エレアコはそのまま使ってない?
実は“化ける”ポテンシャルがある
宅録、ライブ、弾き語り…
エレアコはギタリストにとって、非常に使い勝手の良い1本だ。
アンプに繋げばしっかり音が出せて、アコースティックな雰囲気も保てる。
初心者が最初に手にするアコギとしても人気が高い。
ただ、そのまま使うだけではちょっともったいない。
エフェクターを取り入れることで、エレアコの音は“化ける”可能性があるからだ。
この記事では、エレアコ用のエフェクターとして実用的かつ効果的なものを4つ紹介しつつ、
それらの接続順や活用ポイントまで詳しく解説していく。
エフェクターはエレキだけのものじゃない
「エフェクターってエレキ用でしょ?」
そう思っている方も多いかもしれない。
たしかに歪み系やモジュレーション系はエレキでの使用が一般的だ。
しかし、エレアコにも相性の良いエフェクターはたくさんある。
むしろ、生音の繊細な表現を補強するという意味では、
エレアコの方がエフェクターの恩恵を大きく受けられることすらある。
特にライブやレコーディングといった「他人に聴かせる場面」では、
音質の安定感、残響、音量調整などが非常に重要になる。
では、実際にどんなエフェクターがあると便利なのか?
次から一つずつ解説していこう。
① コンプレッサー:奏法による音量差を整える
アコースティックギターの演奏スタイルは幅広い。
ストローク、アルペジオ、フィンガーピッキング、さらにはスラップやタッピングまで。
特にエレアコはライブでもマイク不要で使えるため、
こういった多様な奏法を自由に使えるのが強みでもある。
ただし、スタイルの切り替えやピッキングの強弱によって、
どうしても音量のバラつきが出やすいというデメリットがある。
そうなると、せっかくのニュアンスが聴き手に伝わりにくくなる。
ここで活躍するのがコンプレッサーだ。
音量のピークを抑え、小さな音を持ち上げることで、全体の音量バランスを整えてくれる。
これにより、どんな奏法でも安定感のあるサウンドにまとめることが可能になる。
ポイントは“ナチュラルなかかり方”をする機種を選ぶこと。
エレアコで“ダイナコンプ”のような強いアタック感のあるものを使うと、不自然に聞こえることもある。
アコースティック系に合うコンプは、控えめで透明感のある仕上がりになるものを選びたい。
おすすめモデル
BOSS CP-1X
BOSS ( ボス ) / CP-1X Compressor コンプレッサー
驚くほどに自然なコンプレッサー。
これ効いてるのか?「安心してください、効いてますよ!」的な。
要所で使うというよりはもう掛けっぱなしでお守り的に使うようなタイプでまさにエレアコ向きな一台
MDPという技術が使われていて、入力された音を細分化して各帯域に適したエフェクトをかけてくれるコンプ。
アナログエフェクターには真似できないBOSSデジタル技術の結晶で唯一無二のポジションを築いている一台。
UAFX LA-2A
UAFX Teletronix LA-2A Studio Compressor
伝説的なスタジオコンプLA-2Aをギター用エフェクターに詰め込んだもの。
音量のバランスを取りつつも太く立体的なトーンに仕上げてくれる。
これもお守り的にかけっぱなしにしつつトーンもちょっとオマケしてくれる界王拳的な効果もある。
筆者はエレアコもエレキもベースもLA-2A系のコンプをボードの先頭で常時ONにしている。
極めて主観的な感覚だがコンプの中でも弾きやすく音も好みに仕上がるからだ。
時々セールもあってオプティカルコンプにカテゴライズされるコンプの中でも比較的安価に手に入るのも本機の魅力。
② リバーブ:足りない“鳴り感”を補う
エレアコは、ライン出力できるという大きなメリットがある反面、
アコースティックギターの“空気感”や“鳴り”が損なわれやすいという弱点もある。
特にPA環境や小さなアンプで出した音は、生鳴りとは程遠く感じることもある。
その不足分を補うためには、リバーブの存在が欠かせない。
リバーブは音に残響を加えることで、
ホールや部屋で鳴らしているような自然な広がりを再現してくれる。
おすすめは“ホールリバーブ”や“ルームリバーブ”。
スプリング系のようなクセのある残響は、アコースティックとはやや相性が悪い。
また、リバーブは“かけすぎ”注意。
特にストロークが多い曲では、音が飽和して埋もれてしまうこともあるので、
浅めからじっくり調整して、自分の演奏スタイルに合ったセッティングを探ってほしい。
音響さんにかけてもらうことも出来るが、返しのモニターに入れてもらうなど細かい打ち合わせをする必要があったり、弾きやすさを確保する意味合いも強いためやはり自前で用意するのが望ましい。
おすすめモデル
リバーブも各社様々リリースしているが、BOSSを選んでおけばひとまず安心感はある。
このRV-6はエレアコでも使うであろうルーム、ホール、プレートはもちろん抑えていて、尚且つかなりエフェクティブなシマーも搭載しているためお得感がある。
ツマミもモード選択、エフェクトレベル、トーン、リバーブタイムの四種のみで多すぎず少なすぎない良いバランス。
高価すぎるモデルが多いリバーブカテゴリーの中ではコスパの高い方だと思う。
③ プリアンプ:エレアコの音を“アコギらしく”補正
