GT-1000COREレビュー| Kemperから乗り換えて実感した魅力

「GT-1000COREって実際どうなの?」
そう思って検索しているあなたに、正直な話を届けたい。
どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。
筆者は8年間、プロの現場でも定番のKEMPER Profiling Power Rackをメイン機材として愛用していました。
宅録はもちろん、ライブのリハーサルから本番まで、どこへ行くにもKEMPERを持ち歩いていました。 音には満足していたんです。でも、ある時ふと腰をさすりながら思ってしまったんですよね。 「もうちょっと機材、軽くならんかな……」と。
そこで思い切って乗り換えたのが、BOSSのフラッグシップ技術を凝縮したGT-1000CORE。
乗り換えてから1年以上、ガッツリ使い込んでみて分かったことがあります。
・KEMPERにもGT-1000COREにも、それぞれの「正義」がある
・ギタリストにとって「軽い」「早い」「分かりやすい」は最大の武器になる
・だけど、乗り換えにあたって注意すべきポイントも確かに存在する
この記事では、KEMPERからGT-1000COREへ完全に機材を入れ替えた筆者の実体験をベースに、「なぜ選んだのか」「音はどう違うのか」「どんな生徒さんにおすすめできるか」を、講師目線でガチ解説していきます。
なぜGT-1000COREに乗り換えたのか?

8年間も連れ添ったKemper Profiling Power Rackを手放し、GT-1000COREに完全移行した理由は、大きく分けて3つあります。
元々、生粋のGTユーザーだった
そもそも自分は、昔からBOSSのGTシリーズには相当な思い入れがあるんです。 名機GT-10、そしてGT-100をメイン機として、日々の練習から宅録、激しいライブまであらゆる場面で使い倒してきました。
もちろんコンパクトエフェクターを並べる楽しさも知っています。ですが、**「音作りの自由度」「トラブルの少なさ」「設定の再現性」**を考えると、GTシリーズの利便性には敵わなかったんですよね。
Kemper導入後も、「あ、これGTなら一瞬で設定できるのにKemperだと手間だな…」という違和感が、ずっと頭の片隅にありました。
機材をとにかく軽くしたかった(切実)
Kemperは3Uサイズのラック型で、本体だけでも約6kgあります。 そこに足元のREMOTEスイッチャーが3kg、さらに頑丈なケースやギター本体を含めると、総重量は優に15kg前後。 正直、毎回のスタジオ練習やライブでの持ち運びが、修行のように辛かったんです。
その点、GT-1000COREはBOSSコンパクトエフェクター約2台分のサイズ感で、重さはなんと1kg以下。この驚異的な省スペース性と軽量性は、移動の多いギタリストにとって救世主に見えました。
日本語サポートの安心感
Kemperは間違いなく素晴らしい機材ですが、海外製品ゆえの悩みもありました。
OSアップデートが頻繁なのは良いことなのですが、日本語マニュアルの更新が追いついていなかったんです。
筆者が確認した時点では、OSはv8.6なのに日本語マニュアルはv7.3止まり(※2022年当時)。
国内ホームページも数年更新がないなんてこともありました。
HUNTER×HUNTERじゃないんだからさ。
新機能を試すたびに、本国の英語マニュアルを解読する必要がありました。
翻訳ツールを使えば読めなくはないですが、細かいパラメーターのニュアンスまで理解して使いこなすには、やはり精神的な負荷がかかります。
日本で活動する以上、BOSSの「困ったときにすぐ日本語で調べられる」という鉄壁のサポート体制は、大きな安心材料でした。
追記:2025年現在ではKemper本国サイトにて 最新の日本語マニュアルが入手可能になっています。
Kemperの良さもちゃんと語っておく
乗り換えたとはいえ、KEMPERに不満だらけだったわけではありません。
むしろ、KEMPERの「凄さ」を理解した上で、自分の用途に合わせてGT-1000COREを選んだというのが正確なところです。フェアに評価しておきましょう。
「アンプの音」としての説得力が圧倒的
Kemper最大の特徴はプロファイリング(アンプの音をコピーする)機能ですが、実際は自分でコピーしなくても、内蔵プリセットや配布されているデータだけで十分に良い音が出ます。
無料のRig Exchangeや有償のプロファイルパックを使えば、マイキングや部屋の鳴りまで計算された極上のアンプサウンドが手に入ります。
「そこに真空管アンプがあるような空気感」というサウンドの完成度においては、今でもKemperはトップクラスの実力を持っています。
エフェクトが異常に高品質
アンプだけでなく、空間系のリバーブ・ディレイ・コーラスなども、高級な単体ラックエフェクターに匹敵するクオリティです。パラメーターも恐ろしく細かく設定でき、音作りオタクにはたまりません。
特にトランスポーズ(ピッチシフト)系のエフェクトの追従性は特筆モノです。
レイテンシー(遅延)を感じさせず、スイッチ一つで「半音下げ」「一音下げ」に瞬時に切り替えられます。 これはライブ現場で本当に重宝しました。
自分も実際にB’zのコピーバンドで使用した経験があります。 「スイマーよ!!」(レギュラーチューニング)
↓
「liar! liar!」(半音下げチューニング)
↓
「ギリギリchop」(レギュラーチューニング)
といった鬼のようなセットリストも、ギターを持ち替えることなくペダル一つで完走できました。あれはKemperありきの曲順でしたね。
このように、Kemper一台あればどんなジャンルでも高次元で完結できるのは、本当に強い武器です。
世界中の極上サウンドをシェアできる
公式の共有サービス「Rig Exchange」や、プロが作成した商用プロファイルのおかげで、自宅にいながら世界中のアンプサウンドを試せます。高いスタジオ代を払わなくても、完成された音源をダウンロードするだけでOK。
特に商用プロファイルの中には、Friedman、Matchless、ビンテージのMarshallなど、実機を買えば数十万〜数百万するアンプの音が数千円で手に入ります。コスパという面でも非常に優れていました。
それでも選んだ、GT-1000COREの「ここが最高」

