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Kemper Mk2発表|待望の後継機、進化したサウンドメイクの可能性を考察

Kemperから待望の新型「Kemper Profiler MK2」が正式発表された。
今回のアップデートは、単なるマイナーチェンジではない。
ハードもソフトも着実に進化し、まさしく「次世代機」レベルの刷新内容となっている。

結論から言えば、「起動時間の短縮」「エフェクトブロックの大幅拡張」「プロファイリング技術の進化」──この3点が核だ。

ただし、現時点で判明している情報はまだ限られており
以下の内容には一部推測や筆者の解釈も多分に含まれている
誤解を招かないよう、念のため先にお伝えしておきたい。

とはいえ、過去Kemperを使い込んできた経験と、他社製品との比較も踏まえたうえで、「これはこういう進化では?」と読み解いた内容になっているので、参考程度に目を通してもらえたら嬉しい。

起動時間20秒の衝撃。これは歓喜レベル

筆者がKemperを手放した理由の一つが「起動の遅さ」だった。
正直、電源を入れてから音が出せるまでの1〜2分は本当に長く感じた。

それが、MK2ではたった20秒で起動するらしい。
これは個人的にめちゃくちゃアツい。
「電源入れて、トイレに行って、戻ってもまだ起動してない」みたいなあの時間とはもうお別れだ。

この改善だけで、Kemperを再検討する人はかなり多いのではないだろうか。
筆者の心も揺らいでいる。

本当にKemperと復縁しようかな・・・

直列20ブロック。音作りはもはや無限大

今回のMK2では、エフェクトブロックが最大20個まで直列に配置可能になるとのこと。

従来機でもKemperのエフェクトセクションは非常に高品質だったが、ブロック数の制限が少しネックだった。その制限が大幅に緩和されたというわけだ。

他社のフラッグシップ機──HelixやQuad Cortex、Fractal AXE-FXなどと比べても、十分に対抗できる構成力になる。
が、直列20系統なのでパラレルチェインに慣れている猛者には物足りないものになるかも。

Kemperでも凝った音作りをしたいオタク達は結局センドリターンに別のプロセッサーをかまして少し複雑なシステムを組まざるを得ないという懸念。

また、ルーパー機能も2分まで拡張された。1トラックの簡易ループなら、別途ルーパーを接続しなくても遊べてしまう。

実際「ループ短っ!」と思っていたのでこれは地味に嬉しいアップデートだ。

が、ラックタイプやヘッドタイプの場合、別売りのコントローラー
Kemper remoteを買う必要がある点は要注意。

プロファイリング技術がさらに進化。

Kemper Profiler MK2の中で最も注目されているアップデートのひとつが、プロファイリング技術の進化だ。
初代Kemperが登場した時点で、「実機アンプの音をデジタルで再現する」革新性は十分に衝撃的だったが、今回のMK2ではさらにリアリティが増しているとのこと。

周波数解析ポイントが100,000超に

まず明らかになっている技術的進歩として、100,000ポイントを超える周波数解析が可能になったという情報がある。

従来よりも遥かに高解像度での分析が可能になり、
・音の立ち上がり
・倍音構成
・キャビネットの共振特性
といった、実機アンプ特有の挙動をこれまで以上に細かく捉えられるようになる。

これにより、単なる「似た音」ではなく、“あのアンプの鳴り方そのもの”を再現できる可能性が高まっている。

キャビネットの挙動まで再現

キャビネットの再現度も大きく向上しているとのこと。
ギタリストなら誰でも実感している通り、「同じアンプヘッドでも、キャビによって音はガラッと変わる」。

このキャビネット部分の振る舞い──特に共鳴、反響、距離感のような空気感の再現が進化しているとされており、マイキングやIR(インパルスレスポンス)ベースのシステムとは一線を画す仕上がりが期待されている。

従来のKemperでもキャビセクションは優秀だったが、「より生々しい」とされるこのアップデートは、他社プロファイル技術との違いを改めて示すものになるかもしれない。

