ギター初心者向け

Ibanez AZESが良さそう!エレキギター入門に最適! Pacificaは?

「初心者向けのエレキギターって、どれも似たり寄ったりなんじゃないの?」
正直、最初はそんな印象を持っていた。でも、IbanezのAZESシリーズに出会ってから考えが変わった。

実は今、筆者自身がこのAZESを本気で購入検討中だ。
というのも、教室用貸出用ギターを探している中で、いろいろ条件に合いすぎていたから。

この記事では、AZESシリーズのラインナップや特徴をはじめ、筆者がなぜ気になっているのか、どちらのモデルを選ぶべきか、そして初心者向けギターに求める条件とは何かについて、しっかり整理してお伝えする。

AZESは「初心者向けだけど本気仕様」

Ibanez AZESシリーズは、いわゆる“エントリーモデル”に位置づけられるギターだ。
価格帯も3〜4万円台と非常に手頃で、スペックだけ見ると
「お、小遣いでなんとかなるかも?」と思う人も多いはず。

でも、ただの安ギターより一歩踏み込んだ仕上がりになっている。
その理由は後述するが、Ibanezらしいこだわりの詰まった設計と、幅広いサウンドメイクに対応する仕様が詰め込まれていて、価格以上の満足感が得られる一本になっている。

ラインナップは2モデル。どちらも優秀

AZESシリーズには、現時点で以下の2モデルが存在する。

● AZES31

Ibanez AZES31
  • ピックアップ:3シングルコイル(SSS)

  • ブリッジ:ハードテイル(固定式)

● AZES40

Ibanez AZES40
  • ピックアップ:SSH(シングル×2+ハム×1)

  • ブリッジ:トレモロブリッジ(アーム付き)

共通仕様

いずれも、以下の仕様が共通となっている。

  • メイプルネック

  • ジャトバ指板(見た目はローズウッドに近い)

  • ポプラボディ

  • 22フレット

  • スケール長:25インチ(やや短め)

  • 指板R:250mm(丸めで押さえやすい)

  • 5wayセレクター

  • アルタースイッチ搭載

  • スプリットシャフトペグ(弦交換が簡単)

  • 樹脂一体型ジャックプレート

本体重量はネット通販で出ているものを見る限りでは
AZES31がだいたい3.1kg
AZES40がだいたい3.2kg
とかなり軽量な部類

アルタースイッチ

特に「アルタースイッチ」が特徴的で、これはピックアップの配線方式を変更してハムバッカー的なサウンドを出したり、直列/並列を切り替えたりできる便利なスイッチだ。
Ibanez独自の電子回路によって、1本でさまざまな音が出せる設計になっている。

二つ以上のピックアップが選択されている場合は並列で出力される仕様が一般的
これはそれぞれのピックアップの出力がミックスされる状態、いわゆるハーフトーンが正に並列出力だ。中域が引っ込み、ノイズが減る傾向がある。

一方直列はというと二つのピックアップの出力が合算されることでより出力が大きくなる。
また、中域が強調され高域が抑えられる傾向になり、パワー感が増しアタックがマイルドに、そしてノイズも増える。

下記の図は各モデルのサウンドバリエーションを表している。
白いピックアップはOFF、赤いピックアップはON、緑のピックアップは直列でONの状態だ。

5WAYセレクターでアルタースイッチのON/OFF切り替えがある。
つまり、全部で10種類のスイッチングが出来る訳だが、重複する組み合わせもあるため
AZES31は8種、AZES40は9種のサウンドバリエーションを楽しめる。

AZES31の方が音色が少なくやや見劣りするかもしれないが、フロントでもリアでも直列配線が使えるのは心強い
直列配線にすることで疑似ハムバッカーとして使えるため、実は結構ラウドなプレイも出来てしまう。
例えばソロの時にアルタースイッチをONにすることでブースター的に使うことも可能だ。

一般的なギターに比べて圧倒的に多彩な音色を操れるのがAZESの魅力だ。

価格とスペックのバランスが絶妙

価格帯としては以下の通り。

  • AZES31:税込約38,000円前後

  • AZES40:税込約45,000円前後

完全に“初心者向け”と呼べる価格帯だが、正直この内容でこの値段なら破格と言っていい。

筆者が購入を検討している理由

筆者ギター教室を運営していることもあり、教室用の備品として使えるギターを探していた。
その際、以下の点でAZESシリーズが理想的だと感じた。

  • 価格が手頃で、生徒にもおすすめしやすい

  • 軽量で持ち運びが楽(特に中高生や女性にも向く)

  • ネックの仕上がりが滑らかでストレスが少ない

  • 5way+アルタースイッチで幅広いジャンルに対応できる

  • デザインが地味すぎず派手すぎず、見た目で損をしない

  • トモ藤田先生監修

教室で貸し出して、気に入った生徒さんがそのまま同じ機種を買う──
そういう流れが理想だと思っていたが、AZESならそれが実現できそうだ。

特に普段はアコギだけどエレキにも興味が出てきた、という生徒さんも多い。

アコギと比べエレキは仕様が細かいため、具体的なおすすめモデルを提示してもらえた方がありがたい人も多いはず。

そして決め手はバークリー音楽大学教授であり人気ギターYouTuberでもあるトモ藤田先生がAZESの監修に携わっていること。

指導者としてもプレイヤーとしても超一流。
日本が誇る世界的ギタリストのお墨付きとあらば、認めざるを得ない。

YAMAHAのPacifica(PAC112)はどうなの?

