楽器コラム

エレキギターにおける“コスパが高い”って何なのか考えてみた

これからギターを始めたい人も
すでにある程度慣れてる人も
上級者も

ギターを買おうとなった時は
なるべくコスパの高いものを選びたい

と思うのは自然な感覚だと思う。

では、コスパの高いギターって
一体どんなギターなの?

この記事ではそんな
ギターのコスパについて
徹底的に解説していきます。

コストパフォーマンスとは

よくただ単に安いものに対してコスパが高い
もしくはコスパが良いという言葉が使われてしまっているのを目にする

確かに以前に比べてより安く類似品が手に入ることも多くなってきているので
高コスパな体験は案外我々の生活では頻発しているのかもしれない

ただし、類似品で満足できる人とそうでない人がいるのも事実で
一体何がコスパというものを決定付けているのかを考えたい。

そこで、まずはコストパフォーマンスという言葉の認識のすり合わせをしていきたい。

Wikipediaの文言を引用させてもらうと

コストパフォーマンスとは、とは、

あるものが持つコスト(費用)と

パフォーマンス(効果)を対比させた度合い

費用対効果ともいう

ってことだそうで

ただ、これだとあまりに言葉足らずだと感じたので

筆者なりに別の言葉を使わせてもらうと


かかる費用に期待される性能や体験に対する

実際の性能や体験とのバランスで

期待が勝ればコスパが低い、もしくは悪い

期待を上回ればコスパが高い、もしくは良い

と、表現される

こんな感じかなーと

つまりはコスパって価格に対する期待度で変わってくるから

これ、極めて主観的な感覚で
個人の価値観やリテラシー(知識、経験値)によってかなり差がでてくるんじゃないかなー
と筆者は思う。

つまり同じ商品を見ても
AさんとBさんとではコスパの感じ方に差が出るから
一概にコレはコスパが良い、悪いと断定する事は出来ないよね
ってこと。

その人が何に重きを置いているかによって
コスパにも差が出るので
最終的にアイテムごとのコスパを判断するのはあなた自身です。

その上で何を基準にコスパを判断したら良いのか

今回はギター本体について
筆者なりにチェック項目を考えてみた。

ギター本体の構成要素

ギターは部品の集合体です。

コスパを考える時は、ギターにどのような素材、部品が使われているのかで
相対的なコスパの良さを測ることが出来ます。

ぱっと見様々な部品で構成されている様に見えますが、
実際覚えておきたい項目はあまり多くはありません。

なぜなら、ギターを弾く上で必ず触れる部分がほとんどだからです。

とはいえ、部品点数2、3個ってわけでもないので


ボディ、ネック、指板材

金属パーツ

電装パーツ

の3種類に分類していきます。

ボディ、ネック、指板材

ボディ材、ネック材はそのままのボディとネックの材料です。

ギターに用いられる材料は、古くから定番として扱われてきたものもあれば
コスト削減や新たなサウンドを目指して最近は様々なものが使われる様になりました。

個人的には定番とされている木材を使用しているものの方が
楽器の材料としては信頼度が高いと思っています。

ボディ材は


アッシュ、アルダー、マホガニー、メイプル

ネック材は


メイプル、マホガニー

指板材は


メイプル、ローズウッド、エボニー

この辺りが定番の材料でしょう。

これらの材はギターよりも歴史の深いバイオリン属や
打楽器などでも用いられるので楽器の材料として
古くから実績を積み重ねてきた信頼があります。

しかしながら、これらの材も状態や産地によって品質が全く異なります。

例えるなら同じマグロでも

回転寿司チェーンで提供されるマグロ

銀座の高級寿司屋で提供されるマグロ

静岡の寿司屋で獲れたてで提供されるマグロ
では、素材としてグレードも品質も状態も違う

と言うのと同じです。

そして自然界のものですから当然個体によっても差が出てくるので
