エレキギター初心者の最初の一本|予算・目的別に選んでみた

2026/04/08内容更新
エレキギター、結局どれを買えばいい?
比較記事を10本読んで、迷いが10倍になった。そのループ、この記事で終わりにします。
どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。
「そろそろギターを始めよう」と決意して検索した結果、おすすめ記事が山ほど出てきて、読めば読むほど選択肢が増えた──そういう状態でここにたどり着いた人が多いと思います。
楽器屋の壁一面に並んだギターの前で1時間固まっているお客さんを、何人見てきたか分かりません。
情報は集めた。でも決められない。
その詰まり方には、はっきりした理由があります。
「比較」しているから決まらないんです。
この記事では比較をしません。
1万円台・3万円台・5〜8万円台、それぞれのタイプに合った答えを1本だけ出します。
価格レンジを3つに分けているので、どのタイプの読者も自分のための記事だと判断できるはずです。
筆者は過去に楽器店に携わり、現在は新潟市でギター教室の講師をしています。
目的と予算が噛み合っていないギター選びがその後どうなるか、両方の立場から嫌というほど見てきました。
その経験をそのまま書きます。
まず確認する。あなたはどのタイプか

難しく考えなくていいです。「予算」と「続ける自信があるかどうか」の2軸で、自分がどこに当てはまるか確認してください。
タイプ①「とにかく安く始めたい・続くか正直わからない」 → 1万円台で始めたい。まず触ってみたい段階。
タイプ②「3万円前後・しばらく使えるものが欲しい」 → ある程度続ける気持ちはある。品質の差も気になる。
タイプ③「予算5〜8万円・安物買いの銭失いを避けたい」 → 続けると決めている。最初から後悔しない一本を選びたい。
タイプ①「とにかく安く始めたい・続くか正直わからない」
「続くか分からないから安く始めたい」という判断は、状況に合っている正しい判断です。
ただ、楽器屋での経験から言うと、失敗するパターンには一つ共通点があります。高い安いの問題ではなく、目的と予算のミスマッチです。
たとえば「続くか分からない」という気持ちがあるにもかかわらず、見た目や憧れで5万円台のギターを買ってしまう。数ヶ月後に「やっぱりもっとちゃんとしたものが欲しい」とグレードアップを目的に再来店される方はいます。ただその逆──高いギターを買ってすぐ低価格帯に買い替えたという人は、長年楽器屋をやっていてほぼ見たことがありません。
つまり「続くか分からない」という状況であれば、1万円台から始めることは合理的な選択です。問題は価格ではなく、自分の状況に合っているかどうかだけです。
一つ付け加えると、安いギターで始めてそのまま続いた人も、上達してしまった人も、実際にいます。
なぜその人たちが続いたのか、なぜ上達したのか。正直なところ、断定できるほどの見識は吉田にはありません。ただ一つ共通して見えるのは、練習に時間を費やしているということです。取り憑かれたように練習している。そういう人が世の中にはいて、そういう人にとってはギターの価格は関係ありません。
「続くか分からない」という状態でギターを買うことは、後ろめたいことではありません。始めた人だけが、そういう自分になれる可能性を持てます。
タイプ②「3万円前後・しばらく使えるものが欲しい」
「安すぎず高すぎず」という感覚で3万円前後を考えているなら、その直感は正しいです。
この価格帯は、初心者が実際に「弾きやすさの違い」を体感できる最初のラインです。1万円台との差は、数字のうえではなく指先に出ます。そしてその差が最も顕著に現れるのは、Fコードを押さえる瞬間です。
筆者が考える価格帯による弾きやすさの差の正体は、ナットにあります。

