エフェクターレビュー

Maxonの歪みエフェクター:特徴とおすすめモデルを徹底解説!

流行のエフェクターは一通り試してみたけれど、やっぱりみんなと同じでは物足りない。
そんなときに注目したいのが、昔から存在するのに今では少しマニアックな立ち位置ともいえるMaxon。

手にした瞬間にわかる“国産老舗の信頼感”と、少数派だからこその特別感が、あなたのギターサウンドを一味も二味も変えてくれるはずです。
この記事では、Maxonの歪みペダルの魅力を徹底的に解説します。

Maxonとは


Maxonは1960年代後半に日本で創業されたエフェクターメーカーで、正式には株式会社日伸音波製作所(Nisshin Onpa)が展開しているブランドです。

エフェクターシーンがまだ確立されていない時代から独自の回路開発や製造を行い、数々の名機を世に送り出してきました。

近年は海外の新興ブランドやブティック系に注目が集まりがちですが、Maxonは長年培われたアナログ回路のノウハウと、日本ならではの職人技を兼ね備えた存在として、根強い支持を受け続けています。

Ibanezとの関係


エフェクターに詳しい方であればご存じの通り、世界中のギタリストに愛されている「IbanezのTube Screamer」シリーズは、もともとMaxon(Nisshin Onpa)が開発・製造を請け負っていたもの。

Ibanezブランドとして販売され、TS808やTS9といったモデルが大ヒットし、歪み系エフェクターの定番として不動の地位を築きました。

現在はIbanezとの契約が終了し、Maxonは自社オリジナルブランドとして独自のラインナップを展開。
とはいえ、かつての設計思想や技術的ルーツはしっかりと継承されており、「あのサウンドが好きだけど人と違うモデルを選びたい」という方にとって、魅力あふれる存在であることは間違いありません。

MAXONが生み出す歪み系エフェクターの魅力


ここからは、Maxonの歪み系エフェクターがどうして多くのギタリストを魅了し続けるのか、その理由を多角的に掘り下げていきましょう。

高い完成度と安定性

老舗ブランドらしく、回路の練りこみやパーツ選定が非常に丁寧。ステージでもスタジオでも、常に安定したサウンドと動作を保証してくれます。「ベテランが使っているイメージ」のあるメーカーですが、エントリーユーザーでも扱いやすく、末永く付き合える頼もしさが魅力です。

国産ならではの丁寧なものづくり

筐体の作り込みや内部基板の精巧さなどは、さすが日本企業といえるクオリティ。雑に扱ってもなかなか壊れにくいため、長期的なメンテナンスコストを抑えられるメリットも。ライヴやツアーで酷使するプロギタリストからも信頼されています。

入手しやすいが埋もれない個性

BOSSのように大量生産・世界規模で普及しているわけではない一方、国内での流通自体は比較的多いブランドです。その結果として、入手性がそれほど悪くないのに、周りと被りにくいという絶妙なポジションに。定番機種に埋もれない、自分だけの音を手軽に探せるのが強みです。

カスタムや改造との相性の良さ

アナログ回路の情報や改造例も多く、趣味として改造やパーツ交換に挑戦するユーザーにとっては格好のベースとなることも。
自分好みに音を作り込んでいく過程で、エフェクターを使う喜びをさらに味わうことができます。

シンプル操作で使いこなしやすい

基本的にノブはドライブ、トーン、ボリューム(レベル)といった最小限の構成が中心。これらを組み合わせるだけで幅広い音作りができるため、初心者から上級者まで扱いやすく、かつ奥深いのが魅力です。

なぜ低迷しているのか?


Maxonは長年にわたって高品質なエフェクターを世に送り出してきた老舗ブランドですが、近年では以前ほどの注目度を集めていないと言われることもあります。
その背景には、以下のような要因が考えられます。

ブランドの認知度・マーケティング力の差

IbanezやBOSSなど、大手ブランドの流通網や広告力に比べ、Maxonはどうしても規模が小さめ。
新製品リリースの頻度や派手な宣伝が少ない分、ユーザーの目に触れる機会が限られている。
SNSやYouTubeなどのメディアを活用して積極的にプロモーションを行う新興ブティックブランドの勢いに押され気味。

“老舗ゆえの安心感”が“古いイメージ”に繋がる

国産ブランドらしい丁寧なものづくりは魅力的だが、同時に「古臭い」「尖ったイメージがない」と感じられる可能性も。
ヴィンテージ系やレトロ系のシーンでは根強いファンがいる一方、若い世代には“新鮮みが薄い”と思われがちな面がある。

