マルチエフェクターは迷宮。だが恐れる必要はない
マルチエフェクターを手に入れたとき、多くの人がぶつかる壁がある。
「どこからいじればいいかわからない」というやつだ。プリセットが大量に入っていて、結局そのまま弾いて終わってしまう人も多いだろう。
筆者自身、最初はそうだった。だが、ゼロから積み上げる方が最終的に自分に合った音にたどり着けると気づいてからは、音作りが一気に楽しくなった。
ここでは、特定の機種に縛られず、どのマルチエフェクターにも通用する音作りの考え方と流れを紹介していく。
ステップ0:まずは全エフェクトをOFFにする
いきなりプリセットをいじり倒す前に、まずやるべきはすべてのエフェクトをOFFにすること。
何がどう鳴っているのか、耳でわかる状態を作るのが大事だ。音の土台を整えないまま調整すると、最終的に迷子になる。
ステップ1:出力先に合わせてアンプ設定を整える
出力先によって設定を変える必要がある。
ヘッドホン、オーディオインターフェース、ミキサーに直挿し → プリアンプON、キャビシミュON
ギターアンプのリターン接続 → プリアンプON、キャビシミュOFF
アンプモデルの選択は感覚で選んでOKだ。以下は代表例。
TWIN系 → きらびやかで高域強めのクリーン
DELUXE系 → 色気のあるクリーンやクランチ
TWEED系 → ジャリッとしたクランチ、繊細さが出やすい
British COMBO系 → ナチュラルで透明感
British STACK系 → 中域が強く、ロックの定番
RECTO STACK系 → ハイゲイン、メタル向き
大抵のモデリングは実機より歪みが強めなので、ゲインを下げてから調整を始めると扱いやすい。
ステップ2:EQで音の輪郭を作る
EQは以下の感覚で覚えるとわかりやすい。
プレゼンス → 輪郭、シャープさ
トレブル → 高域、アタック感
ミドル → 中域の押し出し感、前に出る音
ベース → 低域、増やしすぎるとボワつきやすい
まず極端な設定を試して効き方を体感し、その後バランスを戻していくと理解が深まる。
ステップ3:ノイズと歪みの調整
ノイズが気になるならアンプの直後にノイズゲートを入れる。強くかけすぎると音の立ち上がりが不自然になるので注意。
ドライブ感のまとまりが欲しいときは、歪み系エフェクターをアンプの前段に入れる。
ポイントは、ゲイン低め・ボリューム高めの設定で押し出し感を作ることだ。
クリーン設定の場合、軽い歪みを加えると艶が出ることもある。暴れ感があればコンプレッサーを使うとよい。
ステップ4:モジュレーションの位置で質感をコントロール
モジュレーション系(フェイザー、フランジャー、コーラスなど)は配置によって効果が変わる。
アンプ前段 → 粘り感のある、ジュワッとした効果
アンプ後段 → 透き通るような揺れ感
フェイザー、フランジャーは前段、コーラスは後段が一般的に相性が良いが、最終的には耳で決めよう。
必要を感じなければ使わない。
ステップ5:空間系は「薄っすらかけっぱなし」が気持ちいい
ディレイやリバーブは強い主張をしない薄味設定がおすすめ。
ディレイ → タイム350ms前後、MIX薄め
リバーブ → タイム3〜4秒、MIX薄め
ディレイとリバーブを同時に使うと音がもたつきやすいので、どちらか片方を基本にしよう。筆者は常時リバーブ+必要なときにディレイを入れる派だ。
補足:アンプのインプットに繋ぐ場合
マルチエフェクターをアンプのインプットに繋ぐときは、アンプ側をクリーンにしておく。歪ませるとモジュレーションやディレイ、リバーブまで一緒に歪んでしまい、エフェクトの効果が台無しになる。
歪みはマルチ内で作るのが基本だ。また、アンプシミュレーターではなく、歪みエフェクターを使ったほうが変な癖のない音が作れる印象だ。
↓ざっくり歪み系
OD系 → ナチュラルドライブ
DS系 → 王道ディストーション
RAT系 → 中域が強いハイゲイン
BIGMUFF系 → 轟音、壁系サウンド
まずゲイン低め・ボリューム高めの設定から音を整えるとやりやすい。
最終的には歪みエフェクターのオン・オフで極端に音量が変化しないあたりを狙って作るとよい。
定番の接続順
エフェクターは順番で効き方が大きく変わる。以下が筆者のおすすめする基本的な並び順だ。
ピッチ系(オクターバー、ピッチシフター、ハーモニスト)
※歪み後に入れるとピッチ検出が不正確になるダイナミクス系(コンプレッサー、リミッター)
※ワウなどのフィルター系は音量を見てこの前後に配置歪み系(オーバードライブ、ディストーション、ファズ)
※フェイザー、フランジャーは歪みの前に置くと効きやすいアンプシミュ→コーラス→ディレイ→リバーブ
もちろん絶対ではない。狙うサウンドによって積極的に順番を変えて試してほしい。
ベーシックから自分の音作りを確立していく
この記事で紹介したのは、マルチエフェクターでまず基軸となる音を作るための方法だ。
曲やプレイスタイルに応じて自由に発展させていけばいい。
意外と必要なエフェクトは少なくても十分いい音が作れる。アンプシミュとリバーブだけでも成立する。
全部一気に試さず、一つずつじっくり触ることが結局一番の近道だ。
Q&Aで振り返る
Q:最初にやることは?
A:全OFF → プリアンプON → アンプモデル選び
Q:EQの基本の捉え方は?
A:極端設定で効きを確認し、実践値に戻す
Q:モジュレーションの前後で何が変わる?
A:前段=粘り感、後段=透明感
Q:空間系はどう使う?
A:どちらか1つを薄っすらかけっぱなし
Q:アンプのインプット接続の注意点は?
A:アンプをクリーン、歪みはマルチ内で作る
最後に
今後もこのブログでは、機材レビュー、上達法、練習法、音作りのヒントなど、ギターに関する話題を幅広く発信していく。
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