ギター初心者向け

ギターが上達しないのは機材のせい?それとも自分のせい?

「ギターのせいにするなよ」
こんな言葉を、ギターを弾く人なら一度は耳にしたことがあるだろう。

確かに、それは真っ当なアドバイスだ。上達しない理由を機材のせいにしていては、いつまでも実力は伸びていかない。
でも、本当に“すべてがプレイヤーの責任”でいいのだろうか?

この考え方が極端に偏ると、自分を必要以上に責める結果になりかねない。
ギターが上手く弾けない理由をすべて実力不足と決めつけてしまうと、本来必要だったはずの「環境の改善」を見落としてしまう。

今回は「高機材依存」と「テクニック至上主義」の間にある、ギタリストが無意識に見落としがちな“グレーゾーン”について掘り下げてみたい。
上達のために本当に大切なことは何か?という視点から考察していこう。

「ギターのせいにするな」は一理ある、が

まず大前提として、「ギターのせいにしてはいけない」という意見は、基本的には正しい。
技術の向上を目指すなら、自分自身の課題を見つめ直す姿勢は欠かせない。

しかし、それが全てではない。
ギターという楽器は「生き物」のようなもので、湿度や温度、弦の張力などの外的要因に大きく左右される。
つまり、どんなにプレイヤー側が頑張っても、ギターのコンディション次第では実力を100%発揮できない場合も普通にあるのだ。

ギターに問題があったとしても、それを見て見ぬふりをして「俺が下手なだけなんだ」と思い込んでしまうのは逆に危険だ。
その思考こそ、上達の妨げになってしまうこともある。

ギターの状態が悪いと起こる、具体的な弊害とは?

では、実際にどんな状態のギターが“プレイヤビリティを損なう”のか。ここで具体的な例を見てみよう。

  • ネックが反っている
    頻繁に起きる問題。順反りや逆反りによって弦高が不自然になり、弾きにくさやビビリが発生する。

  • ナットが高すぎる
    開放弦付近でコードを押さえるだけでも力が必要になり、特に初心者には辛い。1フレットのFコードで挫折する要因にもなりやすい。

  • フレットの摩耗が激しい
    音程が不安定になったり、特定のポジションで音が鳴りづらくなる。無理に力を入れてしまい、変なクセがつくことも。

  • ブリッジのセッティング不良や弦高のばらつき
    ピッキング時に安定感がなくなり、タッチのばらつきが目立つようになる。

こういった状態では、どれだけ腕を磨いても本来のパフォーマンスは出せない。
特に、まだ自分のプレイスタイルが確立していない初心者ほど、楽器側の影響を強く受ける傾向がある。

完璧な状態で弾けることのほうが珍しい現実

ここまで聞くと、「じゃあ完璧な状態のギターじゃないと練習しても意味ないの?」と感じるかもしれない。
だが実際のところ、常にベストな状態で弾けるギターを持っている人はごく少数だ。

プロでさえ、ライブ前にメンテナンスを行ったり、複数本のギターを使い分けたりして「ベストに近づけている」だけで、常に完璧な状態をキープしているわけではない。

日本の気候は特にギターにとって過酷だ。
湿気や乾燥でネックが動きやすく、弦高やイントネーションも気づかないうちに変化してしまう。

それに、ギターは日常的に高い張力を受け続ける構造になっている。
毎日練習する人ほど、セッティングのズレは起こりやすい。
まさに“ギターもプレイヤーと同じように疲れていく”という感覚を持つことが重要だ。

とはいえ、「ギターのせい」はやっぱりカッコ悪い

では、ギターの不調は全部許されるのか?というと、当然そうではない。

多少のコンディション不良は、ある程度の技術でカバーできる。
たとえば弦高が高くても、それなりの握力と押弦の正確さがあれば対応できる。
逆に、楽器の状態が完璧でも、演奏が不安定ならそれはやはり実力不足だ。

つまり、「ギターのせいにする」という言い訳は、本質的には“自分を守るための逃げ”になってしまう。

問題は、「本当にギターが悪いのか? それとも自分の腕か?」という見極めをちゃんとできているかどうかだ。

上達しない原因は? 実力と機材、どちらに問題がある?

