圧も稼げるという、プロセッサーで組むような音作りがコンパクト1台で可能です。
メリット・デメリット
メリット:圧倒的なコスパと省スペース

BD-2(新品約1万円)とAngry Charlie(新品約3万円前後)を別々に買うと、それだけで4万円コースです。
さらにパッチケーブルや電源も必要になり、ボードのスペースも取ります。
JB-2は実売2万円台前半。
この価格で2台分のサウンドと、高度なルーティング機能が手に入るのは、正直コストパフォーマンスがおかしい(褒め言葉)レベルです。
また、BOSS筐体なので耐久性は折り紙付き。ライブでガンガン踏んでも安心です。
デメリット:2軸ノブの操作性と視認性

機能が多い分、操作系は少し窮屈です。
LEVEL、TONE、DRIVEのツマミがすべて2軸ポット(同軸ツマミ)になっています。
外側がJHS、内側がBOSSのコントロールなのですが、ライブ中の暗いステージでパッと見て「今どっちがどのくらいの設定か」を把握するのは慣れが必要です。
また、指が太い人は内側のツマミを回す時に外側も一緒に回してしまいがちです。
どんな人におすすめ?

このペダルは以下のような人に特におすすめです。
ボードをコンパクトにしたい人: 歪み2台分の仕事を1台でこなせます。
音作りの幅を広げたい中級者: 直列・並列の実験は、音作りの勉強に最適です。
マーシャル系とフェンダー系の歪みを両立させたい人: 異なるキャラクターの歪みを1曲の中で使い分けたい人に。
初めて「いい歪み」を買う人: 最初の1台としても優秀。これさえあれば、将来的に好みが変わっても対応できます。
競合機種との比較
BOSS BD-2W (技クラフト)

「とにかく極上のブルースドライバーの音が欲しい」という一点突破なら、BD-2Wのカスタムモードの方が太くリッチな音がします。
JB-2のBOSSモードも優秀ですが、ブルースドライバー単体として見た場合BD-2Wの専用チューニングには一歩譲る印象です。
JHS Angry Charlie V3

本家のAngry Charlieは3バンドEQ(Bass, Mid, Treble)を搭載しており、より細かい音作りが可能です。
JB-2はTONE(高域調整)のみなので、JHSモード単体での音作りを突き詰めたいなら本家が有利です。
ただし価格はJB-2の方がだいぶ安いです。
その他の2in1ペダル
他メーカーからも2in1ペダルは出ていますが、「BD-2とマーシャル系」という、ありそうでなかった「水と油」のような組み合わせを、BOSSの技術力でまとめ上げた安定感はJB-2唯一のものです。
例えば以前当ブログでも紹介したXoticのAC Booster V2はかなり作り込めるオーバードライブにブースターを備えたペダルですが、ブースター単体では使えませんしルーティングも選べません。
2in1のペダルの中でもJB-2はかなり自由度の高いエフェクターです。
よくある質問(Q&A)
Q: 初心者でも使いこなせますか?
A: ツマミが多くて最初は戸惑うかもしれませんが、基本的には「2つのエフェクターがくっついてる」だけです。
まずは単体モード(JHSまたはBOSS)でそれぞれの音を楽しみ、慣れてきたらミックスに挑戦すればOKです。
長く使えるので初心者にもおすすめです。
Q: 外部フットスイッチは必要ですか?
A: 必須ではありませんが、あると便利さが倍増します。
特に「JHS/BOSS切り替えモード」を使う場合、本体スイッチは切り替え専用になり、エフェクトのON/OFFができなくなります。
外部スイッチ(FS-5Lなど)を繋げば、手元でモードを変えつつ足元でON/OFFしたり、逆にON/OFFしつつブーストをかけたりと、操作性が格段に上がります。
Q: ノイズは気になりますか?
A: ハイゲインなAngry Charlieが入っているため、ゲインを上げすぎれば当然ノイズは出ます。
しかし、BOSSクオリティのノイズ対策がされているため、同等のハイゲインペダルと比べても標準的か、やや優秀な部類です。
まとめ
BOSS JB-2 Angry Driverは、単なる「人気ペダルの抱き合わせ」ではありません。
「繊細なクランチ」と「轟音ディストーション」という、ギタリストが欲する2つの極端なサウンドを1台にまとめ、さらにそれらを融合させることで新しいサウンドを生み出すことができる、クリエイティブなツールです。
これ1台ボードに入れておけば、ブルースセッションからハードロックのライブまで、涼しい顔して対応できるでしょう。
「BOSSで十分?いやいや、BOSSが最高なんだよ」と言いたくなる、名機中の名機です。
気になった方は、ぜひ楽器店で、特に「パラレルモード」のサウンドレンジを体感してみてください。きっとニヤリとしてしまうはずです。
BOSS ( ボス ) / JB-2 Angry Driver
おまけ

↓JB-2のテーマソング♪












