YAMAHA Pacifica SC PACS+11S レビュー

どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。
先日、あぽろん新発田店さんでYAMAHA Pacifica SC(PACS+11S)を試奏してきました。
結論から言うと、「テレキャスが欲しいけどテレキャスだけじゃ足りない」と感じているギタリストには、かなり刺さる1本です。
逆に、純粋にテレキャスのルックスと音を求めている人には向かない——その話を正直に書きます。
試奏環境はマーシャルDSL100にアン直。
エフェクターなし、ダイレクトにアンプを鳴らした状態での評価です。
試奏させてもらった個体はこちらです。
YAMAHA Pacifica SCとは何者か

YAMAHAのPacificaシリーズといえば、入門機のPAC112Vが有名です。
ただし今回試奏したPACS+11は別物です。
シリーズの上位に位置し、シングルカット(SC)ボディを採用した、テレキャスターインスパイアのモデル。価格帯もそこそこします。
シングルカット(SC)って何?
ボディの上部(ハイポジション側)が一か所だけくぼんでいるギターの形状。
レスポールが代表例。テレキャスターもシングルカット。
対して両側がくぼんでいるのがダブルカット(ストラトなど)。
試奏したのはローズウッド指板の個体。ローズは指触りが滑らかで、メイプル指板と比べてすこし柔らかい音の印象になります。
実際に触って弾いて感じたこと

質感と造りのレベルが高い
最初に抱えた瞬間、「これはちゃんとしたギターだ」と分かります。
PACS+11Sはインドネシアの工場で製造されています。
ただし、手に取った瞬間に感じるのは日本製を思わせる丁寧な仕上がり。
ネックの握り心地も自然で、ローポジションからハイポジションまでスムーズに移動できます。
決して侮れないクオリティです。
20万円以降の国産ギターで感じるような手に馴染む感覚が味わえる良い楽器だなというのが素直な感想です。
楽器も高騰が続いてますし、国産が安くて最高って時代はもう終わりましたね。
あと発色が良いです。
店頭にあったのはミントグリーン、サンバースト、ブラックの三色で
どれも良い雰囲気でした。
ヘッドのデザインは先端部にコインのようなYAMAHAのシンボルマークが貼り付けられ、Pacificaのロゴマークがペグの反対側に印字されており、下位モデルに比べてラグジュアリーな雰囲気です。好きですこれ。
サウンドキャラクターを整理する
このギターのピックアップ構成はHS(フロント:ハムバッカー、リア:シングルコイル)。
そして特徴的なのが「フォーカススイッチ」の存在です。
フォーカススイッチって何?
リアのシングルコイルに対して、擬似的にハムバッカー的なトーンを作り出すスイッチ。
テレキャスのリアに特有の金属的な鋭さやフィードバックが整理され、高域がすっきりして中域が際立つサウンドに。

リア(シングル): テレキャス的な歯切れのある音です。クリーンでのカッティングは非常に気持ちいい。高域がキラッとするあの感覚は確かにあります。
フォーカススイッチON: 高域の刺さりが整理され、音の輪郭がすっきりします。高域が刺さりすぎる場面ではONにすることでコントロールが効き、ハイゲインでのリードにも対応できます。

フロント(ハム):低域がしっかり再生される、迫力のあるトーン。リアのシングルとのコントラストが非常に大きく、同じギターとは思えないくらい音のキャラクターが変わります。リアとフロント、どちらもリード時のメインウェポンとして機能するのがこのギターの面白いところです。
ミックスポジション:クリーンでのミックスが特に気持ちよかった。
コード弾きで音が広がる感じがあり、弾いていて気分が上がります。
全体を通して感じたのは、解像度が非常に高く音に「説得力がある」ということです。
マーシャルDSL100にアン直、リバーブもコーラスも何もかけていない状態で、音がすでに気持ちいい。
クリーンでも歪ませてもアルダーボディのテレキャスタイプならではの豊潤なミッドをしっかり楽しめます。
対応できるジャンルの幅は、ジャズやフュージョンから、グランジ、オルタナ、メタル手前くらいまで。趣味の範囲で弾くジャンルであれば1本でかなりカバーできます。
今回試奏したのがローズウッド指板のモデルだったのですが、非常にバランスのいいトーンに感じました。
メイプル指板はよりパキッとすることが予想されるので、人によってはハイがきつく感じるかもしれません。
ガツンと弾きたい人は是非メイプル指板も試してみてください。
正直に感じたデメリット

前提として非常によくできたギターです。
なので特段ここがイマイチというのは無いんですけど強いて挙げるならば、フォーカススイッチの実用性とフロントハムのキャラクターです。
フォーカススイッチはリアシングルのサブウェポン
フォーカススイッチで得られる音はあくまで「疑似ハム的なトーン」です。
タップスイッチによる疑似シングルのようなどこかのっぺりとした雰囲気を感じます。
本物のハムバッカーが持つ豊潤な中域の厚みや、歪の粒感はそこには出てきません。
リアにハムバッカーを期待して手に取ると、少し物足りなさを感じるはずです。
フォーカススイッチの正しい使い方は、リアシングルの高域が刺さりすぎる場面を整えるサブウェポンとして。
あくまでリアシングルが主軸で、それを状況に応じてコントロールするための機能と理解しておくのが正解です。
個人的にはタップスイッチよりも使える場面が多そうで良い機能だなーとは思います。
フロントがハムなのは好みが分かれる
テレキャスのフロントシングル特有のパキッとした音が好きな人には、このフロントハムの太さは「違う」と感じるはずです。
これは設計の方向性の違いであって欠陥ではありませんが、純粋なテレキャスサウンドを求めているなら話が変わってきます。
こんな人に向いている

- テレキャス系の音は好きだが、ハムバッカーの太さも捨てがたい
- 汎用性の高いギターを1本持っておきたい中級者
- 演奏性の高さを重視している(ネック、ハイポジションのアクセスなど)
- ルックスが個性的なギターに惹かれる
こんな人には向かないかも
- フロントシングルの独特な太さのあるテレキャストーンを求めている
- オーソドックスなルックスを求める人
- とにかく安く入門したい(入門機ではないため)
まとめ
YAMAHA Pacifica SC(PACS+11)は、テレキャスの代替品ではありません。テレキャスをベースに発想した、「使える道具としてのギター」という印象です。
質感・演奏性・サウンドの幅、どれも価格以上のものを感じました。実売は14万円前後。15万円を切る価格でこの品質と鳴りを出しているのは、素直に驚きました。コスパという言葉が軽く聞こえてしまうくらい、造りに満足感があります。
テレキャスが欲しいけど、1本でいろんなことをやりたい——そういう人が手に取ったとき、このギターはかなり誠実に応えてくれると思います。






















