指が動かないのは年齢のせいじゃない。「フィジカル」のメンテナンス不足だ。
どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。
「昔はもっとスムーズに弾けたはずなのに…」 久しぶりにギターを抱えて、そんなふうに愕然としたことはありませんか? 若い頃は無意識にできていた速弾きがもたる。長時間弾くと腰が痛くなる。ライブの翌日は身体がバキバキで動けない。 「やっぱり歳には勝てないか…」と、ギターをケースにしまおうとしているそこのあなた。ちょっと待ってください。
結論から言います。 ギターの演奏力が落ちた原因は「老化」ではなく、単純な「筋力不足」の可能性が高いです。 ギターは指先だけで弾くものではなく、全身運動です。 土台となる身体を少し鍛え直すだけで、演奏のキレも、スタミナも、驚くほど戻ってきます。これは「マッチョになれ」という話ではありません。ギターを一生の趣味として楽しむために、身体という“楽器本体”をメンテナンスしよう、という提案です。
なぜギタリストに筋トレが必要なのか?

「ギターは指先で弾く芸術」だと思っていませんか? もちろん繊細なタッチは重要ですが、その指先を支えているのは、腕、肩、背中、そして下半身です。
特に年齢を重ねてからの演奏において、筋トレがもたらすメリットは計り知れません。
演奏の土台は「下半身と体幹」にある
長時間のライブやリハーサルで、「後半になるとリズムがヨレる」「ピッキングが雑になる」という経験はないでしょうか。
これは指が疲れているのではなく、体を支える「体幹」がブレていることが原因かもしれません。
重いレスポールを抱えて1時間立ち続けるには、相当なインナーマッスルが必要です。
体幹が弱いと、猫背になったり、重心がフラフラしたりして、結果的に手首や指先に余計な力が入ってしまいます。
下半身と体幹を鍛えることで、演奏フォームが安定し、無駄な力が抜けて、最後までブレないプレイが可能になります。
握力と前腕の強化が「表現力」に直結する
チョーキングで音程が上がりきらない、ビブラートが安定しない。
これも筋力低下のサインです。
特にチョーキングは、弦の張力に負けない指先の力と、それを支える手首・前腕の強さが必要です。
握力や前腕を鍛えることで、フィンガリングに余裕が生まれ、繊細なニュアンスや力強いビブラートをコントロールできるようになります。
「指が動かない」のではなく、「指を動かすためのエンジン(筋肉)が出力不足」なのかもしれません。
ギターが上手くなる「地味トレ」3選
ジムに通ってバーベルを上げるのも良いですが、まずは自宅でできる「地味だけど効く」トレーニングから始めてみましょう。
これだけでも、ギターの弾き心地は変わります。
1. スクワット:演奏の土台を作る

ギターは手で弾く楽器ですが、支えているのは「脚」です。
スクワットは下半身全体と体幹を効率よく鍛えられる王道メニュー。
ライブでジャンプしたり、動き回ったりしても演奏がブレなくなります。
エフェクターを踏み変えるときの片足立ちの安定感も増しますよ。
ポイント: 膝がつま先より前に出ないように、お尻を後ろに突き出すイメージで。まずは1日10回からでもOKです。
2. プランク:長時間弾いても疲れない姿勢へ

うつ伏せの状態から肘とつま先で体を支え、板(プランク)のように真っ直ぐキープするトレーニングです。
これは体幹(腹筋・背筋)を鍛えるのに最適で、立って弾くときも座って弾くときも、姿勢保持が楽になります。
猫背が改善されると、呼吸も深くなり、リラックスして演奏できるようになります。
ポイント: 最初は30秒キープを目指しましょう。腰が反らないように注意。
3. ハンドグリップ・ダンベルカール:指と手首の安定感

直接的に演奏に関わる前腕と指の筋肉です。
ハンドグリップ(握力トレーニング)は、チョーキングやバレーコードの安定感を高めます。
また、ダンベルを持った手首のカール運動(リストカール)や、ハンマーグリップでのダンベルカールは、ピッキングの安定性やフィンガリングの持久力アップに繋がります。
ポイント: 手首や指は繊細なので、無理な高重量は避けてください。軽めの負荷で回数をこなすのがコツです。
筋トレがもたらす「演奏以外」の嬉しいメリット

筋トレの効果は、ステージの上だけではありません。
音楽活動全体、ひいては日常生活の質(QOL)まで向上させてくれます。
機材の運搬が「苦行」じゃなくなる
ギタリストの宿命、それは「重い機材運び」です。
ギター本体、エフェクターボード、場合によってはアンプヘッド。
これらを運ぶだけで、リハ前に体力を使い果たしていませんか?
デッドリフトなどの全身運動を取り入れると、重い荷物を持ち上げるのが驚くほど楽になります。
移動の疲労が減れば、スタジオに入った瞬間からトップギアで練習に入れます。
メンタルが安定し、飲み会での「暴走」も防げる
筋トレをすると、「せっかく鍛えたんだから」という意識が芽生え、食事や生活習慣にも気を配るようになります。
バンドマンあるあるの「打ち上げでの暴飲暴食」や「深夜のラーメン」に対しても、自制心が働くようになります。
また、運動によるストレス発散効果でメンタルが安定し、ライブ本番でも堂々と振る舞えるようになるという自己肯定感アップの効果も期待できます。
よくある質問(Q&A)
Q1. 筋トレで指が太くなって弾きにくくなりませんか?
A. ボディービルダー並みに追い込まない限り、指が太くなりすぎて弾けなくなることはまずありません。むしろ、指の独立性が高まり、細かいフレーズも弾きやすくなるメリットの方が大きいです。
Q2. 筋肉痛のときに練習しても大丈夫?
A. 指や手首に痛みがあるときは、無理せず休みましょう。ただ、脚や背中の筋肉痛であれば、座って練習するなど工夫すれば問題ありません。休息もトレーニングのうちです。
Q3. 40代、50代から始めても効果はありますか?
A. もちろんです! 筋肉は何歳からでも成長します。むしろ、体力が落ちてくる年代こそ、筋トレによる「回復」の実感値が高いはずです。まずは無理のない範囲から始めてみてください。
まとめ
「指が動かない」と嘆く前に、まずはスクワットを10回やってみましょう。
ギターは全身運動。 下半身と体幹が安定すれば、指先も自由になる。
筋トレは「地味トレ」でOK。 スクワット、プランク、ハンドグリップから始めよう。
機材運搬も楽になり、メンタルも整う。 長く音楽を続けるための「健康投資」になる。
プロのミュージシャンがジムに通うのは、モテたいからだけではありません(それもあるかもしれませんが)。
最高のパフォーマンスを長く維持するために、身体という楽器をチューニングしているのです。
今日から「筋トレ」という新しい練習メニューを加えて、10年後もカッコよくギターを弾き続けられる身体を作りましょう!
おまけ