ユニバーサルオーディオのOXの様なキャビの挙動の再現に迫る、もしくはそれを超える生々しさが実現できるかが見所。

注目の新機能「Liquid Profiling」

なかでも最大の注目ポイントは、今回初搭載される「Liquid Profiling Technology」だ。

これは何かというと──というか勝手な憶測になるが
従来のプロファイルでは再現できなかった、アンプの“つまみの挙動”まで含めてプロファイルする技術なんじゃないかなーと筆者は推測。

たとえば、実機アンプでEQを12時にしたときと、フルテンにしたときで、当然音は変わる。
しかし従来のKemperでは、EQやゲインの挙動は再現できておらず、
プロファイル時の設定だけを再現している」ようなものだった。

実機のアンプはそれぞれのEQで操作できる帯域やQのカーブなどが異なるのだが、流石にそこまでコピーできる機器はまだ市販されていない。

例えば、ミッドを上げると高域も引っ張られ、逆に低域はスポイルされるなどの細かい挙動までは再現出来ないという感じだ。

結果、フルテンでプロファイリングしたサウンドは
Kemper側では「EQは12時だけど音はフルテン」みたいな
実音とツマミ位置が一致しないという違和感が生まれていた。

Liquid Profilingでは、
EQやゲイン、ボリュームの動きに連動したサウンド変化に期待。

具体的には
ゲインアップ時の倍音の出方や飽和感の挙動
ボリュームアップ時のパワー管の挙動
各EQ操作時の他帯域やゲインへの影響

などをすべて再現できるようになるかも。

つまり、「本物のアンプをそのまま持ち込んできた」と言えるほどの完成度になる可能性がある。

もしそうならめっちゃ嬉しい。期待して良いのかな?

単なるトーンキャプチャー技術とは次元が違う?

近年では各社(Neural DSP、IK multimedia、mooreなど)が“トーンキャプチャー”や“IRプロファイル”技術を搭載しており、プロファイリング自体は珍しくなくなってきた。

しかし、Kemperはその「祖」である。
そしてLiquid Profilingは、それらを一歩突き放す“次の一手”と見ることもできるかもしれない。

現時点では実機レビューがないため、過剰な期待は禁物だが、Kemperが再びプロファイリング分野の王者として君臨するには十分な説得力がある進化と言えるだろう。

ついにオーディオインターフェースに対応

従来のKemperにはUSB端子こそあったものの、主な用途はエディターやリグマネージャーの操作、プリセットの管理やUSBメモリ経由での音色データの送受信など、あくまで「音作りの管理」が中心だった。
しかしKemper Profiler MK2では、
ついに本体がオーディオインターフェースとして機能するようになった。

これはユーザーにとって、非常に大きな進化だと言える。

たとえば、宅録用途ではKemperを単体で完結させられるようになる可能性があるし、ライブやスタジオ練習でも、外部オーディオインターフェースを持ち出さなくても良くなるというのは非常にありがたい。

とはいえ、Kemperを使うようなミュージシャンの多くは、
すでにUniversal AudioのAPOLLOやRME、MOTUなど高品質なインターフェースを導入済みであるケースも多い。

そう考えると、Kemper MK2のオーディオインターフェース機能が、
・どれだけ高音質なのか?
・レイテンシーはどの程度か?
・ワードクロックやルーティングなど、プロ仕様にも対応できるか?
といった点には注目が集まりそうだ。

一方で、録音クオリティがどうであれ、使い勝手の面では圧倒的に便利になるのは間違いない。

・ライブ時に同期音源を流す
・スタジオで流しながら弾く
・自宅で練習中にYouTubeや音源を鳴らす

こうした「ライン再生×ギター演奏」の環境がKemper単体で完結するなら、オーディオインターフェースを別で持ち出す手間が省ける。

特に、重たい機材をなるべく減らしたいギタリストにとっては、これは地味だけど超実用的なアップデートだ。

安い機材じゃないからこそ、一台で何役もこなしてくれるのは非常に助かる。

スマホやタブレットでのBluetoothエディットが可能に

そして、ついにKemperにもBluetooth接続による音色調整機能が搭載された。
これはもう素直に「ありがとう」と言いたい。

Kemperといえば、もともとエディターすら存在しなかった時代が長く、
その後、アップデートでPCからエディットできるようになった時も「待ってました!」と盛大に歓喜した記憶がある。