では、なぜ最高峰のKemperを手放したのか。それはGT-1000COREに、Kemperにはない**「実用的な魅力」**がいくつもあったからです。
アンプの並列(パラレル)使用が可能

GT-1000COREでは、2台のアンプモデルを同時に、しかも並列(パラレル)で鳴らすことができます。 例えば、「片方はハイゲインで歪みを担当、もう片方はクリーンで芯を担当」させてミックスすることで、歪んでいるのにコード感が潰れない、プロのような分厚いサウンドが作れます。
Kemperでもミックス済みのデータを使えば近い音は出せますが、「今の曲だけクリーンの割合を増やしたい」といったリアルタイムでの微調整は、GT-1000COREの方が圧倒的に得意です。
コントロールアサインが優秀すぎる

GTシリーズ伝統の「コントロールアサイン機能」。これが本当に便利なんです。 任意のスイッチやペダルに、複数の動作をまとめて割り当てることができます。
たとえばギターソロの時に、「スイッチを一回踏むだけで、ブースターON + ディレイON + EQで中域を持ち上げる」といった操作を一発で完了させることができます。 足元のタップダンスから解放されるので、演奏に集中できる。これはライブ派には大きな強みです。
手持ちの機材が無駄にならない

このサイズでセンドリターン端子を2系統も装備しています。つまり、お気に入りのコンパクトエフェクターをGTの中に組み込んで使えるんです。
また、BOSS純正のフットスイッチ(FS-7など)やエクスプレッションペダル(EV-30など)はどこでも売っていますし、中古でも安く手に入ります。 Kemperの純正コントローラー、めちゃくちゃ高かったんですよね……。
安価な外部スイッチにも細かい機能をアサインできるので、「小さく買って、必要に応じて大きく拡張する」という柔軟な使い方ができます。
実際に使ってみてどうだったか?
サウンド面に不満はなかった

正直なところ、Kemperと比較しても「自分の出したい音」はしっかり作れました。 個人的には「音の違い(キャラクターの差)」はあっても「音質の劣化」は感じませんでした。
もちろんKemperの「空気感の再現」は凄まじかったですが、BOSSのGT-1000COREは「アンサンブルの中で埋もれない、抜けてくる音」という印象です。 もしかしたら筆者が昔からのBOSS好きすぎて、補正がかかっている可能性はありますけどね(笑)。
まあ、本当に良い機材というのは総じて弾き手の個性が出るもので。 そう実感できるのもGT-1000COREの良さだな、ってな感じですね。
迷わないから、音がすぐ決まる

