楽器の習得って実は結構な無理ゲーなんだよって話。始める前に読んで欲しい。

9割の初心者が1ヶ月で挫折するのは、「根性なし」だからじゃない。
脳が「急激な変化」を拒絶しているだけだ。
どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。
「よし、今年こそギターを弾けるようになるぞ!」と意気込んで買ったものの、Fコードどころかチューニングの時点で心が折れかけ、今では部屋のオシャレなインテリアと化している……そんな経験はありませんか?
これ、あなたの意志が弱いわけではありません。
ギターという楽器が構造的に「初心者の脳に過剰な負荷をかける無理ゲー」だからです。
結論から言います。
「完璧主義」を捨てて「脳を騙すシステム」を作れば、誰でもこの無理ゲーをクリアできます。
今日は精神論ではなく、人間の仕組みに基づいた「挫折回避のロードマップ」をお話しします。

はいはい、また「練習しろ」って話? 現代人は忙しいんだよ。効率重視で頼むよー

あらアゲ美ちゃん、そんなにカリカリしないで。でも私も指が痛くて……もう心が折れそうなのよね😭 楽しくなきゃ意味ないじゃない?

甘いぞ二人とも! ギターは指先の微細な運動制御だ。脳の運動野とシナプス結合が変わるまで時間がかかるのは科学的に当たり前だろ!
楽器の習得は「マルチタスク」の連続。脳がパンクするのは当然
まず、現実を直視しましょう。ギターの習得は「無理ゲー」です。
フェンダー社の調査でも「初心者の90%が1年以内(多くはもっと早い段階)に挫折する」というデータが出ています。
なぜか? それは、「入り口の広さ」と「求められる処理能力」のギャップが激しすぎるからです。
3,000円のウクレレや1万円のギターセットは誰でも買えます。しかし、いざ弾こうとすると、脳は以下のタスクを「同時処理」しなくてはなりません。
| 脳が処理すべきタスク | 具体的な内容 |
| 聴覚情報 | チューニング(ピッチのズレ)、リズムの確認 |
| 視覚情報 | 楽譜(TAB譜)の解読、フレットの位置確認 |
| 運動制御(左手) | 指を独立させて弦を押さえる(非日常的な動き) |
| 運動制御(右手) | ピックを持ち、特定の弦を弾く(空間認識) |
| 感覚フィードバック | 指先の痛み、弦の張力への対応 |
これらを未経験者が一気にやろうとすれば、脳のワーキングメモリ(作業記憶)がパンクするのは当たり前です。
「できない」のではありません。「処理落ち」しているだけです。
「1ヶ月はかかる」という前提をインプットする
脳は予測と現実がズレたときにストレスを感じます(予測誤差)。
「すぐに弾けるはず」と思っていると、現実とのギャップで脳が不快感を感じ、ドーパミン(やる気物質)が出なくなります。
逆に、「簡単な曲でも最低1ヶ月はかかるプロジェクトだ」と最初から脳にインプットしておけば、日々の進みの遅さも「想定内」となり、挫折率がグッと下がります。
現代人に「練習時間」なんて存在しない
次に「時間がない」問題です。
冷静に計算してみましょう。我々の24時間はすでに埋まっています。
睡眠:7~8時間
仕事・学校(通勤含む):10時間
食事・風呂・身支度:2時間
残された自由時間:約4時間
この貴重な4時間を、SNS、YouTube、家族との団らん、家事が奪い合っています。ここに「ギター練習1時間」をねじ込むのは、物理的に不可能です。
意志力ではなく「環境」で戦う
ここで「気合で時間を作る!」というのは悪手です。
心理学的に、人間の意志力(ウィルパワー)は有限で、夜には枯渇しています。
必要なのは、「隙間時間に侵入する作戦」です。
例えば、ギターをケースから出しておく。これだけで「ケースから出す」というアクションコストが消え、脳が練習に取り掛かるハードルが下がります。