ナットって何?
ヘッドとネックの境目にある溝のついた小さなパーツ。弦がここを通ることでローポジション(ネックの根元に近い側)の弦高が決まる。
低価格帯のギターはコストを抑えた設計になっているうえ、返品リスクを減らすためにビビり(弦がフレットに触れてガタガタ鳴る現象)が起きにくい方向で調整されています。
その手段として取られるのが、ナット溝を浅めにすること。ナット溝が浅いと、ローポジションの弦高が上がります。弦高が高いと返品の原因になりがちなビビりが無くなる代わりに弦を押さえるのに余分な力が必要になり、特にFコードのような複数の弦を同時に押さえるコードがきつくなります。
価格が上がるにつれて、ナット溝の加工精度も上がっていく傾向があります。3万円前後の価格帯になると、このナットの処理が変わってくる。「同じFコードなのになぜか押さえやすい」という感覚の正体は、多くの場合ここにあります。
教室で「なんで自分だけ弾けないんだろう」と悩んでいる生徒を見ると、練習量よりも先に道具の状態を確認したくなります。弾けないのではなく、弾きにくいギターを使っている場合が少なくないからです。
タイプ③「予算5〜8万円・安物買いの銭失いを避けたい」
「続けると決めているから、最初からいいものを選びたい」という判断も、正解です。
楽器屋で何度も見てきたのは、こういうパターンです。最初に1万円台を買い、半年後に「やっぱりもっとちゃんとしたものが欲しい」と来店される。
日が浅ければ返品対応できることもありましたが、タイミングによっては買取からの買い替えになります。
(もちろん初めてのギターは思い入れがあるので残しておくという方も多いです。)
1万円台のギターの買取価格は数千円程度になることが多く、そこに新しいギターの購入費用が乗ってくる。
最初から3〜5万円台を買っていた場合と比べてトータルコストが逆転するのは、このタイミングです。いわゆる「勉強代」を余分に払う状態です。
続けると決めているなら、最初から予算に見合った一本を選ぶことがコスト的にも合理的です。
昔挫折したけどリベンジしたいという方にもおすすめです。
タイプ別・一択推薦モデル

タイプ①への一択:Playtech ST250

【プチ解説】Playtechって何?
サウンドハウスのプライベートブランド。
サウンドハウスは通販専門のため店頭での対面相談はできないが、低価格帯の中では品質管理の安定感がある。
「とにかく安く始めたい」というタイプには、このモデルを挙げます。
ただし積極的なおすすめではなく、このタイプの人間にはこれ以外を選ぶ理由が薄い、という消去法的な推薦です。
セット販売については、筆者は基本的に勧めません。
セットに含まれるケーブルやアンプは品質が低く、結局後から買い直しになるケースが多いからです。
ただ、タイプ①の場合は話が変わります。
「まず触ってみたい・続くか分からない」という段階では、アンプやケーブルに個別の予算をかける前にギター自体を手に取ることの方が先です。
その意味でセット込みで揃える選択は、このタイプに限っては理にかなっています。
購入はサウンドハウスの通販になるため、対面での相談はできません。
購入後に弦高やネックの状態が気になる場合は、近隣の楽器店やリペアショップ、教室でセットアップを依頼することを考えておくといいです。
低価格帯のギターは出荷時の調整が甘いものも混じりやすく、届いた状態のまま弾き続けると「弾きにくい」が「弾けない」に変わってしまうことがあります。
タイプ②への一択:Ibanez AZES40

【プチ解説】SSHレイアウトって何?
ピックアップ(弦の振動を拾うマイクのようなパーツ)の並び方のこと。
SSHはシングルコイル×2、ハムバッカー×1の組み合わせ。
クリーンな音からパワフルな歪みまで幅広いサウンドに対応できる。
3万円前後でこれを選ぶ理由は二つあります。弾きやすさと、音の守備範囲の広さです。
正直に書くと、筆者はAZES40をまだ実機で触れていません。新潟では在庫していることがほとんどなく、試奏の機会がないままです。
ただスペックと周辺情報を見ると、この価格帯の中でも対応力の高い設計になっています。以下はその根拠です。
スケール(弦の長さ)が一般的な648mmより短い635mmに設定されており、弦の張力が下がります。
先ほどのタイプ②セクションで説明したナット溝の精度と合わせると、ローポジションでの弦の押さえやすさに直結する設計です。
また、SSHレイアウトにAlterスイッチを組み合わせることで、クリーンからパワフルな歪みまで幅広い音作りに対応できます。

「最初はどんな音楽をやりたいか決まっていない」という人にとって、音の守備範囲が広いことは長く使える根拠になります。
実機を触った感想をお伝えできないのは正直歯がゆいところです。
ただ、スペックと設計の方向性から見て、この価格帯でこれを選ぶ根拠は十分にあると判断しています。
タイプ③への一択:YAMAHA PAC612V

