音楽の話

センスと個性は才能じゃない|後天的に育てるための実践的な考え方と事例解説

Treadsに投稿した下記の内容をもとにした記事です。

 

投稿者: @hirosada_yoshida
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「センスがある人」と聞いて、どんな人物を思い浮かべるだろうか。

ファッションに敏感な人、音楽センスが抜群な人、ユニークな発想をする人──
世の中には、何かしら“センスの良さ”で評価されている人が存在する。

では、その「センス」とは一体何なのか。
そして「個性」とは、どうすれば身につくのか。

結論から言えば、センスも個性も“生まれつきの才能”ではなく、後天的に身につけられる力である。
本記事では、その理由とプロセスについて、具体例を交えながら解説していく。

センス=リテラシーの集合体という考え方

センスを語るうえで、まず押さえておきたいのが「リテラシー」の存在だ。
多くの“センスがある人”に共通しているのは、このリテラシーの高さである。

リテラシーとは、物事を理解し、適切に解釈する力。
美術、音楽、言語、歴史、テクノロジーなど、さまざまな分野に対して幅広い理解を持っていることが、彼らのセンスの下支えとなっている。

つまり、センスの良さは「感覚が鋭い」からではなく、「知っている」「経験している」から生まれているという側面が強い。

たとえば音楽にセンスを感じる人は、ジャンルを問わず多くの音楽を聴き、演奏し、分析してきた背景がある。
服のセンスがいい人は、トレンドの変遷を見てきた経験値や文化的な背景に理解がある。
そうした“知識と経験の蓄積”が、直感に見える判断を支えている。

リテラシーは育てられる

ここで重要なのが、リテラシーは後天的に育てられるという点だ。

幅広いジャンルに興味を持ち、深く関わることで、誰でも知識の幅を広げることができる。
その積み重ねが、結果的にセンスのある判断や発想力に繋がる。

たとえば、

  • 自分の趣味に没頭する

  • 関連する背景(歴史・文化)を調べる

  • 他ジャンルと比較してみる

といった行動が、すべてセンスの向上につながる行動となる。

これは、スポーツでも音楽でも創作でも変わらない。
「興味のあるものを深掘りする姿勢」こそが、センスを育てる土台になる。

個性とは「誰とも違う」ではなく「その人らしさ」

個性についても、誤解されがちな点がある。

よく「個性的」と言うと、奇抜で斬新なことをする人を指すようなイメージがあるが、本質はそこではない。
真の個性とは、「誰にも真似できない、その人らしさ」にある。

つまり、

  • 常識を外す

  • 奇をてらう

  • 突飛な行動をする

ということではなく、

  • どんな経験をしてきたか

  • どんな価値観で選択をしてきたか

という“積み上げの結果”が個性となる。

センスと同じく、個性も「広く、深く、興味を持つこと」で自然に形作られていく。

他人軸では育たない

センスや個性を得ようとして、他人の評価を気にするのは逆効果だ。
「こうすればウケる」「こう思われたい」という打算では、本質的な個性は育たない。

大切なのは、「自分が本当に面白いと思うこと」に没頭すること。
その行動が自然と他人から見て魅力的に映り、“個性”や“センス”として認識される。

センスや個性を育てた実例

世界的な成功を収めている人々の多くが、実はリテラシーの高さと没頭力を兼ね備えている。

ビートルズ

ジャンルを問わず世界中の音楽を研究。音楽の基礎を徹底して押さえた上で、新たなポップスの潮流を築いた。

リオネル・メッシ

単なる才能ではなく、技術を支える地道な練習とプレースタイルの多様性により「世界一のサッカー選手」に成長。

宮崎駿

自然、歴史、民俗、文学などに対する深い造詣が、唯一無二の世界観を生み出している。

村上春樹

音楽、文学、映画、外国文化などの要素を独自に解釈し、小説という形で表現。

鳥山明

アメリカンコミックやミリタリー、模型など、多様な趣味を漫画に昇華。

坂本龍一

クラシック、電子音楽、民族音楽までを横断し、現代音楽と融合させたサウンドを構築。

これらの人物に共通しているのは、「多様なリテラシー」「深い興味」「圧倒的な没頭力」である。

センス・個性=没頭した“証”にすぎない

結局、センスや個性とは“他人にどう見られたいか”という戦略ではなく、
「自分が心から夢中になったことの積み重ね」から自然と現れるものだ。

センスがあると言われたいのなら、人目を気にせず、もっと興味に忠実になっていい。

センスも個性も「選ばれし者」だけの特権ではない

  • センスとは、幅広いリテラシーに基づいた判断力である

  • 個性とは、経験と興味の積み重ねで生まれる「その人らしさ」

  • 生まれつきの才能ではなく、後天的に育てることができる

  • 自分の好奇心に没頭することが、最大の育成手段である

  • 他人の目を気にせず、自分が面白いと思うことを大切にする

「センスがない」「個性がない」と感じているなら、焦る必要はない。
興味を深めていく行動の中に、その芽は確実にある。

ABOUT ME
吉田寛定
新潟市在住のギターインストラクター。 趣味ギタリストに向けた“ちょうどいい温度感”の発信を心がけています。 新潟市江南区のギター教室|7丁目ギター教室にて無料体験レッスン受付中。亀田・横越エリアの方はぜひどうぞ。