ギターx心と身体

ギターは急に上達しない|“緩やかな成長”を受け入れた人が最後に勝つ理由

「ギターを始めたけど、全然うまくならない」「練習してるはずなのに、変化が感じられない」
そんなふうに感じている人は多いはずだ。筆者自身も、何度もそういう思いを経験してきた。

でも結論から言ってしまうと──
ギターの上達は、極めて緩やかである。

一夜にして劇的に変わるような“爆伸び”なんて、ほぼ起きない。
ギターという楽器は、そういう種類のものではないのだ。

では、なぜギターの上達がこんなにも緩やかなのか?
どんな練習が効果的なのか?
そして「上手くなれない…」と感じたとき、どう向き合うべきなのか。

この記事では、ギター上達に対する期待と現実のギャップに悩む全てのプレイヤーに向けて、心が軽くなる考え方と、堅実な上達のヒントを伝えていきたい。

「練習すればすぐ上手くなる」は幻想

ギターは“弾いた分だけ上手くなる”というのは間違いではない。
ただし、その「上手くなる」のスピードが想像よりずっと遅い。

これは、練習に問題があるわけではない。
むしろギターという楽器自体が、そもそも「地道な成長を必要とする楽器」だからだ。

指先の細かい動き、リズム感、耳の感度、コードの押さえ方、ピックの角度──
そのすべてが積み重なって“音楽”になる。

「この練習をやれば一気に上達!」
なんて都合のいい方法は、現実には存在しない。
YouTubeやSNSではよくそういうキャッチコピーを見かけるけれど、実際は“地味な作業の反復”が9割を占める。

派手なスケール練習や速弾きよりも、
「Fコードをしっかり鳴らす」「16分の刻みをぶれずに弾く」
といった基本動作を丁寧に繰り返すことの方がよっぽど重要だ。

最初から“うまく見える人”の正体

周りに「最初からうまかった人」がいると、自分だけがダメなんじゃないかと思ってしまう。
でも、そういった人たちは“ゼロから始めた人”ではないことが多い。

たとえばこんな背景があるケースがほとんどだ:

  • 昔ピアノやドラムをやっていた

  • 学生時代に軽音部や吹奏楽を経験していた

  • 子どもの頃から音楽に親しんでいた

  • 勉強やスポーツで「学び方」「練習の進め方」が身についている

  • 日々の生活に「練習を継続する習慣」がある

つまり、“あらゆる経験の延長線上でギターに触れた人”が、うまく見えるのは当たり前。
それを「才能」と勘違いして、自信をなくしてしまうのは非常にもったいない。

センスと個性は才能ではなく、リテラシーの積み重ねTreadsに投稿した下記の内容をもとにした記事です。 投稿者: @hirosada_yoshida Threads...

ギター上達は「総合点の積み上げ」

ギターが難しいのは、「ひとつの要素」だけ練習しても全体の完成度には結びつかないところにある。
まさに“総合点”の世界だ。

  • コードチェンジが早くても、右手のリズムがズレていたら台無し

  • 指が動いても、音の粒が揃っていなければ聴き手には伝わらない

  • 曲が弾けても、テンポや音量が不安定なら“上手く”は聴こえない

だからこそ、“練習フレーズばかりを収集している”と上達が停滞しやすい。
「この指使い、良さそうだな」「これ練習になりそう」と、断片的な練習ばかり繰り返すよりも、実際に曲を通して弾く練習の方が効果が出やすいのだ。

「曲を弾く」ことの圧倒的メリット

練習フレーズばかりに偏ると、演奏に実戦感がなくなってしまう。
対して「曲を弾く」ことには、以下のようなメリットがある:

  • 構成・展開を覚える力がつく

  • リズムの持続力が鍛えられる

  • フレーズの“流れ”を意識できる

  • 「音楽的な演奏」ができるようになる

1曲弾けるようになれば、それだけで「音楽を演奏している感」が一気に増す。
さらに「この曲のBメロ、ちょっと弾きにくい」といった具体的な課題も見えてくる。

それがまた、練習の方向性を明確にしてくれる。
「ただ指を動かす」練習から、「音楽を鳴らす」練習に変わる瞬間だ。

ギター歴1年の差は“いずれ誤差”になる

よく、「自分より1年先に始めた人が異常にうまい」という話を聞く。
確かに最初のうちはその“歴の差”が大きく感じられる。

でも、ギターは継続こそが最大の武器
たとえ今は差があっても、1年後・2年後には「ほぼ互角」どころか「逆転」することも珍しくない。

大事なのは、自分の方がたくさん弾いているかどうか。
触っている時間が長ければ、それだけ差は詰まるし、抜かすこともある。

これは決して精神論ではない。
実際、ギターに限らずどんな分野でも、取り組んだ時間×質の積み上げが一番強い。

成長曲線は「右肩上がり」ではない

ギターを弾いていると、ある日突然“急にうまくなった気がする”日がくる。
しかしその直前まで「まったく変化がないように思えた」期間があったはずだ。

これがいわゆる“停滞期”であり、
**ギターの成長は右肩上がりではなく「階段状」**に伸びるのが特徴だ。

  • 「伸びていないように見える」期間が続く

  • ある日「ポン」と段を上がる

  • しばらくまた停滞する

  • ある日また段を上がる

この“段を上がる”タイミングは、自分ではコントロールできない。
でもそれが訪れるには、毎日弾いていることが絶対条件だ。

ギターの成長を実感できないあなたへ|停滞期と加速期を乗り越える考え方ギターの上達が止まったように感じる瞬間 ギターを弾いていると、ふとした瞬間にこんな風に思うことがある。 「なんか最近、全然上達してる...

結局、ギターは「続けた人が勝つ」世界

極端なことを言うとギターの上達に近道も遠回りも無い。
あるのは、「日々の積み重ね」と「正しい方向での継続」のみだ。

うまくなりたいなら、“やめないこと”が最重要。

  • 弾けない時期もあっていい

  • 練習しない日があってもいい

  • でも、やめなければそれでいい

ギターが上手い人というのは、才能があったわけでも、特別な環境だったわけでもない。
単に、人より多くギターを触り、やめなかっただけだ。

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ギターは「気付いたらうまくなってる」楽器

  • ギターは急激にうまくなることはない

  • 上手に見える人には今までの蓄積がある

  • 練習フレーズより曲練習が効果的

  • 歴1年の差は、数年後には誤差

  • 成長は“階段状”にやってくる

  • 継続こそ最大の才能

ギターは“やる気”がある人がうまくなるのではなく、
“やり続けた人”が、ある日気付いたらうまくなっている──そんな楽器だ。

焦らず、比べず、淡々と。
ギターと向き合っていけば、必ず後からついてくる。

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ABOUT ME
吉田寛定
新潟市在住のギターインストラクター。 趣味ギタリストに向けた“ちょうどいい温度感”の発信を心がけています。 新潟市江南区のギター教室|7丁目ギター教室にて無料体験レッスン受付中。亀田・横越エリアの方はぜひどうぞ。