楽器の習得は厳しい。最初は「よし、頑張るぞ!」と意気込んでいても、1ヶ月以内に9割の人が挫折する。
10人いたら9人が脱落。 「そんなことある?」と思うかもしれないが、これは決して大げさな話ではないんです。
どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。
これから楽器を始めようとしている方、あるいは今まさに「心が折れそう…」という方に向けて、今日はちょっとリアルな話をさせてください。
習得が大変なのに、始めるハードルは驚くほど低いですよね。 ギターやベースなら入門モデルが1万円ほどで手に入りますし、ウクレレに至っては3,000円で買えるものもあります。
でも、その「入り口の広さ」とは裏腹に、覚えることは膨大なんです。
たとえば筆者の専門であるギターやベースを始めるだけでも、ざっとこれだけのことを最初に覚えなければなりません。
チューニングのやり方(メーターを合わせるだけでなく、ペグを回す感覚も重要)
チューナーの使い方
フレットやブリッジなどの各部名称
楽器の構え方(座って弾くのか、立って弾くのかでも変わります)
ピックの持ち方
腕の振り方(ストローク)
指の使い方
弦の押さえ方(ここで指先が痛くなって心が折れかける…!)
爪の長さの管理
……などなど、曲を弾く以前に「準備」として覚えるべきことが山ほどあるわけです。
これらを一つひとつクリアしているうちに、気づけば「曲を弾く楽しさ」にたどり着く前に力尽きてしまい、挫折。 こういったケースを、筆者も数多く見てきました。
だからこそ、楽器を始める前に、あるいは挫折する前に、この記事を読んでほしいんです。
『楽器の習得には時間がかかる』と知る
「楽器を買えばすぐに憧れのアーティストの曲が弾ける!」
さすがにそこまで楽観的な人は少ないはずです。でも、「簡単な曲なら、買ってすぐ弾けるでしょ?」と考えているなら要注意です。
現場で教えている筆者の感覚としても、どんなに簡単な曲でも、
1日1時間練習したとして、一曲通して弾けるようになるには最低でも1ヶ月はかかる
というのがリアルなところです。 しかも、それは“比較的”簡単な、コード進行がシンプルな曲の場合の話。
人によっては2ヶ月、3ヶ月……あるいは半年かかることだってあります。
「いつになったら弾けるようになるか?」
これに確実な保証はありません。楽器の習得は、一夜漬けがきかない、非常に時間のかかるプロジェクトなのだと割り切ることが第一歩です。
冷静に考えて時間がない
そもそも、現代人は忙しすぎます。 1日は24時間しかありません。
睡眠:8時間
朝の準備、食事:1時間
仕事・学校(通勤・通学含む):10時間
夕食、お風呂など:1時間
ここまでで、残された自由時間は残り4時間。
ここからさらに、
家族や友人、恋人との時間
YouTubeの新着動画チェック
SNSをボーッと眺める時間
気になるリツイートの動画を見て、その関連動画を見て……
なんてやっていると、あっという間にこの4時間すら消えてなくなります。 「練習する時間がない」となるのも無理はありませんよね。
そんな激戦区の24時間の中に、いかにして楽器の練習時間をねじ込むのか。これが勝負の分かれ目になります。
楽器の習得は大きなプロジェクト
何のリサーチもせず、「とりあえず1万円で楽器を買いました!さあ弾くぞ!」
この勢いだけのスタートは、正直かなり危険です。
どのくらいの難易度なのかも分からずに始めると、 「え、Fコードってこんなに押さえられないの?」 「リズムを取るのってこんなに難しいの?」 と、すぐに壁にぶつかってしまいます。
楽器は気軽に始められるのが最大の魅力。でも、それと同時に、地道な反復練習が必要な“スポ根”な側面も確実にあります。
「右も左も分からないまま挫折」
という悲しい結末を避けるために、まずはリサーチが大事です。 筆者のおすすめとしては、たとえば「ギター 初心者 最初の一曲」などで検索し、
「どの曲を練習するのか」を明確にする
ことから始めてみてください。 そのうえで、初心者向けの安いセットを購入しましょう。
いきなり何十万円もする高価な楽器を買う必要はありません。良い楽器を買うのは、ギターが「楽しい!」と思えるようになってからでも、決して遅くはないですよ。
100点中30点取れれば大金星
「やるからには完璧に、100点を目指して頑張ります!」
その真面目な意気込みは素晴らしいです。でも、楽器に関してはそれでは壁が高すぎて、残念ながら絶対に挫折します。
演奏には「リズム」「音程」「強弱」「ノリ」など様々な要素があり、やればやるほど新たな課題が見えてくる底なし沼のような世界です。プロだって自分に100点をつけることは稀でしょう。
だから、30点の演奏で十分なんです。
イントロからサビまで、止まらずにゆっくり弾けたらOK
原曲の速さで弾けなくてもOK
多少音がビビっても気にしない
5〜6曲、この「30点レベル」で弾けるようになったら、ふと最初の曲に戻ってみてください。 そうすると、「あれ? 当時は難しかったのに、意外とスムーズに弾けるようになってる!」という現象が起きます。これが成長です。
一つの曲に固執せず、いろんな曲に触れ、楽器に慣れていくことが大切。
ストイックに根詰めてやるのもいいですが、全員がそうできるわけではありません。 我々は普通の人間です。趣味で楽しむなら、30点取れれば大金星だと思ってください。
気楽に構えること、ってな感じですね。
恐ろしく低い目標を立てる
「30点取れれば十分」と言いましたが、初心者の方にとってはそれすらも曖昧かもしれません。 そもそも「30点」って何? どうやって採点するの? となりますよね。
演奏を数値化するのは難しいです。 だからこそ、継続するためにはもっと具体的な目標が必要です。
筆者が生徒さんによくおすすめしているのは、
「2日に1回、3分だけ練習する」
という目標です。
「え、たったそれだけでいいの?」と思うかもしれません。 でも、これが意外と効果的なんです。
「毎日1時間練習する」という立派な目標を立てても、 残業で遅くなった日や、疲れている日は「今日は無理だった……」となり、達成できません。
未達成が続くと「自分はダメだ……」「向いてないのかな」と自己嫌悪に陥り、楽器を見るのも嫌になってしまいます。 結果、挫折まっしぐらです。
一方、「2日に1回、3分」ならどうでしょう?
カップラーメンを待つ間だけでも達成可能
3分のつもりが、弾き始めたら楽しくて気づけば1時間弾いていた
触れる回数が増えると、楽器をケースから出すハードルが下がる
結果的に、気づけば上達しているんです。 楽器の練習で一番エネルギーを使うのは、「ケースから出して構えるまで」の動作ですからね。
「そんな小さな目標でいいの?」と思うなら、もちろん1日1時間練習しても構いません。 ただ、自分にとって「絶対に無理なく続けられる方法」を選ぶのがベストだということです。
結論
楽器を始めるハードルは低いです。 でも、それを習得して自由に操るハードルは高い。
だからこそ、最初から完璧を求めず、小さな目標をコツコツ達成し、**「楽器に触る習慣」**をつけることが何より大事です。
もし、 「独学だと何が正解かわからない!」 「なるべく早く、効率よく弾けるようになりたい!」
と思うなら、我々のようなスクールに通うのも一つの選択肢です。 変な癖がつく前に修正できますし、「先生に見せる」という適度な緊張感が上達を加速させます。
今ならオンラインレッスンもありますし、お金に余裕があるなら「月謝」という課金アイテムを使って、時間をショートカットするのも賢い選択のアリ、ってな感じですね。
自分のペースで、細く長く、楽しく続けていきましょう!