新興ブティックメーカーの台頭

海外・国内を問わず、多数の小規模メーカーがユニークな回路や革新的デザインのエフェクターをリリースし、注目を集めている。
個性的かつ限定生産の「ブティック系ペダル」に人気が集中しやすく、老舗ブランドは埋もれがち。

過去の成功モデルに対する固定イメージ

「IbanezのTube Screamer開発元」という歴史が有名すぎるあまり、Maxon=TS系ブランドという狭いイメージが定着している。
実際には多種多様な歪みペダルを展開しているのに、「TSの元祖」以上の情報が広まっていない。

輸入・流通チャネルの問題

国内ではそれなりの流通があるものの、海外市場でのシェア拡大が必ずしも十分とは言えず、世界的視野で見ると認知度に課題がある。
逆に海外ブランドが国内で強いルートを持っている場合、そちらが目立ちやすくなる。

現代のニーズに即したモデルを新たにリリースできていない

近年はモダンメタル専用のハイゲインペダルや、多機能なマルチエフェクターなどユーザーのニーズが多様化している。
Maxonは伝統的な路線を大きく外れる製品を積極的に展開していないため、新しいユーザー層へのアプローチがやや弱い。
ブランドとしての強みである「手堅い品質」と「アナログ感」を活かしながらも、トレンドを意識した新しいコンセプトモデルへの展開が期待されている。

これらの要因が複合的に作用し、Maxonの人気が“以前ほどではない”ように見えているのが現状です。
しかし、これは必ずしも「ブランドの実力が衰えた」というわけではありません。
むしろ裏を返せば、今だからこそ知る人ぞ知る”状態を楽しめるチャンスとも言えます。

既に流行の一巡を経ているからこそ、「流行に左右されない歪みペダルを選びたい」というユーザーにとって、Maxonはあらためて注目に値するブランドなのです。

おすすめモデル

ここで筆者的におすすめなMaxon歪みを三種紹介します。

それぞれ異なる魅力を持った歪みなのでご参考までにどうぞ。

OD808X

MAXON ( マクソン ) / OD808X

MAXON ( マクソン ) / OD808X
かつての“Tube Screamer”系サウンドをベースに、より高いゲインとパンチを加えたのがOD808Xです。
マイルドなオーバードライブというより、もう少し攻撃的でモダンな味付けが欲しいという方にぴったり。
中域の押し出し感と高域の抜けが際立ち、バンドアンサンブルでもしっかり存在感を主張できます。

OD820

MAXON ( マクソン ) / OD820 オーバードライブ

MAXON ( マクソン ) / OD820 オーバードライブ
よりヴィンテージ感のあるオーバードライブを求めるならOD820がおすすめ。
オリジナル・チューブスクリーマーに近いウォームなトーンを持ちつつ、濃厚な中低域の厚みがあるのが特徴です。
ギターの原音を活かすような繊細な挙動も魅力で、ブルースやクラシックロックとの相性は抜群。
奥行きのある音を出せるので、ピッキングのニュアンスを最大限に活かしたいプレイヤーに最適です。

SD9

MAXON ( マクソン ) / SD9

MAXON ( マクソン ) / SD9
世間的にはTS系ほどの注目度は高くないものの、その鋭いサウンドキャラクターで根強い人気を誇るのがSD9。
オーバードライブでは物足りないという人に向けた、より激しめのディストーションです。
中高域がしっかりと抜け、ジャズ/フュージョン系のギタリストに人気なモデルです。
リード、ソロ、インストなどでニュアンスを生かした演奏をしたい方におすすめ。

まとめ

流行のエフェクターを一通り試してみると、その良さはもちろん感じられますが、一方で「ありきたりな選択肢にとどまりたくない」という思いも芽生えてくるはず。
そんなあなたにこそ、昔から存在するのに今は少しマニアックな立ち位置となったMaxonの歪みペダルをおすすめします。

老舗ブランドらしい信頼感と、今のトレンドとは一線を画す個性は、周りと同じにならない満足感を与えてくれるはずです。
ぜひあなた自身の耳と指で、Maxonの“ちょっと違う”サウンドを体感してみてください。

ABOUT ME
吉田寛定
ナチュラルハーモニクスで演奏してる人