【BOSS BD-2Wレビュー】BD-2の完全上位互換?JB-2との違いも比較

「最高」のその先へ。青いペダルは、伝説を脱ぎ捨てて「技」となった。
どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。
ギターを始めて、最初の壁を乗り越えた頃に手にすることの多い名機
BOSS BD-2(ブルースドライバー)。
しかし、使い込むほどに「もう少し低域に厚みが欲しい」「ゲインを上げた時のノイズが……」といった、愛ゆえの不満が出てくるものです。
結論から言うと、BOSS BD-2W(技 WAZA CRAFT)はBD-2の欠点を工学的に解消した「完全上位互換」です。
単なる復刻ではなく、BD-2の系譜を「洗練」と「強化」の二方向に拡張した、まさに歪みペダルの終着駅と言えるでしょう。



「技 WAZA CRAFT」という名のフルチューンナップ

BD-2Wを語る上で避けて通れないのが、BOSSのエンジニアが情熱を注いだ「技 WAZA CRAFT」シリーズの設計思想です。
これは単にパーツを高級にしただけではありません。
プレミアムなバッファとディスクリート回路
通常のBD-2は量産性を考慮した回路構成ですが、BD-2Wはフル・ディスクリート設計を採用しています。
これは汎用ICチップに頼らず、一つひとつのパーツを組み上げることで、信号の純度を極限まで高める手法です。
これにより、ピッキングした瞬間のトランジェント(音の立ち上がり)が劇的に改善。
さらに、OFF時の音痩せを防ぐプレミアム・バッファを搭載しているため、エフェクトを繋ぐことによる「鮮度の低下」を気にする必要がなくなりました。
2つのモードが描く、BD-2の「過去」と「未来」

BD-2Wの最大の特徴は、スイッチ一つで切り替えられる「スタンダード(S)」と「カスタム(C)」の2つのモードです。
スタンダード(S)モード:高解像度なBD-2
オリジナルのBD-2サウンドを忠実に再現したモードです。
しかし、実際に弾いてみると「解像度」の差に驚くはず。
BD-2特有のジャリッとした高域の倍音成分を維持しながらも、耳に刺さるトゲが取れ、よりハイファイでクリアな出音になっています。
「あの音は好きだけど、もう少し質感を上げたい」という欲求に対する、工学的な回答がここにあります。
カスタム(C)モード:メイン歪みへの覚醒
ここがBD-2Wの真骨頂です。
カスタムモードに切り替えると、中域(ミッドレンジ)から低域にかけての密度がグッと増し、音圧が大幅に強化されます。
BD-2の弱点だった「シングルコイルだと音が細くなりすぎる」という現象を、周波数特性の変更によって見事に克服しているんです。
サスティンの向上: 粘りのあるロングトーンが可能に。
ピッキングへの追従: 歪みの解像度が高いため、手元のボリューム操作でクリーンからオーバードライブまで自由自在。


もう一つの進化系「JB-2 Angry Driver」との決定的違い

BD-2の進化を語る上で、JHS Pedalsとコラボした「JB-2 Angry Driver」を無視するわけにはいきません。
しかし、この2台は設計思想が根本から異なります。
迷ったら「BD-2W」、沼るなら「JB-2」
JB-2は、BD-2のサウンドと、マーシャルJCM800系ハイゲイン「Angry Charlie」を1台に凝縮し、直列・並列接続まで可能にした「変態的(褒め言葉)」な多機能ペダルです。
対してBD-2Wは、「BD-2そのものを磨き上げる」という一点に特化しています。
| 特徴 | BD-2W (技クラフト) | JB-2 (Angry Driver) |
| 設計思想 | BD-2の純粋なブラッシュアップ | 異系統の融合と多彩なルーティング |
| 操作性 | シンプル(迷わない) | 複雑(2軸ノブ・6モード) |
| サウンド | 常にBD-2の系譜にある | 凶悪なハイゲインまでカバー |
| 推奨ユーザー | 本物のトーンを追求する人 | 実験的・多機能派の玄人 |
ツマミが多すぎて迷ってしまう「選択のパラドックス」を避け、常に「正解のトーン」を求めるなら、BD-2Wの方が圧倒的に認知負荷が低く、演奏に集中できます。

ブルースドライバーに加えてハイゲインなサウンドも収録
しかも音が良い!操作はやや複雑だけど最高の相棒になり得る一台
音響工学的に見る「BD-2W」の優位性

トランジェントの維持とサチュレーションの密度
BD-2Wのカスタムモードをオンにすると、なぜ「弾きやすい」と感じるのか。
それは、入力信号に対するサチュレーション(飽和感)の密度が、従来のモデルよりも細かくチューニングされているからです。
強いピッキングでは真空管アンプのような心地よい潰れ(サグ感)が発生し、弱いピッキングでは原音の芯が残る。
このレスポンスの速さは、デジタルシミュレーターでは到達しにくい、アナログ回路ならではの「有機的な弾き心地」を生み出しています。


ブルースドライバーの完全上位互換
予算が許すなら絶対こっち買った方が良いです。
よくある質問(読者投票:あなたはどっち派?)
Q. BD-2W、どちらのモードがあなたのスタイルに合う?
A派:スタンダードモード愛好家
「BUMP OF CHICKENやNUMBER GIRLのような、ジャキッとした疾走感のあるカッティングがしたい!」
👉 従来のBD-2の個性を愛しつつ、ノイズレスでクリアな質感を求めるならこちら。ストラトやテレキャスの「鳴り」を活かしたい人に最適。
B派:カスタムモード愛好家
「B’zの松本さんのような粘り強いリードや、King Gnuの常田さんのようなエッジの効いた分厚い壁を作りたい!」
👉 メインの歪みとして、アンプを強力にドライブさせたいならこちら。低域の補強により、ハムバッカーのギターでも「BD-2らしさ」を保ったまま太いサウンドが作れます。
まとめ
BD-2Wは、決して「初心者のためのステップアップ機」という狭い枠に収まる機材ではありません。
完全ディスクリート回路による圧倒的なレスポンスと解像度
SモードはBD-2の魅力を損なわずハイファイ化した「正統進化」
Cモードは低域と音圧を強化し、メイン歪みへと変貌した「覚醒」
プレミアム・バッファにより、繋ぐだけでシステム全体の鮮度が向上
JB-2のような多機能さはありませんが、そのシンプルさこそが「決定回避の法則」からあなたを救い、理想のトーンへの最短距離を示してくれます。
楽器店で見かけたら、ぜひその「技」の輝きを体感してみてください。
あなたのギターライフが、この青いペダルと共に、より彩り豊かなものになりますように!