人間は「始めるまで」が一番エネルギーを使うからな。物理的にギターとの距離を縮めるのは、行動科学的にも理にかなっているぞ。

そうよね~。ケースに入ってると「よいしょ」って気合がいるけど、目の前にあったらポロロンって弾いちゃうかも🎵
「100点中30点」を目指す不完全主義のススメ
真面目な人ほど挫折します。「楽譜通りに完璧に弾かなきゃ」と思うからです。
しかし、楽器において完璧主義は「猛毒」です。
脳は「完了」することで報酬を感じる
まずは「30点の出来」でいいので、曲を最後まで通すことを目指してください。
音がビビっても無視。
リズムが多少ズレても止まらない。
原曲より遅くてもOK。
脳科学的には、下手でも「一曲弾ききった」という達成感(完了体験)が報酬系を刺激し、次のモチベーションを生みます。
逆に、イントロの数小節で完璧を求めて立ち止まると、いつまでも報酬が得られず、脳が「この作業はつまらない」と判断してしまいます。
「30点取れれば大金星」
このマインドセットが、あなたのギターライフを救います。
恐ろしく低い目標設定:「2日に1回、3分」の魔法
では、具体的にどうすればいいのか。
私が生徒さんにおすすめしているのは、「脳が警戒しないレベルの低い目標」を立てることです。
「スモールステップ」と「作業興奮」
目標は「2日に1回、3分だけ触る」。これだけです。
「そんなんで上手くなるの?」と思うでしょうが、これには2つの科学的な仕掛けがあります。
ハードルの低下: 「1時間練習」は脳にとって脅威ですが、「3分」なら「カップラーメンを待つ間でもできる」と脳が許可を出します。
作業興奮: 脳の側坐核という部位は、実際に体を動かし始めないと活性化しません。やり始めると「意外と楽しくて気づいたら30分弾いていた」という現象が起きます。
つまり、「3分という餌」で脳を釣り、作業興奮で時間を伸ばすのです。
もちろん、本当に3分でやめてもOK。「目標を達成した」という自己効力感が積み上がり、挫折を防ぎます。

なるほどね。「毎日1時間」とか掲げて三日坊主になるより、「3分」で細く長く続ける方が、結果的に総練習量は増えるってわけか。合理的だね。
よくある質問(Q&A)
Q. 独学だと変な癖がつきそうで怖いです。
A. 最初はついても大丈夫です。
プロでもフォームは千差万別です。まずは「音が出て楽しい」状態を作ることが最優先。どうしても修正したくなったら、その時だけ単発で教室を利用するのも賢い手です。
Q. 指が痛くて3分も弾けません…。
A. ギターの弦高が高い可能性があります。
特に安いギターは弦高が高く、握力トレーニンング機器のようになっている場合があります。楽器店で調整してもらうか、細い弦(エクストラライトゲージ)に張り替えてみてください。物理的に解決しましょう。
Q. 何から練習すればいいかわかりません。
A. 「弾きたい曲」のサビだけやりましょう。
基礎練(ドレミ…)は脳にとって退屈な作業です。「好きな曲のサビ」という最高のご褒美を脳に与えてください。基礎は後から勝手についてきます。
まとめ
ギター習得は「無理ゲー」ですが、攻略法はあります。根性ではなく、仕組みで解決しましょう。
長期戦の覚悟: 最低1ヶ月は「処理落ち」するものだと割り切る。
環境構築: ギターは出しっぱなしにして、アクションコストを下げる。
不完全主義: 30点の出来で「曲を通す」達成感を脳に与える。
超低空飛行: 「2日に1回、3分」の目標で、脳の作業興奮スイッチを入れる。
もし「独学では何が正解かわからない」「効率よくショートカットしたい」と思うなら、我々のようなギター教室を「課金アイテム」として使うのも賢い選択です。
変な癖がつく前に修正できますし、「先生に見せる」という適度な緊張感が、脳の集中力をブーストさせます。
今日のワンステップ:
今すぐギターをケースから出し、スタンドに立ててください。そしてピックを弦に挟んでおくこと。これだけで、明日の練習確率は跳ね上がります。
あなたのギターライフが、細く、長く、そして最高に楽しいものになりますように!









