コーラスって、最初は興味を持つものの、実際に使ってみると「ちょっと派手すぎるな…」と感じたことはないだろうか?
空間系エフェクトの中でも、コーラスは特に“かかってる感”が出やすく、扱いが難しい。
そんな中で30年以上ロングセラーを続けているのが、BOSS CH-1 Super Chorus。
一見すると地味。正直、筆者も最初はそう思っていた。
でも、使い込むうちに「この薄さ、逆に最高じゃない?」という評価に変わっていった。
今回はそんなCH-1の魅力と、イマイチな点、そして今後への期待までを正直に紹介していく。
「薄い=使いやすい」という逆転の発想
CH-1の最大の特徴は、「薄口」。
CE-2WやCE-5のような濃厚さは一切ない。
・音の揺れは控えめ
・広がりはあるけど誇張されない
・エフェクト臭さが極限まで抑えられている
この“あっさり感”が絶妙。
特に歪みとの相性が良く、クランチ〜軽いオーバードライブの上に重ねると、
「なんか気持ちいいな、これ」
と感じる爽やかさが加わる。
普通、コーラスは歪みにかけるとモワついたり、変に音が潰れたりすることがある。
でもCH-1はその手の“えぐみ”が出にくい。
そのため、あえてアンプの前段に置いて使いたくなる数少ないコーラスだ。
センドリターンじゃなく、ギター本体のキャラクターや歪みの質感と一緒に揺れる感じ。
ここが好きだという人は実は多い。
コーラスが苦手な人こそ試してみる価値あり
コーラスを一度試してみたものの、
「派手すぎる…」
「なんか酔う」
「1曲の中でしか使いどころがない」
そんな理由で外してしまった人は少なくないと思う。
そういう人にこそCH-1はおすすめしたい。
CH-1は、とにかく主張しない。
そのかわり「ずっとオンにしていても邪魔しない」。
だから──
クランチのカッティング
ミドルゲインでのリード
クリーンのコードストローク
どのシチュエーションでも“ちょっとだけ良くなる”感じがある。
「リバーブみたいに常時オンにしておけるモジュレーション」
これって意外と貴重だったりする。
もちろん弱点もある。「物足りない」と感じることも
とはいえ、CH-1が万能というわけではない。
このペダルには明確な弱点がある。
1. “コーラスらしさ”を求めるとガッカリする
たとえば、CE-2WやMXR M234のような深く揺れるアナログ感や広がりのある音像を求める人には、CH-1は物足りない。
かかりが薄いぶん、単体で「コーラスを主役にする」ような使い方には不向きだ。
正直に言えば、コーラスの魅力を“わかりやすく”伝えてくれるペダルではない。
だからこそ「最初の1台」に選ぶと、コーラス全体を誤解してしまう可能性すらある。

2. 単体で弾いてもテンションが上がらない
試奏の段階では「んー…こんなもん?」と感じる人も多い。
空間系ペダルにありがちな“音の魔法感”がない。
これはCH-1が「実戦でこそ真価を発揮するタイプのペダル」だからだ。
宅録やバンドアンサンブルの中に混ざると「おっ」となるが、単体では良さがつかみにくい。
つまり、音のインパクト重視の人には不向き。
でも、じわじわ好きになるタイプ。スルメみたいなやつだ。
それでも“競合がいない”不思議な立ち位置
CH-1のように、「薄く」「爽やかで」「歪みにも馴染む」コーラスって実はほとんどない。
多くのペダルが「アナログ感」や「個性の強さ」に寄っていく中で、CH-1はその真逆を貫いている。
言い換えれば、「コーラスに疲れた人が戻ってくる場所」みたいな存在。
これは他のモデルではなかなか代替できないポジションだ。
だからこそ、発売から30年以上経っても現行機種として生き残っているのだと思う。
正直、そろそろ後継機が欲しい。
とはいえ、CH-1が完璧なペダルか?と言われると、そうでもない。
今の時代に合わせた仕様が追加されても良いと思っている。
たとえば──
音質をよりナチュラルに(BOSSの技術が向上しているため)
モード切り替えやキャラクターコントロールの搭載
サブアウト出力の搭載(ドライ音だけ別口でアウトできる出力)
こうした細かい部分が改善されれば、「次世代のスーパーコーラス」として大化けする可能性は十分にある。
BOSSのアナログ系復刻やワズクラフト路線を見ていると、
“CH-1W”の登場を期待している人も多いのではないだろうか?
CH-1は「控えめがちょうどいい」人のためのペダル
CH-1は、派手さも個性も薄い。
でも、そのおかげで“ずっと使い続けられる”という不思議な魅力を持っている。
リードでさりげなく輝きを足したい
歪みと併用しても不快感が出ない
コーラスを「引き算」で使いたい

そんなニーズにピッタリハマる数少ない1台だ。
コーラスに対して「ちょっとしんどい」と感じていた人ほど、CH-1の良さはじわじわ沁みてくる。
そして30年以上愛されている理由も、きっと使ってみれば納得できるはずだ。
次は、現代仕様にアップデートされた“CH-1後継機”にも期待しながら──
今この「薄口の名機」を、改めて味わってみてほしい。
