エフェクターレビュー

BOSS GE-7レビュー|初心者必見!定番イコライザーの使い方と活用術

ギターを趣味で弾いていると、音作りに悩むことは多い。
「もう少し音が前に出てほしい」とか「コード弾きがこもって聞こえる」とか。
でもアンプのツマミだけじゃ限界を感じてしまう。

結論から言えば、そんな時に活躍するのがイコライザー(EQ)エフェクター。
中でもBOSSの「GE-7」は、その代表格とも言える存在だ。

この記事では、GE-7の特徴を紹介しながら、イコライザーをどう使えばギターの音が変わるのかを、実例も交えて解説する。

BOSS GE-7とは?手元で完結するグラフィックEQ

GE-7は、BOSSが誇るグラフィックイコライザー・ペダル。
100Hzから6.4kHzまで、7つの帯域に加え、音量(LEVEL)を調整できるスライダーを搭載している。

ポイントは「視覚的に音をいじれる」という操作性の良さ。
ツマミで調整するパライコ(パラメトリックEQ)に比べて、どこを上げてどこを下げるかが一目でわかる。

見た目がそのまま音に反映される感じが、初心者にも扱いやすい。

イコライザーの種類|グライコとパライコ

「イコライザー(EQ)」と聞くと、つまみやスライダーで音を変える“音質調整ツール”というイメージを持っている人が多いと思う。
でも実際には、その操作方式や調整の自由度によって大きく2つに分けられる。

それが「グライコ(グラフィックイコライザー)」と「パライコ(パラメトリックイコライザー)」だ。

■ グライコ(グラフィックイコライザー)

BOSS GE-7のように、特定の周波数ごとにスライダーが固定配置されているのがグライコ。
たとえば「100Hz」「200Hz」「400Hz」「800Hz」…といったように、帯域があらかじめ分かれており、それぞれに上げ下げできるスライダーが用意されている。

特徴:

  • どの帯域をいじっているのかが見た目で分かる

  • 直感的に操作できる

  • 複数の帯域を一括で調整できる

  • 視覚的にセッティングを記憶・再現しやすい

グラフィックという名前の通り、音の「輪郭」を“視覚化”していじるような感覚。
初心者でも扱いやすく、調整してる実感が得やすいのが最大の魅力。

■ パライコ(パラメトリックイコライザー)

一方のパライコは、自分で“どの帯域を調整するか”を選べるのが最大の特徴。
スライダーではなくツマミで操作することが多く、「周波数」「ブースト/カット量」「Q(調整幅の広さ)」の3つを設定して調整する。

典型的なツマミ構成:

  • FREQ(フリケンシー):調整したい帯域(周波数)を決める

  • GAIN:その帯域をどれだけ上げ下げするか(±dB)

  • Q:影響を与える周波数の範囲を決める(狭く=ピンポイント、広く=ざっくり)

特徴:

  • 自分で狙った帯域を正確にいじれる

  • “問題の周波数”をピンポイントで処理しやすい

  • 音作りに慣れている人向き

  • 設定が複雑で慣れが必要

たとえば、「もうちょっと“鼻が詰まったような音”を取りたい」と思った時、
その原因が「700Hz周辺の中域のこもり」だと分かれば、FREQを700Hzに設定し、そこだけQを狭めてカットできる。

こういう“耳で探って微調整する”のに長けているのがパライコだ。

■ 結局どっちがいいの?グライコ vs パライコ

初心者や視覚的に理解したい人にはグライコ、
より高度な音作りやピンポイントの補正にはパライコが向いている。

特徴グライコパライコ
調整方式決まった帯域を上下するスライダー任意の帯域・Q幅をツマミで設定
操作感直感的・視覚的で分かりやすい緻密・細かく調整できる
初心者向き△(慣れが必要)
音作りの深さ△(ざっくり傾向)◎(ミックス用途にも◎)
主な使用例ギター、ベース、ライブ機材などDAWでのミックス、スタジオ用途など

■ GE-7はグライコだから扱いやすい

GE-7はまさに「ギタリスト向けに作られたグライコ」の代表格。
ギターに最適な帯域が7本に分けられていて、見た目通りに動かすだけで音が変わる。

パライコを使いこなす自信がない人も、GE-7なら「感覚でEQをいじる楽しさ」が味わえる。
音作りのスタート地点として、グライコで耳を育ててから、
「もっと細かくいじってみたいな」と思った時にパライコへ進む──というステップもおすすめ。

イコライザーの使い方|接続位置で変わる効果

イコライザーの魅力は、「どのタイミングの音を補正したいか」で使い方が変わるところ。

● ギター直後(最初)