材料はあくまで目安でしかないと言われればそこまでですが

同じマグロでも価格帯によって作り手からの扱われ方も変わってくる
と言うのは容易に想像できますよね。

楽器の材料も同じと言うわけです。

金属パーツ

続いて金属パーツです。

この金属パーツ、それとこの後紹介する電装パーツには
前述のボディ材と決定的な違いがあります。

それは個体差がほぼ無いと言うことです。

正直に言うとボディ材と言うのは同じ名前でもグレードによって価値に大きな差が出る上
個体差まであると言う非常に不安定な部品なのですが、

この先は完全なる工業製品なので個体差はほぼ無いといえます。

同じ型式の新品のiPhoneでも友達の買ったiPhoneの方がフリックしやすい
みたいな事って基本的にはありませんよね

一緒に開封して
なんかお前のiPhoneの方がカッコいい黒の発色してるな
とか無いわけです。

それはiPhoneが工業製品だからです。

ギターの金属パーツも同じです

基本的には個体差やポテンシャルに差は出ません。

型式ごとに性能の差が如実に現れます。

では、意識するべき金属パーツですが

それはペグブリッジです。

弦に接触している部分ですね

コスパを考える際に見ておくべき点は
メーカー品かどうか

と言うのが指標になります。

具体的には


Gotoh(日本)、GROVER(アメリカ)、SCHALLER(ドイツ)

がついていればかなり信頼性が高いといえます。

他にもいいメーカーはありますが、有名どころはこの3社と言うことで
ひとまず割愛させていただきます。

メーカー品でない部品を使っているギターのスペックシートには

シンクロナイズトレモロタイプ、バーテールピースタイプ、クラシカルタイプ
など

〇〇タイプ

と表記されたり

そもそも商品ページに部品の紹介が無かったりします。

これらは即ち、メーカー品は使ってませんよと言うサインで

逆にメーカー品が使われていればそれだけでそのギターのセールスポイントになる
と言うくらいどこ製の部品を使っているのかと言うのは重要な事なので

メーカー品が使用されている場合は絶対に表記されている筈です。

また

Fender、Gibson、PRS、Ibanez

などの大手ギターメーカーでは自社で部品を開発していたりもします。

おそらくは、前述した部品メーカーなどに製造を委託して自社ブランドとして出しているんだと思います。

確かな技術や品質が担保されているからこそ、自社のブランドとして販売できる
ということを考えると

自社ブランドの部品が搭載されているギターもある程度信用していいかなーと思いますが
廉価版にはそれなりの部品が採用されているという事には変りはないと思うので
自社ブランドだったとしてもお買い得品にも過度な期待はしない方が良いでしょう。

電装パーツ

電装パーツは音をアンプに送るための部品群です

ピックアップ、ポット、ジャック、スイッチ

が電装パーツに該当します。

この辺もメーカー品なのか、自社ブランドなのか、無名品なのか
で判断できます。

メーカー品を具体的に紹介していくと

ピックアップは

SeymourDuncan、Dimarzio、BareKnackle、EMGなどなど

ポットは

CTS

ジャック、スイッチは

Switchcraft

という感じです。

正直ピックアップはギターサウンドの心臓部みたいなものなので
挙げきれないほどたくさんのメーカーが存在していますし

ギターをカスタマイズする際もピックアップをいじるのが最もポピュラーなので
無名でなければそこそこ良い音で鳴ってくれるかなーという印象です。

ただし、自社ブランドに関しては注意が必要で
プラスチックのボビンと磁石、そしてエナメル線で構成されているので
金型を作らなければならない金属パーツに比べて特注するハードルがかなり低い
ということが推測されるため
自社ブランドでもかなり差が出てくるところかなーと思います。

