「ギターが上手くなりたい」
これは、ギターを趣味にしている人なら誰もが一度は思うことだろう。
お気に入りの曲を弾きこなしたいとか、SNSで人から「上手い!」って言われたいとか、
人前で堂々と演奏できるようになりたいとか──理由はさまざまだ。
だけど、ふと疑問に感じることがある。
“上手い”って、そもそも何を指してるんだろう?
この「上手さ」というやつ、実はかなり曖昧で、追いかけるほどに正体がわからなくなっていく。
だから、はっきり言ってしまうと──
「ギターが上手い人になりたい」と目指すのは、けっこう無駄な努力かもしれない。
“上手い”の定義、考えたことありますか?
SNSを見ていると、「この人めっちゃ上手い!」と思うようなギタリストがたくさんいる。
でも、なんで上手いと感じたのか、理由を言語化できる人は少ない。
実際に「上手いと思う基準」って、人によってかなりバラつきがある。
たとえば、よく聞く評価ポイントはこんな感じ。
ノーミスで弾けている
難しいテクニックを使っている
速くて正確なプレイ
リズムがしっかりしている
音が気持ちいい、良い音を出している
逆に、「ミスした=下手」「簡単なフレーズ=下手」と判断する人もいる。
テクニカルな速弾きを「すごい」と思う人がいれば、
それを「味気ない」と言う人もいる。
つまり、“上手い”の基準は人によってバラバラ。
誰かが上手いと思う演奏が、別の誰かには響かないこともある。
そのくらい主観的で、ブレやすい概念なのだ。
正解のないゴールを追いかけ続けるのはしんどい
たとえばマラソンなら、「何分でゴールした」とか「距離を何キロ走った」とか、明確な数字がある。
だけど、ギターの「上手さ」にはそういうスコアがない。
「この曲が弾けたら合格」とか
「この速度で正確に弾けたら上級者」みたいな明確な基準があればいいけど、
現実はそうじゃない。
どこまでできても、
「でもまだここが…」「あの人と比べたら…」という声が心の中から聞こえてくる。
終わりがないのだ。
これ、目指しても終わりがないゴールを追いかけているようなもの。
上手くなればなるほど、「まだまだ自分は下手だ」と思ってしまうことすらある。
他人の評価は変わりやすいし、そもそも操作できない
「上手いって思われたい」と感じる気持ちはよくわかる。
SNSに演奏動画をアップして、いいねやコメントがもらえたら嬉しいし、
「上手いですね!」って言われたら、自信にもなる。
でも、よく考えてみてほしい。
その「上手い」って言葉は、その人の感覚で言ってるだけだ。
別の人は、同じ演奏を見て「下手だな」と思うかもしれない。
他人の評価は、聴く人の好みや経験、気分に左右されるもの。
そして、それを自分でコントロールすることはできない。
だから、誰かの評価をゴールにしてしまうと、どんどん苦しくなってしまう。
「楽しい」と思える時間を増やす
じゃあ、どうすればいいのか?
それはとてもシンプルで、「自分が楽しい」と思える状態を大事にすることだ。
たとえば、好きなコードをじゃーんと鳴らして気持ちいいと感じたり、
今日初めてちゃんと弾けたフレーズにちょっと感動したり、
ヘッドホン越しに「うわ、音気持ちいいな」と思えたり──
そういう小さな「楽しい」の積み重ねが、ギターを続けていく最大の原動力になる。
そして不思議なことに、そうやって楽しんで弾いているうちに、
いつの間にか「上手くなってた」と言われることもある。
でもそれは、“上手くなるために努力した”というよりも、
楽しいから続けた結果、自然と身についていたという流れだ。
他人の評価より、自分の気持ちを信じよう
ギターの「上手さ」は極めて主観的。正解はない
他人の評価はブレやすく、変えられない
「上手い人になろう」とするほど、終わりのない迷路にハマってしまう
自分が「楽しい」「気持ちいい」と思える感覚を大事にするのが一番の近道
その結果として、周りから「上手い」と言われる日がやってくる
だから、無理に「上手い人」を目指さなくても大丈夫。
あなたがギターを弾いて、「今日もちょっと楽しかったな」と思えたら、
もうその時点で“勝ってる”ようなもの。
焦らず、比べず、自分のペースで続けることで目指さずとも勝手に上達していく。
そしていつの間にか周りから“上手い”と勝手に評価さているものだ。
Q&Aで記事を振り返り
Q1:ギターが上手くなることを目指すのはダメなこと?
A:ダメではありません。ただ、「上手くなったら認められる」という思考に縛られすぎると、苦しくなります。
上手さにこだわりすぎず、「楽しい」「気持ちいい」と感じる瞬間を大事にしていきましょう。
Q2:SNSでの評価が気になってモチベーションが上下します。どうすれば?
A:SNSの評価は不安定で主観的です。上手いと褒めてくれる人もいれば、そうでない人もいます。
他人の評価に左右されず、自分の「気持ちよさ」「納得感」を優先する姿勢がギターとの良い関係を築きます。
Q3:周りと比べて「自分は下手だ」と感じてしまいます。
A:誰かと比べると、たいていは「自分はまだまだ…」と感じてしまうものです。
でも、ギターには明確な合格ラインがありません。昨日より1ミリでも前に進めていれば、それで十分です。
Q4:「上手い人になりたい」と思わないと、成長しない気がします。
A:実は逆で、「楽しいから続ける」→「続けるから上達する」という順番の方が、結果的にうまくいくことが多いです。
成長の原動力は“楽しさ”です。「上手くなるために弾く」ではなく、「弾いていたら上手くなってた」くらいがちょうどいいです。
Q5:じゃあ、何を目標にすればいいの?
A:「今日も少しだけでも気持ちよく弾けたか?」という問いが、自分にとって一番リアルな指標になります。
“上手さ”よりも、“好きな曲が弾ける”を目安にした方が、自然と続けられます。