ピックアップやギター本体のキャラクターをEQで整えることができる。

例:シングルPUのシャリつきを抑えたい時に高域をカット

● 歪みエフェクターの後

歪ませた後の音の質感をEQで微調整。

例:ファズの“もこもこ感”をカットして、抜けやすい音にする

● アンプのセンドリターン

アンプで作った音をそのまま補正可能。バンド全体の中でのバランス調整に◎

例:中域を削って歌の後ろに引っ込める、などの“空気を読む音作り”が可能

ブースターとしての活用法

GE-7のLEVELスライダーは、実は“音量ブースト”にも使える。

● 歪みペダルの前

LEVELを上げることで、歪みエフェクターに突っ込む信号が強くなり、ゲインブースターに変身。

● センドリターンに接続

LEVELを上げてソロ時に音量アップ。しかも帯域を調整して“前に出る音”に変えることができる。

例:中域を少し持ち上げて“ミッドブースター”、高域を上げれば“トレブルブースター”的な使い方もOK。

飛び道具的な使い方もできる

GE-7は細かい補正だけでなく、極端な設定にすることで“別の楽器みたいな音”を出すことも可能。

  • 高域だけ極端に残して「壊れたラジオ風」

  • 中域を削って「か細い音」に

  • 中低域を強調して「ザクザクした音作り」

一歩間違えば使いにくいけど、ハマるとめちゃくちゃ面白い。

帯域調整のコツ|EQは足し算より“引き算”で

ギターの音作りで特に重要なのが「中音域(ミッド)」。
GE-7だと真ん中あたりのスライダーで調整できる。

● 中域

  • 上げる → 音が前に出て、存在感アップ

  • 下げる → 引っ込んだ位置に、歌を邪魔しないバッキングに◎

● 高域

  • 上げる → アタックが強くなり“くっきりした音”に

  • 下げる → 丸く落ち着いたサウンドに

● 低域

  • 上げる → ファットで重心の低い音

  • 下げる → スッキリ、軽快な印象

特にバンドやアンサンブルで演奏する時は、“目立たせたい帯域”より“被っている帯域を削る”ことが重要。
引き算で“音抜けが良くなる”という逆説的な現象が起こる。

イコライザーを使いこなせば、“自分だけの音”が手に入る

GE-7は「音を整える道具」でありながら、
「音を主張するブースター」や「サウンドをぶっ壊す飛び道具」にもなる。

要は、EQという一見地味な存在に、ギタリストとしての個性や工夫を詰め込めるということだ。

「音がもう一歩ハマらない」と感じているなら、GE-7を試してみてほしい。
音作りの“最後のピース”が見つかるかもしれない。

Q&Aで記事の振り返り

Q1:BOSS GE-7って、初心者にも扱える?

A:扱える。というかむしろ「最初のEQペダル」として最適。
スライダーが7本並んでいて一見難しそうに見えるが、操作は直感的で分かりやすい。
各スライダーがそれぞれの帯域を担当していて、上げればその帯域が強くなり、下げれば削られる。
たとえば、なんとなく「シャリシャリしてる」と感じたら高域を少し下げてみる。
こうした試行錯誤がしやすいのがGE-7の魅力。

Q2:グライコとパライコ、どっちがいいの?

A:目的によって使い分けるのが理想。
GE-7のようなグライコは“感覚的に音作りをしたい人”に向いている。
視覚的に変化が分かるため、音作り初心者におすすめ。
一方、パライコは“細かい帯域をピンポイントで調整したい人”におすすめ。
ただし使いこなすには少し慣れが必要なので、最初の一台としてはグライコの方が安心。

Q3:GE-7をどこに繋ぐのが一番効果的?

A:どこに繋ぐかで“何を調整するか”が変わる。

  • ギターの直後:ギター本体のキャラクターを整える。

  • 歪みペダルの後:歪ませた音の質感を補正。

  • アンプのセンドリターン:アンプ全体のサウンドに最終調整をかける。

自分が「どのタイミングの音をいじりたいのか」で選ぶと良い。
バンドで使うなら、センドリターンに入れて全体のバランス調整をする人も多い。

Q4:GE-7をブースターとして使うってどういうこと?

A:GE-7にはLEVELスライダーがあり、これで音量を上げることができる。
この機能を使って、歪みの前でゲインを押し上げたり、ソロ時に音量をブーストしたりできる。
しかも、ただ音量を上げるだけでなく、特定の帯域を強調した“狙ったブースト”が可能。
中域を上げれば「ミッドブースター」、高域を上げれば「トレブルブースター」にもなる。
つまり、GE-7ひとつで“音量ブースト”+“音質ブースト”の両方をコントロールできるのだ。

Q5:EQの設定で迷った時、どうすればいい?

A:迷ったら“引き算”から始めるのが鉄則。
つい「あれもこれも上げたくなる」ものだが、それをやるとバンド内で他の楽器と帯域が被って“抜けない音”になる。
むしろ、いらない帯域を少しずつカットしていくことで、音が整理されて“抜け”が良くなることも多い。
特に中域は音の距離感を左右するので、目的に応じて上げたり削ったりするのがコツ。

Q6:飛び道具としての使い方って本当に実用的?

A:狙いどころによっては大いにアリ。
ラジオボイス風のサウンドや、ローファイ系のか細い音、バンドのブレイクに合わせて“変な音”を出すなど、意外と場面はある。
バンドを組んでいなくても宅録やSNS用の短尺動画などで“音色のアクセント”として活躍する。
GE-7は基本は補正ツールだけど、“遊び道具”にも化けるのが面白いところ。

Q7:GE-7ってライブでも使える?ノイズとか大丈夫?

A:ライブでも十分に使える。
ただし、電源周り(アダプターの質やノイズフィルタ)が雑だとハムノイズが出ることがある。
気になる場合はノイズ対策された電源(アイソレートされたパワーサプライ)を使うのがおすすめ。
また、接続順や他のエフェクターとの相性によってもノイズは変わるので、事前のチェックは必須。

ABOUT ME
吉田寛定
新潟市在住のギターインストラクター。 趣味ギタリストに向けた“ちょうどいい温度感”の発信を心がけています。 新潟市江南区のギター教室|7丁目ギター教室にて無料体験レッスン受付中。亀田・横越エリアの方はぜひどうぞ。