座りすぎは寿命を縮める?あえて立って弾く練習のすすめ|腰痛対策と演奏力向上

座りっぱなしは寿命を削る?
あえて「立って弾く」が、腰痛も演奏のズレも解決する話。
どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の講師、吉田です。
こたつやストーブの前から動けなくなっていませんか?
外は雪、部屋は寒い。そうなると人間、どうしても背中を丸めて椅子に座り込み、地蔵のように動かなくなるものです。
前回まで「アルテックのスツール60がいい」だの「ニトリの椅子がコスパ最強だ」だのと散々椅子の話をしておいて何ですが、今回はちゃぶ台をひっくり返すような話をします。
「練習中、座りすぎてませんか?」
実は、座りっぱなしの姿勢は、喫煙に匹敵するほど健康リスクが高いとも言われています。
それに、座って弾くときは完璧なのに、スタジオやライブで立って弾いた途端、「あれ? 指が届かない」「なんか弾きにくい」と絶望した経験、ありますよね。
結論から言うと、「1日の練習のうち数分は立って弾く」。
これだけで、腰痛リスクも減り、ライブでの演奏安定度も劇的に上がります。
今回は、椅子へのこだわりを一旦捨てて、重力と友達になる
「スタンディング練習」のすゝめです。



座りすぎは「身体」と「リズム」を殺す

「座りっぱなし」のリスクは想像以上
現代人はただでさえデスクワークやスマホで座る時間が長い。そこにギターの練習時間が加わると、1日の大半を座って過ごすことになります。
長時間座り続けると、太ももの裏側が圧迫されて血流が悪くなり、代謝が落ちます。さらに、猫背になりやすく呼吸が浅くなるため、脳への酸素供給も減って集中力が低下する──まさに負のスパイラル。
「なんか最近、練習しててもダルいな」と感じるのは、気圧のせいだけでなく、単に座りすぎて身体が固まっているからかもしれません。
立って弾くと「リズム」が変わる
座って弾いているときは、リズムを「足先」だけで取りがちです。
しかし、立って弾くと、体重移動を使って「膝」や「腰」、つまり体全体でリズムを感じることができます。
グルーヴ感のあるカッティングや、ノリの良いストロークは、実は下半身のバネから生まれています。立って弾くことで、上半身の脱力がスムーズになり、結果としてリズムキープが楽になるのです。
「座奏」と「立奏」のギャップを埋める

ストラップの高さ問題
座って弾くとき、ギターの位置は太ももの上に固定されます。この位置は、立って弾くときよりも「高い」位置にあることがほとんどです。
いざ立ってストラップで吊るすと、ギターの位置が下がり、ネックの角度も変わります。
「座ってなら弾けるのに、立つと弾けない」
この現象の正体は、手首の角度や指のフォームが強制的に変わってしまうことにあります。
普段から立って練習していれば、このギャップに脳と身体が適応(運動学習)し、本番でも普段通りのパフォーマンスを発揮できるようになります。
エフェクターの操作も練習のうち
座って弾いていると、足元のエフェクター操作がおろそかになりがちです。
しかし、立って弾けば「演奏しながら片足でスイッチを踏む」というバランス感覚も同時に養えます。
本番で踏み間違えてソロの音が出なかった……なんて悲劇を防ぐためにも、立位での操作に慣れておくことは重要です。
快適な「立ち練」環境をつくる

スペースと安全の確保
日本の住宅事情、特に賃貸などの狭い空間では、立って弾く際に注意が必要です。
テンションが上がってネックを振り回すと、照明の紐や壁、最悪の場合は同居人にヘッドをぶつける大事故になります。
筆者自身ギターを下ろす際、ペンダントライトにヘッドをぶつけて電球を割ったこともあります。
まずは頭上を含め、半径1メートル以内に障害物がないか確認しましょう。
足元の疲労対策には「キッチンマット」
「立って弾くと足が疲れる」という人は、床の硬さが原因かもしれません。フローリングに靴下で立っていると、足裏への負担が大きく、滑りやすいため変な力が入ります。
そこでおすすめなのが、厚手の「疲労軽減マット」や「ヨガマット」。
実はキッチン用のクッションマットでも代用可能です。ニトリやホームセンターで安く手に入ります。
これ一枚敷くだけで、足の疲れが半減し、スタジオで靴を履いている感覚に少し近づけます。



よくある質問(Q&A)
Q. ずっと立って練習しなきゃダメですか?
A. いいえ、使い分けが大事です。
新しいフレーズを覚えるときや、緻密な運指を確認するときは、座って集中したほうが効率が良い場合もあります(フロー状態に入りやすいので)。
「仕上げの10分」や「曲を通すとき」だけ立つ、というハイブリッドな練習法がおすすめです。
Q. 立って弾くと腰が痛くなります。
A. ギターの位置が低すぎて前傾姿勢になっているか、腹筋(体幹)が抜けて反り腰になっている可能性があります。
ストラップを短くしてギターの位置を上げるか、少し膝を緩めて立つように意識してみてください。それでも痛む場合は無理せず座りましょう。
Q. 家の中で靴を履くのは抵抗があります。
A. 無理に靴を履く必要はありません。ただ、滑りやすい靴下は踏ん張りが効かずフォームが崩れる原因になります。
裸足になるか、滑り止めのついたルームソックス、あるいは前述のヨガマットを活用するのがベストです。
まとめ
座りすぎは健康リスク:血流が悪くなり、集中力も低下する。
本番は「立ち」が基本:座奏と立奏のフォームのギャップを埋めておく。
リズムは全身で:立って弾くことで、膝や腰を使ったグルーヴが生まれる。
環境を整える:マット一枚で疲労度は変わる。
椅子にこだわるのも素晴らしいことですが、時にはその椅子から立ち上がってみてください。
視線が高くなると、気分も変わり、停滞していたフレーズが急に弾けるようになることもあります。