Kemperは無限とも言えるライブラリーの中から音色を選択できるのが最強の強みでした。しかし、それは裏を返せば「選ぶのが楽しすぎて、音作りに膨大な時間が溶ける」というデメリットでもありました。
対してGT-1000COREのアンプタイプは約20個程度。 Kemperに比べれば選択肢は圧倒的に少ないです。 ですが、その代わりどのアンプも個性があり、「クリーンならこれ」「リードならこれ」と目指す方向性が決まっていれば、一瞬で音が決まります。
最近のマルチエフェクターは100種類以上のアンプが入っていることも珍しくありませんが、あえて「厳選された少数精鋭」に絞ることで、プレイヤーを迷わせない。 これはGT-1000CORE独自の魅力だと言えます。
「ジャズならこのアンプ」「ロックならこれ」と自分なりに決めておけば、現場での微調整もスムーズです。 結果的に、Kemperを使っていた時に比べて「音を探す時間」が減り、「練習する時間」が増えました。講師としてはここが一番嬉しいポイントかもしれません。
もちろん、作り込みたい場合は複雑なパラレルチェーンを組んだり、コントロールアサインで縦横無尽にエフェクトを切り替えたりもできます。
GT-1000COREは「スピード感」と「オタク的な自由度」を兼ね備えたモンスターマシンなんです。
ベースでも普通に使える

自分はギターがメインですが、時々ベースを弾くこともあります。
GT-1000COREはベース用のエフェクトもしっかり揃っていて、定番のTech21 Bass Driver(サンズアンプ)のモデリングも搭載されています。これが結構似てて個人的に好きなエフェクトです。
発売当時はたったの3種類しかベースアンプモデルがなかったんですが、 アップデートにより現在ではベースアンプモデルも大幅に拡充済みです(2024年以降)。
「メインはギターだけど、たまにベースも頼まれるんだよね」というギタリストなら、これ一台あればベース用の機材を買い足す必要はありません。
起動が速い=ストレスがない

地味ですが重要なポイント。KEMPERが起動に1分〜2分近くかかっていたのが、GT-1000COREでは約10秒で立ち上がります。 これだけで機材に触るハードルがグッと下がるんです。
「あ、ちょっと5分だけ弾こうかな」と思った瞬間にすぐ音が出る。 このフットワークの軽さは、日々の練習頻度を大きく左右しますよ。
気になった点と、GT-1000(親機)との比較

GT-1000COREはかなり完成度の高い製品ですが、あえて気になるポイントも正直に触れておきます。
XLR端子(キャノン)がない
ライブハウスでPA卓に直で送るには、別途DI(ダイレクトボックス)が必要です。
Bluetooth機能がない
親機のGT-1000はスマホで音作りができますが、COREはPCとUSB接続する必要があります。
もし「最初からペダルもフットスイッチもたくさん欲しい」「XLR端子は絶対必要」という人は、親機であるフロア型のGT-1000を選んだ方が幸せになれるかもしれません。
とはいえ、ギグバッグのポケットに入るこのサイズと軽さは、GT-1000COREだけの圧倒的なメリットです。
GT-1000COREはこんな人に向いている
とにかく軽くて小さい、でもプロ品質のマルチが欲しい人
日本語環境&サポートの安心感を重視したい人
音作りに悩みすぎず、シンプルに良い音を出したい人
宅録からライブまで、これ1台で完結させたい人
お気に入りのコンパクトエフェクターも組み合わせて使いたい人
まとめ|GT-1000COREは“ちょうどいい”

GT-1000COREは、「音の良さ」「機能性」「携帯性」のバランスが奇跡的に良い機材です。この小さな筐体の中にBOSSの最新技術が詰まっていて、宅録・ライブ・ベース対応まで幅広く活躍できます。
KEMPERにしかない良さも確かにありました。ですが、KEMPERほどの「重装備」が必要ない多くのギタリストにとって、GT-1000COREはまさに**「ちょうどいい本気の一台」**になるはずです。
乗り換えてみて、改めてBOSSというメーカーの技術力と、プレイヤーへの優しさに驚かされました。 もし迷っているなら、GT-1000CORE、自信を持っておすすめしますよ。 ってな感じですね!
おまけ










要するにケンパー使ってたのが主さん的には間違いだったってことですね
コメントありがとうございます。
間違いだったというより不満点を改善できる新たな正解に辿り着けた
という感じですね
Kemperの音色の品質はプロファイリング環境によって極限まで上がりますし
有償で高品質な音色が手に入る点も便利。
エフェクトの質感にもかなり満足してました。
音だけを評価するなら圧倒的にKemperの方が上です。
ただ、それ以外の不満点を解消したかったのと
自分がBOSSが好きという補正を入れると
GT-1000COREが今の所の正解といった具合です。
ただ、新たに発表されたPROFILER Playerが物凄く気になっているので場合によっては再度Kemperへ乗り換え、なんて事もあるかもですね。