エレアコの音が“生っぽくない”と感じる原因の多くは、ピックアップの特性にある。
特にピエゾタイプのピックアップは、硬質な音になりがちで“アコギっぽさ”が損なわれやすい。
この問題を解決するのがプリアンプだ。
プリアンプは単なる音量増幅装置ではなく、
EQ(音質調整)やキャビネットシミュレーション機能を搭載し、“アコースティックらしさ”を演出できるツールだ。
機種によっては、リバーブやコンプレッサーが内蔵された多機能タイプも存在する。
そういったモデルなら、ボードをコンパクトにまとめたい人にも最適。
一方で、細かい調整や自分好みの音を追求したい人には、
シンプルなプリアンプに加えて別途エフェクターを用意するのも良い選択だ。
なお、エレアコ本体にプリアンプが内蔵されている場合もあるが、
「音がしっくりこない」と感じた時には外部プリアンプの導入も検討しよう。
おすすめモデル
BOSS ( ボス ) / AD-2 Acoustic Preamp
近年のピエゾ対策としてかなり評判が良いのがこのBOSS AD-2
アコギ用プリアンプは高価なものが多い中でこのモデルは15,000円以内で手に入る。
さらにアンビエンスツマミでリバーブも足せるのでわざわざリバーブを買い足す必要もなくなる。
つまり、プリアンプ非搭載のエレアコを使っているのであればこのAD-2を。
プリアンプ搭載のエレアコを使っているのであれば別途リバーブを買えば良いという感じだ。
が、プレイスタイルによってはコンプレッサーを使いたい場合もあるだろう。
後述するが、プリアンプの後にコンプレッサー、その後にリバーブ
というのが理想的な接続順なので
コンプを使いたい場合はリバーブは別途用意したいというのが悩みどころ。
ただピエゾ対策として抜群の効果を得られるので、買って損のないプリアンプだ。
④ ブースター/イコライザー:ソロ用の音量確保に
弾き語りソロならともかく、バンド編成やセッションに参加する場面では、
ギターソロやフィルイン時に“音を前に出したい”というニーズが出てくる。
そんなときに便利なのがブースター。
瞬間的に音量を持ち上げることができ、ソロを引き立てるのに最適だ。
エレアコで使用する際は、必ずクリーンブースターを選ぶこと。
歪みが乗るタイプだと、アコースティックの繊細なニュアンスが台無しになることがある。
また、重要なのがスイッチの仕様。
「トゥルーバイパス」はON/OFF時に“バツッ”というノイズが出る機種もあるため、
バラードなど静かな楽曲では使いにくい。
“バッファードバイパス”仕様のブースターを選ぶと安心だ。
そして、ブースターの代用として活躍するのがイコライザー(EQ)だ。
たとえばBOSSのGE-7などは、帯域の調整をせずに音量だけを上げることもできるし、
逆に不要な帯域をカットして、すっきり抜ける音に整えることも可能。
筆者もライブで愛用しているが、エレアコ用ブースターとしても非常に優秀だ。
おすすめモデル
前述のとおりおすすめはやはりGE-7だ。
音量だけ上げることも出来れば、ブースト時にうるさくなりがちな低域もカットできる。
ミッドだけ上げて音を前に出すような使い方も出来て、スイッチングノイズが出ない。
エレアコ用のブースターとして最適な仕事をこなしてくれる。
勿論スイッチャーを導入すれば機械式スイッチのブースターもスイッチングノイズなしで使えるのだが
基本的にブースターのON/OFFしかしないのであればちょっと勿体ない気がする。
という意味でもGE-7はけっこうベストな選択なのではないかと推させてもらっている。

エフェクターの繋ぐ順番
では、これらのエフェクターをどう繋ぐのが正解なのか。
以下の順番を基本としておすすめする:
1. プリアンプ
音作りの核。エレアコの基本サウンドをここで決める。
2. コンプレッサー
プリアンプで作った音のバラつきを整える。先に繋げばピーク管理も正確になる。
3. ブースターまたはイコライザー
ここで音量を必要に応じて持ち上げる。プリアンプやコンプの前に置くと、音が歪むリスクがあるため要注意。
4. リバーブ
最後に空間系を配置。ここまで整えた音に自然な残響を加える。
この順番を守ることで、自然で扱いやすいエレアコサウンドを実現できる。
まとめ:エレアコこそ“足元”を工夫してみよう
エレアコはそのままでも便利な楽器だが、
エフェクターを取り入れることで、表現力と音作りの自由度が格段に上がる。
とくにライブやレコーディング、宅録など「人に聴かせる場面」では、
少しの工夫で演奏の印象が大きく変わる。
・ナチュラルなコンプでニュアンスを整える
・リバーブで響きを加える
・プリアンプで“鳴り”を補正
・ブースターやEQでソロを引き立てる
これらを理解し、適切に組み合わせることで、
“エレアコ=ただの便利なギター”から“魅せるギター”へと進化させることができる。
おすすめモデルは案の定BOSSだらけになってしまったが、予算や好み、興味に合わせて色んなメーカーの物を試してみて欲しい。
どれ選んだらいいか分からんって人は本記事のおすすめをそのまま真に受けてくれ。
とりあえずなんか欲しいって場合まずは、プリアンプとリバーブだけでも良い。
という意味ではBOSS AD-2から入るのが良さそうだ。
ぜひ一度、自分のエレアコにエフェクターを試してみてほしい。