「ギター練習したいのに、何から始めていいかわからない」「新しい機材が気になるけど、選択肢が多すぎて選べない」。
そんな状態で時間ばかりが過ぎてしまい、気がつけば今日もギターに触れていなかった──。
誰もが経験するこの現象、実は「選択麻痺(decision paralysis)」と呼ばれる心理的な現象だ。
選べる幅が広がった現代だからこそ、逆に「選べない」という罠にはまってしまっているのかもしれない。
本記事では、ギター練習における選択麻痺の正体とその対策を、筆者の体験も交えながら解説していく。
選択麻痺とは?ギタリストにも身近な“迷いの正体”
選択麻痺とは、選択肢が多すぎることによって逆に行動ができなくなる状態のこと。
スーパーでジャムを選べず棚の前で固まってしまう…という例が有名だが、これがギターの世界でも日常的に起きている。
たとえば:
数十種類のマルチエフェクターから選べない
マルチエフェクターで無限に音を試してしまい、結局「音作り」だけで練習時間が終わる
Youtubeを開いて「どの曲をやろうかな…」で1時間経過
ギタリストあるあるとも言えるが、これは思考エネルギーを消耗している証拠。
「決める」だけで体力を使ってしまい、「弾く」までたどり着けないのだ。
選択肢の多さは“燃料切れ”を引き起こす
実体験として、筆者もKemperを使っていた時期、音作りにこだわりすぎて肝心の練習に身が入らないことがあった。
Kemperは世界中のユーザーが音色データをアップロードしてそれをほかのユーザーも使えるRig exchangeというサービスがありこれがめちゃくちゃ捗る。
例えばメーカー名やアンプの型番から検索して
世界の誰かがアップロードしていればその音色データを即座に鳴らす事が出来る。
選べる音が多すぎて「今度はマーシャル?フェンダー?マッチレス?・・・・・・」と迷い、1曲も弾けずに電源を落とす日も珍しくなかった。
おかげで色んなアンプを疑似的に触る事が出来て、それはそれでいい経験になったのは間違いないが、上達に寄与する時間は少なくなっていたように思う。
そこで思い切ってGT-1000COREに乗り換えた。
選択肢は減ったが、その分音作りに“迷わず済む”ようになった。
結果として、あれこれ悩まず練習に集中できるようになり、ちゃんと上達した。
ギターとの付き合い方が、明らかに変わった瞬間だった。
最初から“選ばない”仕組みをつくる
選択麻痺を回避するためには、「選択肢を絞る仕組みづくり」が有効だ。
▸ 機材選びの工夫
目的ごとに機材を固定する(ライブは○○、宅録は○○)
エフェクトの順番や数を明確に決めておく
選べない時は「前回と同じ」または決まったテンプレートにするルールを作る
練習に専念したい時はこのように決めておくことでタイムロスを減らせる。
勿論機材で遊びたい時はしっかり遊ぶ。
その時の目的に応じて上記ルールを活用しよう。
▸ 選曲で迷わない方法
練習するアーティストを1人に絞る
例:「しばらくはB’z縛り」「アニソンだけやる」などスコア本を1冊買って、当分はそこからしか練習しない
「今週はこの3曲しかやらない」と決める
自分が“選ばなくて済む状態”を整えるだけで、驚くほどスムーズにギターへ向かえるようになる。
勿論前提としてその日やりたい曲が明確にある状態なら上記ルールから外れても良い。
飽くまで練習時間を無駄にしないためのルールなのでスムーズにギターを弾き始めれるのであればOK
また、だらだら選曲する時間もそれはそれで楽しい時間でもある。
偏り過ぎない程度にそういう日を設けるのは全然アリ。
意思決定を減らし、行動を後押しする
選択麻痺の正体が「意思決定疲れ」なら、意思決定を減らせば解決できる。
以下のような習慣が効果的だ:
練習の開始時間を固定する:「21時〜は“選ばず”弾く時間」と決める
決められなかったら“昨日と同じ”:選ぶのに5分迷ったら前回と同じ機材・同じ曲
トリガーを作る:「スコア本を開いたら迷わず1曲目を弾く」など
環境や行動ルールをあらかじめ定めておくことで、「決めなくていい」状態をつくることができる。
筆者が実感した変化
GT-1000COREへの機材変更や、練習曲のジャンル制限を設けたことで、「やる気があるのに行動できない」という状態から抜け出せた。
選択肢は自由を与えてくれる一方で、時に“束縛”にもなり得る。
そのことを実感してからは、「選択を減らすことは、むしろ自由を増やすこと」だとすら思うようになった。
まとめ
選べないのは意思が弱いからではない
情報や選択肢が過剰な時代に、誰でも起こり得る“選択麻痺”
「絞る」「仕組みにする」「ルールを作る」で行動しやすくなる
選ぶ前に疲れるより、まずは“やってみる”ための環境を整えよう
Q&Aで記事の振り返り
Q1:選択麻痺って、ギタリストにも関係あるの?
A:大いに関係ある。練習曲や機材選びで迷ってばかりになるのは、選択肢の多さによる“意思決定疲れ”が原因。これは心理学的にも証明されている現象。
Q2:選択肢を減らすって、自由を奪うことにならない?
A:逆に自由を取り戻す手段になる。選択肢が多すぎると行動できなくなる。「決まっている=動ける」状態は、日々の練習をスムーズにする。
Q3:実際にどんな工夫をすればいいの?
A:例としては「使う機材を固定する」「スコア本を1冊決める」「練習時間を決めておく」など。選択肢を絞ることで、弾き始めるまでのハードルが下がる。
Q4:KemperからGT-1000COREに変えた理由は?
A:選択肢が多すぎると、音作りに時間を取られてしまい、肝心の練習に集中できなくなるため。GT-1000COREの方が“ちょうどよく迷えない”設計で練習がはかどるようになった。
Q5:練習曲が決められないときはどうすれば?
A:「このアーティストだけに絞る」「1冊のスコアからだけ選ぶ」「5分迷ったら前回と同じにする」など、あらかじめルールを決めておくと、迷わず手が動くようになる。