検索エンジンに日々打ち込まれている「ギター 上達しない 機材」「ギター 実力 機材のせい」という疑問は、多くの人が感じている悩みだろう。

ここで大事なのは、両方の可能性をフラットに考える視点だ。

  • 練習不足や効率の悪さが原因なら、当然実力の問題。

  • ただし、明らかに状態が悪いギターで練習を続けるのは、ブレーキを踏みながら走っているようなもの。

どちらか一方に責任を押し付けず、「今の自分にとって必要な調整は何か?」を冷静に判断する力が求められる。

自己管理だけでなく、楽器の管理も“上達のうち”

ギターが生き物である以上、手入れを怠れば当然調子を崩す。
「手が痛い」「押さえにくい」「ビビる」など、ちょっとした違和感を無視しないことが大切だ。

以下のようなメンテナンスは、定期的にプロに任せるのがおすすめ。

  • ネックの反りチェックと調整(トラスロッド)

  • ナットの高さや溝の深さ調整

  • フレットのすり合わせや打ち替え

  • ブリッジ・弦高・ピックアップバランスの調整

  • 弦交換時のクリーニングや指板ケア

普段の練習に加えて、こうしたメンテナンスも「ギターとの対話」の一部として取り入れていこう。

まとめ|実力と機材、その間にある“気づき”を大切に

「ギターのせいにするな」という言葉は、努力を促すための良いスローガンかもしれない。
だが、それに縛られすぎて自分を追い詰めてしまっては本末転倒だ。

ギター上達には、

  • 自分自身の課題を冷静に見つめる姿勢

  • ギターという楽器への理解とケア

  • 日々の練習を支える“適切な環境作り”

この3つが揃ってこそ、本当の意味での成長につながる。

あなたの演奏を支えるのは、あなた自身と、あなたのギター。
どちらにも敬意と責任を持って向き合っていこう。

Q&Aで記事の振り返り

Q1:よく言われる「ギターのせいにするな」って、やっぱり正しい?

A:基本的には正しい。でもそれだけでは片付けられない。

演奏が上手くいかない原因をすぐ機材のせいにするのはNG。しかし、明らかにギター側に不具合があるケースもあり、「全部自分のせい」と思い込むのもまた危険。大切なのは冷静に原因を見極めること。


Q2:どんなギターの状態が“明らかにダメ”なの?

A:ネックの反り、ナットの高さ、フレット摩耗などが代表例。

弾きにくさが極端な場合、それはギターのコンディションが原因かもしれない。特にネックまわりの不調は演奏への影響が大きく、早めの調整が必要。


Q3:でも、プロはどんなギターでも弾けるんじゃないの?

A:プロでも「完璧な状態」で弾けることは稀。

湿気・温度の影響や練習の積み重ねでギターは少しずつズレていく。日本の気候ではなおさら。プロはそれを理解した上で、こまめに調整やメンテナンスをしている。


Q4:「ギターのせいにするな」と思われないためには?

A:実力と機材のバランスを把握し、必要な手入れをしておくこと。

少しの不調なら技術でカバーできるが、整備不良のままにしておくのは逆効果。演奏の質を高めるためにも、機材のケアを怠らないことが大切。


Q5:上達しない理由、結局は機材?実力?

A:どちらか一方ではなく「両面から考える」のが正解。

練習の仕方や量に問題がある場合もあれば、ギターの状態が悪すぎて伸び悩んでいるケースもある。自分にとって何が今ボトルネックになっているのか、定期的に見直そう。


Q6:何をすれば環境は整えられる?

A:最低限のメンテナンスを定期的にプロに依頼する。

ネック、ナット、フレット、弦高、ピックアップのバランスなどは素人判断が難しい部分。年に数回、楽器店で点検・調整してもらうだけでも大きく変わる。


Q7:この記事で一番伝えたいことは?

A:「ギターもプレイヤーも完璧じゃない。でもそれでいい」。

上達のためには、機材を言い訳にしすぎず、でも無視もしない中間の姿勢が必要。楽器もあなた自身も、少しずつ育てていくスタンスが一番大切。

ABOUT ME
吉田寛定
新潟市在住のギターインストラクター。 趣味ギタリストに向けた“ちょうどいい温度感”の発信を心がけています。 新潟市江南区のギター教室|7丁目ギター教室にて無料体験レッスン受付中。亀田・横越エリアの方はぜひどうぞ。