「あんなに弾けたら楽しいだろうなー」って言うけど下手でも楽しくない?

「上手くなったら楽しくなる」は大間違い。
脳は「楽しいから上手くなる」ようにしか設計されていない。
どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。
新潟の冬は、ギターを弾く以前に「いかにして指を解凍するか」から練習が始まります。
寒さで動きが鈍い指を見ていると、「もっと上手くなれば、寒さなんて関係なくバリバリ弾けるのに…」なんて思ってしまいますよね。
「今は辛いけど、上手くなったら絶対に楽しいはず!」
そう信じて、歯を食いしばって基礎練習を続けていませんか?
その精神力は素晴らしいですが、脳科学の視点で見ると、実は「非常に効率の悪い遠回り」をしている可能性があります。
結論から言うと、「上手くなったから楽しい」のではなく、「楽しいと感じる脳内状態が、結果として上達を引き寄せる」のが正解です。
今回は、根性論を捨てて「脳の報酬系」をハックし、勝手に上手くなるサイクルを作る方法について解説します。




「修行」は脳にとって非効率?「楽しさ」が上達の着火剤になる科学的理由

「今は下手だからつまらない。上手くなれば楽しくなる」
この考え方は、「報酬(楽しさ)」を先送りにしている状態です。しかし、人間の脳はそれほど我慢強くできていません。
ドーパミンが出ないと「学習回路」は強化されない
脳には「A10神経系」と呼ばれる報酬系回路があります。
「楽しい」「気持ちいい」「できた!」と感じた瞬間にドーパミンが放出され、その直前に行った行動(ギターの練習など)を「生きるのに重要な行動だ」と脳が認識し、神経回路を太く強化します(強化学習)。
逆に、「つまらない」「苦痛だ」と感じながら練習していると、脳はそれを「避けるべきストレス」として処理します。これでは、どれだけ時間をかけても効率よくスキルが定着しません。
| 状態 | 脳内物質 | 練習の効果 |
| 楽しい!弾きたい! | ドーパミン | 記憶定着率アップ・集中力向上・習慣化しやすい |
| つまらない・義務感 | コルチゾール(ストレス) | 記憶定着の阻害・意欲低下・「学習性無力感」のリスク |
つまり、「楽しいと思えている状態」こそが、最強の練習環境なのです。
上手くなっても「楽しさの総量」は変わらない説

「プロみたいに弾けたら、今の100倍楽しいんだろうな」
そう思うかもしれませんが、実際は「楽しさの総量」は初心者も上級者もあまり変わりません。変わるのは「楽しさの種類(質)」だけです。
初心者の楽しさ vs 上級者の楽しさ
楽しさにはフェーズがあります。
初心者の楽しさ(発見と驚き)
「ジャーンと鳴らしたら大きな音が出た!」
「Fコードが初めて鳴った!」
脳への刺激: 新鮮な体験による、プリミティブな喜び。
上級者の楽しさ(表現と没入)
「イメージ通りのニュアンスでチョーキングできた」
「バンドのグルーヴと一体化した」
脳への刺激: 予測と実行が一致した時の快感、フロー状態への没入。
初心者の頃の「音が出ただけで感動!」という体験は、上級者になると当たり前すぎて感じなくなります。その代わり、より高度な課題をクリアする喜びが得られます。
つまり、今この瞬間のレベルで「楽しい」と思えていない人は、上級者になっても別の悩み(理想とのギャップなど)で苦しむだけなのです。
「今はつまらないけど我慢」は危険信号

もしあなたが今、「ギターがつまらない」と感じているなら、それは「今の練習方法や向き合い方が、あなたの脳に合っていない」という緊急サインです。
「3巻まで読めば面白い漫画」理論の罠
友人に「最初はつまらないけど、3巻まで読めばめっちゃ面白いから!」と漫画を勧められて、渋々読んだ経験はありませんか?
これと同じで、「ここまで上達すれば面白くなるから」と言われて渋々練習しても、その「面白い」と感じる感性が自分にある保証はありません。
今つまらないなら、無理に続ける必要はありません。
「つまらない基礎練習」は一旦捨てて、「今すぐ楽しいと思えること(好きな曲のリフを弾く、エフェクターで変な音を出すなど)」に全振りしてください。
脳を「楽しい」と錯覚させるテクニック
どうしてもやる気が出ない時は、脳の性質を利用しましょう。
好奇心を刺激する「なんでこのギタリストはこんな変な音が出るの?」と深掘りする。
寄り道をするギターに飽きたら、機材をいじったり、DTMを触ったりする。「飽きっぽい」は脳が新しい刺激を求めている証拠です。
まとめ
ギターの上達において、「楽しさ」は結果ではなく前提条件です。
脳の仕組み: 「楽しい」と感じてドーパミンが出ている時、学習効率は最大化する。
楽しさの変化: 上達しても楽しさが「増える」わけではなく、「種類」が変わるだけ。今のレベルでの楽しさを味わい尽くすべき。
対策: 「つまらない」と感じたら、我慢せずに練習内容を変えるか、ハードルを極限まで下げる。



今日のワンステップ
「今、一番弾いていて気持ちいいフレーズ」を、アンプ(またはヘッドホン)から大きな音で1回だけ鳴らしてみよう。
細かいミスは無視して、「音を出す快感」を脳に思い出させてあげてください。
あなたのギターライフが、ドーパミン溢れる最高のものになりますように!
おまけ