個人的には
もともとピックアップメーカーだった工場がやっているギターメーカーであれば
その点は問題がないかなーと

例を挙げると
SCHECTER、Vantzandt、SAITOGUITARS
などですね

Fender、Gibson、PRS
なんかも自社ピックアップの販売をやっていますよね

老舗や資本のあるギターメーカーはピックアップにも自社の個性を追求して
我々に提案してくれているのが分かります。

メーカー品でもブランド品でもないピックアップは

セラミックピックアップ、アルニコVピックアップ
という感じで、磁石の種類を用いた表記であることが多い印象です。

ピックアップは結構注意してみなければならないのに対し

ポット、ジャック、スイッチはそれぞれ1強状態です。


ポットはCTS

ジャックとスイッチはSwitchcraft

これだけ暗記しておけばOKです。

なぜだか分かりませんが、この二社に関しては競合らしい競合が存在しません

例外的にIbanezはこの辺りも自社製で作っているみたいですが
これも事業規模と資本が為せる事なので他のメーカーにはあまり見られない特徴です

中、上位グレードの電装パーツはCTSとSwitchcraftを採用する
というのがもはや常識の様で

CTSとSwitchcraftを使っています!という事自体がセールスポイントになっている
という状況なので

特に表記のない場合は安価なパーツを使っていると思って良いでしょう。

まとめ

ギター本体のコスパを測る時にチェックしておきたい項目
について紹介してきましたが、案外量が多くなってしまったので
ざっくりとまとめさせてください。

ボディ、ネック、指板の素材

ボディはアルダー、アッシュ、マホガニー

ネックはメイプル、マホガニー

指板はメイプル、ローズウッド、エボニー

が定番で他にも様々な木材が使用されている。

同じ材名でも産地や状態によってグレードが異なる上に
自然のものなので個体差もあるという所も忘れてはいけない。

金属パーツ

ブリッジとペグに注目すべし。

メーカー品、自社ブランド品、無名品
の三種類がある

メーカー品は信頼性が最も高く
自社ブランド品はグレードによっては注意が必要
無名品は総じて品質が低い

電装パーツ

ピックアップは様々なメーカーからリリースされているので
メーカー品であれば品質的なハズレを引くことは少ない。

自社ブランド品はピックアップメーカーとしての側面があるギターメーカーのものであるかを確認した方が良い。

無名品は品質が総じて低い。

ポットはCTS
ジャックとスイッチはSwitchcraft
がついていれば
電装関係もぬかりのないギターだと評価していい。

こんな感じです。

コスパ高いギターの具体例

よくコスパが高いギターとして紹介されるのは
YAMAHAのパシフィカでしょう。

型番で言うと

YAMAHA PAC612VⅡX
というモデルですね。

特徴を挙げると

アルダーボディ

メイプルネック

ローズウッド指板

Grover製ロックペグ

ブリッジはwillkinson VS-50

ピックアップはSeymourDuncan

定価税込¥74,800

と分かる人が見れば異常にコスパの高いギターだと口を揃えて言うでしょう。

コスパは最終的に体験で判断する

前述の項目をチェックした上で価格を確認して
相対的に見てこれはコスパが良いよね、悪いよね
という判断を一旦はするんですけど結局は体験で判断する

というのがコスパかなと思います。

例えば、Gibsonのレスポールに憧れてはいるけれど予算が足りませんと、

じゃあ傘下のEpiphoneにしようかなと思っていたところに

YAMAHAのパシフィカがコスパ最高だぜ!
という情報を目にして結局YAMAHAを買っちゃいました

となるとどうなるか

確かに相対的なコスパはYAMAHAに軍配が上がるけど
これはレスポールではないので
結果的にはEpiphoneを買った方が満足度が高かった

みたいな事っていろんなところでおきているんじゃあないかなーと

それって主観を蔑ろにして相対的なコスパという極めて客観的な視点で
買い物をしてしまっているから、支払ったコストに対しての満足度としては
Epiphoneの方が高いんじゃない?

つまりその人にとって見たら
Epiphoneのほうがコスパ高いんじゃない?
ってこと

本来Gibsonのレスポールは30万円くらいするところ
Epiphoneなら7、8万円位でも購入できる訳だからね。

そう考えるとやはりコスパは自分で判断するべきだし

相対的なコスパと主観的な満足度を加味した上で自分の答えを出せるかどうか

この価格でこれを買ったら満足できるか否か

ってところがこの情報社会をより満足度高く生きていくポイントの一つなんじゃないかな
というのが筆者の考え方です。

この記事がギター購入の参考になれば幸いです。

ABOUT ME
吉田寛定
ナチュラルハーモニクスで演奏してる人