ギターを練習していると、
「この曲を弾けるようになりたい!」と一つの曲に全力で取り組むことがある。
その姿勢はとても大切だ。
だが気づけば、一ヶ月、二ヶ月、三ヶ月……半年。
同じ曲ばかりに向き合って、まだ最後まで弾けていない。
そして残念ながら、その状況に心が折れてギターをやめてしまう人も少なくない。
むしろ筆者は、「この一曲が弾けないせいで挫折」というケースが全国で頻発しているのではないかと思っている。
結論から言えば、行き詰まったら別の曲に手を出した方が、結果的に上達は早い。
この記事では、その理由と練習の工夫について掘り下げていこう。
一曲に固執することの落とし穴
真面目な人ほど、こんな考えを持ちやすい。
「まずはこの曲を完璧に仕上げなきゃ」
「この曲すらできてないのに、他の曲に手を出すなんてダメだ」
一見するとストイックで素晴らしい考えに思える。
しかし実際には、これが上達の足かせになることも多い。
理由は大きく2つある。
上達の幅が狭くなる
同じフレーズやコード進行ばかりを繰り返しても、触れられる技術は限られる。
たとえばバラードのアルペジオを何ヶ月も続ければ、確かにアルペジオは慣れるかもしれない。
だがストロークやコードチェンジ、リズムのキープといった別の要素は伸びにくい。達成感が得られず挫折しやすい
「まだ最後まで弾けない」「一向に進歩が見えない」という感覚は、練習のモチベーションを急速に奪っていく。
「自分には向いてないのかも」と思い込んでしまい、そこで練習が止まってしまうのだ。
実際に筆者の周りでも、Fコードが出てくる一曲で半年以上つまずき、結局ギターをやめてしまった人を何人も見てきた。
「好きな曲をやりたかったのに弾けなかった」──これほど悲しい挫折はないだろう。
いろんな曲に挑戦するメリット
成功体験を積みやすい
たとえば30曲分のサビだけを練習し、すべて弾けるようになったとしよう。
これは立派な“成功体験の積み重ね”だ。
「お、これ弾けた!」という小さな達成感がモチベーションを維持し、
ギターにポジティブな気持ちで向き合えるようになる。
逆に一曲だけに固執すると「成功体験ゼロ」のまま時間だけが過ぎてしまう。
これが挫折を招く大きな原因のひとつだ。
挫折を回避できる
一曲に執着して弾けずに終われば「自分はダメだ」と思い込んでしまう。
だが、複数の曲を並行して練習すれば、どこかで必ず弾ける部分が出てくる。
「できること」と「できないこと」が混ざることで、練習自体が続きやすくなるのだ。
心理的に言えば、「自分は少しずつでも前進している」と感じられることが何より大事。
この感覚が、ギターを続ける最大の原動力になる。
幅広いフレーズやコードに触れられる
曲ごとにコード進行やリズムは違う。
つまり、1曲にこだわるよりも、複数の曲を練習した方が圧倒的に多くの引き出しを得られる。
たとえば:
バラードでアルペジオを学ぶ
ポップスでコードストロークを学ぶ
ロックでパワーコードやリフを学ぶ
こうした“多方面からの刺激”が総合力を底上げしてくれる。
自然と「どんな曲にも対応できる基礎力」が身についていくのだ。
成長を実感できる
いったん離れた曲に数ヶ月後に戻ってみると、
「あれ、前より弾ける部分が増えてる」と感じることがある。
これは、別の曲で得た経験が“間接的に”役立っている証拠だ。
この瞬間は本当に嬉しいし、「やっぱり続けてよかった」と思える。
挫折せず続けられる人は、この“戻ってきたら少し弾けた”という経験を何度も積んでいる。
実際の練習法のヒント
行き詰まったら迷わず別の曲へ
「浮気」ではなく「戦略的切り替え」と考える。サビやイントロなど“弾いて楽しい部分”から取り組む
フルコーラスにこだわる必要はない。楽しい部分だけでも十分。30曲をフルで弾けなくても、サビ30曲分のストックがあれば武器になる
他の曲で身につけた技術がさまざまな場面で役に立つ。練習ノートをつける
「今日はこの曲のサビが弾けた」「ここがまだ難しい」と書き残すことで、自分の進歩を客観的に見られる。
挫折を避け、多くの曲に触れる勇気を
ギター上達は「一曲をやり抜く根気」と「多くの曲に触れる柔軟さ」の両立で加速する。
もし今、同じ曲を何ヶ月も練習していて成長を感じられないなら──
思い切って別の曲に挑戦してみよう。
「この一曲が弾けないから自分は向いてない」と思ってしまうのはもったいない。
むしろいろんな曲に触れることで、その一曲もいつか自然に弾けるようになる。
挫折するよりも、楽しみながら幅広い経験を積む方が、結果的に早く、そして確実に上達につながるのだ。