初心者向けのモデルで真っ先に名前が挙がるのはPacifica(PAC112)だろう。

迷わずPacifica買っとけという空気感があるのは分かるし実際良いギターだ。
価格も素晴らしい。

ただ、2025年6月現在の話をすると、Pacificaはおススメできない。

理由はネックの仕上が甘いと感じるレベルだからだ。

ネックの仕上は大きく分けて3つ
艶感のあるグロスフィニッシュ
艶消しのサテンフィニッシュ
そして無塗装、オイルフィニッシュ

Pacificaのネックは無塗装を採用している。

安価なギターによく採用される無塗装ネックだが、磨き工程の品質が低いと非常に手触りが悪い。

実際に新品と中古のPacificaのネックを触ってみるとサラサラ感が違うのが分かる。

楽器店勤務の友だちに話を聞いてみると、どうやら最近工場が変わったらしく以前と仕上がりが変わっているかもしれないとのこと。
そのうちブラッシュアップされて品質は向上していくかもねって事らしい。

気になる様なら購入後に自分でヤスリで磨けば良いとも思ったが、そもそもそんな仕上する位だから他の箇所にも気を配れているかも疑問という話で。

今Pacificaを買うなら中古で探した方が良いかもなーというのが筆者の見解だ。

これはあくまでPAC112の話。
より上位のモデルに関しては別途検証が必要だ。

そして筆者はこれから楽器店に行く度にPAC112のネックをサッと撫で、もし手触りが改善されていればこっそりこのトピックを消そうと思う。

Ibanezならではの注意点もある

良いことばかりに見えるが、懸念点もある。

Ibanezは自社開発のパーツを多用する少々癖のあるメーカーで、
一部の部品が汎用品で代替しにくいという特性がある。

例えば、樹脂製の一体型ジャックプレートが破損した場合、専用パーツでないと合わない可能性がある。
その場合は都度Ibanezに問い合わせて部品を取り寄せる必要がある。

この点は、長く使う上で多少のリスクとなる。
ただし、Ibanezであれば大抵の楽器店と取引があるだろうし、価格帯を考えれば許容できる範囲だと思う。

あとカラーバリエーションがやや独特かなーと感じる。
ボディカラーの発色、ピックガードの色など、Ibanezが得意とするモダンで洗練されたスタイルとはまた別のクラシカルな印象がある。

どんなギターにも言える事だがデザイン面では好みが分かれそう。

どっちを買うべきか?結論はAZES40

AZES31はハードテイル仕様なので、弦交換やチューニングの安定性には非常に優れる。
でも、アームが使えないというのは表現の幅を制限することにもつながる。

AZES40であれば、最初からアーミングを含めた演奏ができ、SSH構成でパワフルなサウンドも得られる。
アルタースイッチとの組み合わせで、ジャンル問わず対応可能な一本になる。

とくに明確なこだわりがない場合は、AZES40を選んでおくのが間違いない。
その方が後々の選択肢が広がる。

Ibanez AZES40
Ibanez AZES40

2025年度版のカラーバリエーションは以下の通り。

個人的に気になるのはPastel PinkとMint Green

ミントピックガードとの相性や無難で飽きが来ないBlackも良いかも。

AZES31が勝るポイントもある

もちろん、AZES31にも強みがある。

  • チューニングが狂いにくく、メンテが楽

  • シングル3発なので、カッティングやクリーンが映える

  • ハードテイルなので初心者でもすぐ扱いやすい

  • フロントとリアで直列配線が使えるためアルタースイッチをブースター的に使える

  • 値段が安い

カッティング主体やクリーン重視のプレイヤー、もしくは「アーム使わないし、できるだけ安く済ませたい」という人には、AZES31のほうがフィットする。

トモ藤田先生の動画でもたびたび見かけるモデルでもある。

Ibanez AZES31
Ibanez AZES31

2025年度版のカラーバリエーションは以下の通り。

こちらに関しては個人的にはVermiliom一択かなーと。

Ibanezは頻繁にカラーバリエーションを増減させる傾向があるため、気に入ったものがあれば今のうちに購入しておくことがおススメ。

初心者も中級者も満足できる一本

Ibanez AZESシリーズは、初心者だけでなく、中級者がサブ機として使っても十分に活躍できるクオリティを持っている。
教室やスタジオ用の機材としても優秀で、価格・性能・扱いやすさのバランスが非常に良い。

「最初の一本」として選んでも間違いなし。
筆者も実際、次の買い物リストの筆頭に入っている。

ギターを始めたい人、もう一本軽めのギターが欲しい人、そして教室で複数人に試奏してもらいたい人にも強くおすすめしたいモデルだ。

またAZESで上達した後、もっといいギターが欲しいとなった時はその完全上位互換
AZシリーズも用意されている。

Ibanezは世界で活躍する日本が誇るギターメーカーだ。
積極的に応援していきたいという気持ちもあって紹介させてもらった。

今後本当に買ったときにはまたレビューを投稿するかもしれない。

ABOUT ME
吉田寛定
新潟市在住のギターインストラクター。 趣味ギタリストに向けた“ちょうどいい温度感”の発信を心がけています。 新潟市江南区のギター教室|7丁目ギター教室にて無料体験レッスン受付中。亀田・横越エリアの方はぜひどうぞ。