ギタースタンドは必要か?上達したいなら「絶対に買え」

ギターをケースにしまう人ほど、ギターを弾かなくなる。
どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。
「大切なギターだから、ちゃんとケースに入れて保管している」──その気持ちはよくわかります。でも正直に言うと、それがギターから遠ざかる一番の原因になっていることが多いです。
楽器店でスタッフをしていた頃から、スタンドを勧めると劇的に変わる人を何人も見てきました。今回はそのあたりを、講師目線でまとめます。
結論から言うと、ギタースタンドは「保管用品」ではなく「継続の仕組み」です。
スタンドを持ってない人の共通点

以前、教室に通っている高校生の生徒さんで、「弾く日と弾かない日がまばら」という状態がしばらく続いていた方がいました。練習意欲がないわけではない。でも上達のペースが上がらない。
あるとき話を聞くと、毎回ケースから出し入れしているということがわかりました。
ケースを開けて、ギターを取り出して、弾き終わったらまたしまう。それだけの動作ですが、これが「面倒くさい」のハードルになっていたんです。試しにスタンドを導入してもらったところ、ギターに触る時間が格段に増えて、そこからメキメキ上達していきました。
楽器店でスタッフをしていた頃も、新しくギターを始めるお客さんには必ずスタンドを一緒に勧めていました。それだけ「継続」に直結するアイテムだという確信があったからです。
ケースに入れると、ギターは「見えない存在」になる

行動科学に「20秒ルール」という考え方があります。やりたい行動を始めるまでの手間が20秒増えるだけで、人はその行動を避けるようになる、というものです。
ダイエットの手法で、お菓子を足台が無いと届かない場所で保管する。
スマホのスクリーンタイムを減らすためにSNSアプリを起動させるたびにパスワードを入力させる仕組みにするなど。
達成したい目的がある場合には強力な味方になってくれますが、ギターをケースにしまうのは、上達を妨げる敵になる恐れがあります。
弾こうと思っても、ケースを開けるという工程が一個挟まる。それだけで脳は「面倒」と判断して、「まあ今日はいいか」という判断を出しやすくなります。
さらに、ケースに入れると物理的に「視界から消える」。人は見えていないものを意識しにくい生き物です。ギターが視界に入っていると、ふとした瞬間に「あ、弾こうかな」と思える。でも押し入れの中や部屋の隅に立てかけたケースは、存在を忘れさせます。
スタンドに立てて部屋に置いておくと、このループが逆転します。視界に入る→手が届く→サッと弾ける。この「サッと」がすべてです。
ギタースタンドの置き場所が、習慣を決める

スタンドを買っても、部屋の隅に追いやってしまえば意味がありません。大事なのは「生活動線の上に置く」こと。
自分がふと座る場所、テレビを見る場所、作業する机の近く──そういった「自然に目が行く場所」にギターを置くだけで、弾く頻度は変わります。インテリアとしても成立するギターは、飾っておくだけでも部屋に存在感が出ます。見た目がいいとさらに触りたくなる。
クローゼットに入れたギターが肥やしになりやすいのも、理由は単純です。視界に入らないから、意識しなくなる。「大切に保管している」つもりが、「忘れている」と同義になっていきます。
スタンド選びで一つだけ注意すること

スタンドを選ぶうえで、多くの人が見落としている注意点があります。ラッカー塗装のギターとスタンドの相性問題です。
楽器店でスタッフをしていた頃、塗装が焼けたギターの買取を何度も経験しました。スタンドに掛けたまま長期間放置すると、接触していた箇所が化学反応で溶けてしまうことがあります。見た目が損なわれて、その部分がザラザラした質感になる。一度なってしまうと元には戻りません。
ラッカー塗装って何?
ギターの塗装には大きく分けて「ラッカー」と「ポリ系」があります。ラッカーは木材に馴染みやすく経年変化が楽しめる反面、化学物質に弱いのが特徴。スタンドのゴムや合成素材と長時間接触すると、塗装が溶けることがあります。高価なギターや往年のヴィンテージ系ギターに多く使われています。自分のギターがラッカーかどうかは、購入時の仕様を確認するか、メーカーのサイトで調べられます。
対策としては、ラッカー対応のスタンドを選ぶか、接触部分にクロスを挟むことです。
「ラッカーフィニッシュセーフ」と表記されているスタンドを選べば理論上ほぼ問題ありませんが過信せず、そういうスタンドだったとしてもクロスやタオルを挟むことをおススメします。
余談ですが、ハードケースも油断できません。内側のクッション素材がラッカーに悪さをして、繊維が塗装に食い込んで固まるケースも何本も見てきました。
「ちゃんとケースにしまってるのに」という状況で起きることがあるので、ラッカー塗装のギターを持っている方は頭に入れておいてください。
とにかくラッカー塗装のギターは、ちゃんと弾いてあげることが最大の保護になります。
信頼性の高いスタンド
参考までに、筆者が信頼しているスタンドを2つ紹介します。
ハーキュレス GS414B

ボディシェイプを問わず安定して立てかけられる定番モデルです。軽く引っかけた程度では倒れない安定感があり、普段使いの一本として信頼しています。ラッカー対応素材を使用しており、幅広いギターに使えます。
TAMA 839

これは「憧れのスタンド」という表現が正直なところです。ドラムメーカーのTAMAが作るだけあって、シンバルスタンドを彷彿とさせる武骨な見た目と、他のスタンドとは次元の違う重量感が特徴。重いから動かない、動かないから倒れない。固定箇所の信頼性も最高水準で、「置いておくだけで安心できるスタンド」です。
どちらも長く使えるアイテムなので、スタンドに迷ったらこの2択から選んでいただければと思います。
もちろん低価格のスタンドでも商品に問題が無ければ長く愛用できます。
一般的な形のものにカバーを付けてあげればラッカー塗装のギターでも気軽に使う事が出来ます。
まとめ|ギターは「出しっぱなし」が正解
「大事にしまう」より「いつでも手が届く場所に置く」のが、継続のための正しい保管です。
ギタースタンドは保管用品ではなく、練習の習慣化を支える装置だと思っています。1,000円台から買えるアイテムで、ギターとの距離がここまで変わるなら、コスパとしては最高クラスです。
この記事のポイント
- ケースへの出し入れが「面倒のハードル」になって練習頻度を下げる
- 視界に入る場所に置くだけで、弾く気になる回数が増える
- 生活動線の上にスタンドを置くことが習慣化の鍵
- ラッカー塗装のギターはスタンドとの相性に注意が必要
- 「大切にしまう」より「いつでも出せる」が継続の哲学






















