ギターを「特別な存在」として愛しすぎると、ある日突然、関係が壊れます。

どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の講師、吉田です。

さて、今日は少ししんみりした、けれど、長くギターを続けるためには避けて通れない話をしようと思います。

先日、友人から共通の知り合いの近況を聞きました。

「〇〇さん、結婚してギター全部売っちゃったらしいよ。今は子育てに専念してるんだって。」

あるあるなトピックではありますが今回は正直、結構なショックでした。
その人は、かつて誰よりもストイックにバンド活動に打ち込み、真面目に練習を積み重ねる「ギター愛にあふれた人」だったからです。

あんなに熱心だった人が、なぜ一本も手元に残さず、ゼロにしてしまったのか。

そこから見えてきたのは、ギターを「特別なもの」だと思いすぎることの危うさでした。

結論から言うと、ギターを長く続けられる人は、楽器に対していい意味で「ドライ」です。

情熱の炎を燃やすのではなく、歯磨きや入浴と同じ「生活習慣」にまで落とし込む、言わば格下げ出来た人だけが、ライフステージの変化という荒波を乗り越えていけるのです。

アド・リブ代
アド・リブ代
ええっ、全部売っちゃったの!? 寂しすぎるわ……。想いが強すぎたからこそ、中途半端に触るのが自分の中で許せなくなっちゃったのかしら。😌

モダン・テク子
モダン・テク子
非効率な完璧主義の末路だな。上達や活動をアイデンティティにしすぎると、練習時間が取れない自分を「失格」だと判定してしまうんだ。🤔

ゲイン・アゲ美
ゲイン・アゲ美
実際どんな心境の変化があったかなんて分からないけどねー。子育て期って色々制限されるしギター以外にも魅力的なコンテンツってたくさんあるから離れちゃう人の気持ちも分からんでもないけどなー。

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なぜ「真面目な人」ほどギターを捨ててしまうのか

かつての知り合いがギターを辞めた理由を推測すると、彼にとってギターは「特別な自分を証明するための舞台」だったのかもしれません。

ストイックに練習し、誰よりも詳しい機材知識を持ち、ステージで評価される。

それは素晴らしいことですが、ライフステージが変わり、「練習時間が取れない」「ライブができない」「誰も評価してくれない」という環境になった瞬間、その「特別さ」が重荷に変わります。

「100か0か」の完璧主義という呪い

真面目な人ほど、「やるなら全力でやらなければならない」と考えがちです。

1日2時間練習できないなら、やっている意味がない。

最新の機材で最高の音が出せないなら、弾く価値がない。

そうやって自分に高いハードルを課し続けた結果、育児や仕事で忙しくなった時、自分を許せなくなってしまうのです。

「今の自分は、理想のギタリスト像から程遠い。だったら、いっそ全部やめてしまおう。」

これはある種の「純愛」かもしれませんが、楽器との付き合い方としては非常に脆い。特別なものとして神格化しすぎるからこそ、関係が崩れた時の反動が大きくなるのです。

18年続けてわかった「ドライな関係」の強さ

一方で、何十年もギターを弾き続けている人の多くは、意外なほどギターに対して「淡白」だったりします。もちろんギターは大好きですが、そこに過度な期待や「自己の証明」を投影しすぎていないのです。

ギターを「歯磨き」と同じレベルに落とす

私がギターを始めて18年。今ではギターがない生活なんて思い出せませんが、かといって毎日「よっしゃ!今日も魂を削って弾くぞ!」と気合を入れているわけでもありません。

お腹が空いたらご飯を食べる。

寝る前に歯を磨く。

その延長線上に「なんとなくギターを手に取る」という動作があるだけです。

3日くらい弾かない日があっても、「ああ、最近忙しかったな」と思うだけで、自己嫌悪にはなりません。また気が向いた時にポロポロと鳴らす。この「あってもなくてもいいけど、気づいたらそばにある」というドライな距離感こそが、挫折を防ぐ最強のディフェンスになります。

「上達」を目的の100%にしない

上達を目指すことは大切ですが、それが唯一の目的になると、成長を実感できない「停滞期」に耐えられなくなります。

ギター上達のシステムは、RPGのレベル上げに似ています。レベルが上がるほど、次のレベルに必要な経験値は膨大になり、地味な「スライム狩り」のような練習が続きます。

ギターを特別なものだと思っている人は、このスライム狩りに「意味」を求めてしまいます。

対して、生活の一部になっている人は、スライムを狩ること自体の手応えや、弦が振動する感触そのものを楽しんでいます。

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挫折しないための「生活への溶け込ませ方」

もしあなたが今、「練習が辛い」「ギターを辞めてしまいそう」と感じているなら、一度ギターを「特別な存在」から「ただの生活備品」に格下げしてみてください。

1日3分の「超低空飛行」ノルマ

「1時間練習する」と決めると、忙しい日に挫折します。けれど「1日3分、ケースから出して触るだけ」なら、どんなに忙しくても出来そうですよね。

大切なのは、「ギターとの接点をゼロにしないこと」。

習慣さえ途切れなければ、技術は勝手に維持され、ふとした瞬間にまた加速期がやってきます。

出口(評価)を求めない贅沢

「誰かに聴かせなきゃ」「上手くならなきゃ」という外部からの評価を一度遮断してみましょう。

誰にも見せない日記を書くように、自分だけのために音を鳴らす。

その「自分だけの贅沢な時間」としてギターを捉え直すことができれば、ライフステージがどう変わろうと、ギターはあなたの味方であり続けてくれます。

よくある質問(Q&A)

Q:ギターを辞めていく仲間が多くて不安になります。

A:そう思うこと自体、ギターを大切に思っている証拠です。不安になったら、あえて「一生弾かなくてもいいや」くらいの気持ちでギターをスタンドに立てかけておいてください。辞める人は「辞める」と決断して楽器を売ってしまいますが、続けている人は「辞めるかどうかも考えない」まま放置し、また気が向いた時に手に取っています。

Q:結婚や出産で物理的に時間がありません。どうすれば?

A:今は理想を目指さなくていい時期です。例えば月に一回1時間程度スタジオを借りて特に何も考えずにギターを鳴らす時間を作るとか、仕事や家事、育児を頑張ったご褒美的な感じで取り組んでも良いと思います。
それすらもままならないほど忙しい時期もあると思いますが、その瞬間だけが人生ではありません。
いつでも自分の都合で弾いたり弾かなかったりして良いんです。

まとめ

ギターを特別なものだと思っている人ほど、理想と現実のギャップに苦しみ、挫折してしまう。

その一方で、長く続けている人はギターを「生活の一部」として、ドライに、かつ習慣的に受け入れている。

  • 完璧主義を捨てる: 100点か0点かの思考は、ライフステージの変化に弱い。

  • 習慣化に頼る: 情熱ではなく、歯磨きと同じレベルのルーティーンに落とし込む。

  • 距離感を楽しむ: 弾かない日があっても自分を責めない。

ギターは人生を豊かにしてくれる最高のパートナーですが、それに人生のすべてを背負わせる必要はありません。

「今日もなんとなく触っちゃったな」

それくらいの軽やかさで、あなたの音楽ライフが長く、穏やかに続いていくことを願っています。

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ABOUT ME
吉田寛定
新潟市在住のギターインストラクター。 趣味ギタリストに向けた“ちょうどいい温度感”の発信を心がけています。 新潟市江南区のギター教室|7丁目ギター教室にて無料体験レッスン受付中。亀田・横越エリアの方はぜひどうぞ。
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