【プチ解説】PAC112Vとの違いは?
同じヤマハのパシフィカシリーズで、112Vは入門〜中級向け、612Vはその上位モデル。
ピックアップの品質・フレットやネックの仕上げ・チューニングの安定性などに差がある。
「最初から612Vを選んでよかった」という話は、教室でも出てきます。
タイプ②のセクションでナット溝の話を書きました。
612Vの価格帯になると、その精度がさらに上がります。
加えてフレットの仕上げ・ピックアップといった部品そのものの品質が変わります。
かけるべき箇所にコストをかけたうえでユーザーにリーズナブルに提供している、筆者が見てきた中でその理想に近いモデルの一つです。
612Vは長く使えるスペックを持っているモデルです。
「買い換えの動機が生まれにくい」という点が最大のメリットで、教室で見ていると、この価格帯から始めた生徒は途中で機材への不満が出にくい傾向があります。
入門機からPAC612Vに乗り換えた生徒さんの話で印象的だったのが、音の良さと弾きやすさが向上したことで練習時間が自然に増えた、というものです。
吉田が何かを課したわけではなく、気づいたらバンド活動まで始めていました。
道具が変わると、練習に向かう姿勢が変わることがあります。
タイプ③の読者にとって重要なのは「高いギターを買う」ことではなく「目的と予算が合った選択をする」ことです。
続けると決めているなら、PAC612Vはその条件に合致します。
よくある迷いを3つ、一問一答で終わらせる

予算はどこまでかければいい?
教室で一番上達が早かった生徒のギターが、3万円台だったことがあります。
逆に高価なギターを持っているのに伸び悩んでいる生徒も見てきました。
価格と上達速度は、正直なところ無関係です。
上達に効くのは、ギターや音楽にかけている時間です。練習習慣とモチベーションの方が、機材のスペックよりよっぽど上達に寄与します。
ではなぜ高い方がいい場合があるのか。
一つは「買い換えコストの逆転」、もう一つは「モチベーションの維持」です。
気に入った道具は触りたくなる。それだけのことですが、長く続けるうえではそれが効いてきます。
1万円台・3万円台・5〜8万円台、どの選択も「自分の状況に合っていれば」正解です。
ただ、素養のある人が少し良いギターに持ち替えたとき、上達速度が上がることはあります。弾きやすさの向上が練習の密度に影響するからです。
セット販売と単品購入、どちらがいい?
タイプ①以外には、基本的に単品購入を勧めます。
セットに含まれるアンプやケーブルは品質が低いものが多く、結局改めて買い直すことになるケースを楽器屋時代に何度も見てきました。
「セットでお得」に見えて、使えないパーツを買っている状態になりやすいです。
タイプ②・③の場合は、ギター本体を単品で購入し、アンプは別途1万円前後のものを選んだ方が、結果的に満足度が高くなります。
必要なものはギター本体・アンプ・シールドケーブル・チューナーです。
ネット購入と楽器屋購入、どちらがいい?
タイプ②・③は可能であれば楽器屋を勧めます。タイプ①は状況次第です。
楽器屋時代の実感として、ネット購入で「なんか微妙だった」と持ち込まれるケースは少なくありませんでした。
その多くは弦高調整が甘いものや、ネックに問題のあるものでした。
こうした状態は特に低価格帯で起きやすいです。
入門価格帯では個体差が少なく、信頼できるショップからであればネット購入のリスクは下がります。
タイプ①でPlaytech ST250を選ぶ場合、サウンドハウスの通販での購入になるため対面相談はできません。
購入後の状態確認だけは、近隣のリペアショップや教室で一度見てもらうことを考えておいてください。
(と、いう事は別途料金が発生する可能性が高いのでやはり予算は3万円~と考えた方が良さそう。)
タイプ②・③は、同じモデルでも個体ごとに状態に差があることがあります。
可能であれば店頭で実際に手に取った方が後悔は少なくなります。
まとめ
この記事のポイント:
- タイプ①(続くか分からない)→ Playtech ST250。消去法の選択だが、始めることに後ろめたさは不要
- タイプ②(しばらく使えるものが欲しい)→ Ibanez AZES41。設計の方向性と守備範囲の広さが決め手
- タイプ③(安物買いの銭失いを避けたい)→ YAMAHA PAC612V。続けると決めているなら最初からこれ
- 価格と上達速度は無関係。取り憑かれたように練習する人に、ギターの価格は関係ない
- 失敗の原因は「安いから」ではなく「目的と予算のミスマッチ」
どのタイプも、自分の状況に合った選択であれば正解です。タイプ間に優劣はありません。
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