だが今はもう、スマホやタブレットでBluetoothエディットができるのが当たり前という時代。
Line 6のHelixシリーズやPositive Grid、BossのTone Studioアプリなどを見ても、モバイル連携はもはやスタンダードになっている。

そこにようやくKemperも追いついてきてくれた。これは本当に嬉しい。

ただし、少し気になるのが直接スマホとペアリングできるタイプのBluetoothではないという点。
現時点の仕様では、Wi-Fiルーターに接続してからBluetooth操作が可能になる仕組みらしい。

つまり、
・Kemperとスマホを直接つなぐわけではない
・Kemperがネットワーク経由でBluetooth操作を受ける構造っぽい
というやや回りくどい接続方式になっているようだ。

おそらく本体に無線通信機能を内蔵し、電波干渉によるノイズを避けるためにこのような仕様になったのかもしれない。
それでも、「スマホのテザリングを介してKemperをネット接続→Bluetoothエディット」という未来もあるかもしれないし、
ライブ会場で外音を聴きながら即座に音色を調整できるようになれば、それはもう最高の機能になるだろう。

現状では「ルーター経由」がやや引っかかるものの、
それでも、自宅でのプリセット編集がPCレスで完結する快適さは十分に価値がある。

初代Kemperも一部アップデートに対応予定?

今回のKemper MK2発表に伴い、初代Kemperも一部機能アップデートに対応予定という点も注目されている。

どうやら、MK2と初代は基本的に同じOSプラットフォーム上で動作しているようで、
今後追加される新しいエフェクトなどは、初代Kemperでも使用できる可能性が高いとのこと。

もちろん、
・起動時間の短縮
・エフェクトブロックの使用可能数の増加
・Liquid Profilingをはじめとしたプロファイリング精度の向上
といったハードウェア由来のアップグレードには非対応だと見られている。

これはイメージとしては、「どちらもiPhoneとして機能はするけど、最新のProモデルだけが超広角や望遠レンズを搭載してる」という関係に近い。
単眼カメラの旧モデルでは、同じアプリを動かせても物理的に撮れない写真がある──そんな感覚に似ている。

それでも、10年以上前のモデルに対して今もOSアップデートを提供し、継続的にサポートしてくれている姿勢はKemperらしいポイントだと感じる。

すでに初代Kemperを使っているユーザーも、いきなりMK2に買い替えなくても、一部の進化を一緒に享受できるというのは大きな魅力だろう。

まとめ:続報が待ちきれない、Kemperの本気

・起動時間20秒は筆者的に一番の朗報
・エフェクトブロック20個、ルーパー2分といった拡張も非常に現実的でありがたい
・Liquid Profilingはプロファイリング技術の新たな地平を開く可能性すらある
・USBオーディオインターフェイス、Bluetoothエディットで現代的なニーズに対応

Kemperといえば、プロファイリングやトーンキャプチャーという概念をギタリストの手の届くものにした先駆者だ。
あの衝撃から10年以上が経ち、他社の技術も急速に進化してきた中で、「それでもやっぱりKemperが開いた道だった」と思っている人は多いはず。

そのKemperが再び、音作りの可能性を広げてくれる。
今回のMK2が、“音の再現”から“音のコントロール”へと踏み込む第一歩になるとすれば、またしてもKemperが時代を一歩リードすることになるかもしれない。

現時点では不明な点も多く、この記事の多くはあくまで初報を元にした憶測込みの速報であることをご容赦いただきたい。

それでも──今のKemperの挑戦にはワクワクしている。
今後の追加情報、そして実機のレビューが出揃ってくるのが待ちきれない。

詳しい情報は↓を翻訳してみてほしい。

本国公式ホームページ

ギタリストの音作り環境が、また一段階進化する。
そう期待して、続報を楽しみに待ちたい。

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吉田寛定
新潟市在住のギターインストラクター。 趣味ギタリストに向けた“ちょうどいい温度感”の発信を心がけています。 新潟市江南区のギター教室|7丁目ギター教室にて無料体験レッスン受付中。亀田・横越エリアの方はぜひどうぞ。