楽器コラム

18年ギターと過ごしてわかったこと。続けるってこういうことだった

趣味って、特別なものじゃないのかもしれない

趣味って、特別な時間のことを指すんだと思っていた。
何かに没頭して、日常とは違う刺激を得る──そんなイメージ。

でも、ギターについて考えると、なんだか少し違う気がしている。
今日は、自分の誕生日。ギターを始めて、18年目の節目だ。

振り返ってみると、ギターは「特別なもの」というより、もう完全に生活の一部になってしまっている。
無くてはならない……というより、無い状態がどうだったかすら思い出せない。
もちろん、ギターがなかったとしても生きてはいける。
でも、こんなに熱心に取り組めるコンテンツに出会えたのは、きっと運が良かったんだと思う。

他に、もっとハマれるものがあったかもしれない。
けれどまあ、今となっては比べようがない。
ただ18年間、そしてこれからもたぶん、ギターは自分のそばにあり続けるのだと思う。

最初から体に馴染んでいたエレキギター

ギターとの出会いは14歳のときだった。
最初に手にしたのはエレキギター。
今思えば、初めから妙に体に馴染んでいた気がする。

その日のことをよく覚えている。
近所の兄ちゃんが、スピッツの「ロビンソン」のイントロを教えてくれた。
ギターを持った初日、いきなりあのフレーズに挑戦するなんて、今インストラクターをやっている身からすると、正直無謀だ。
でも、なぜか弾けた。

兄ちゃんの教え方がめちゃくちゃ上手かったのか。
それとも、自分に才能があったのか。
できれば後者であってほしい──と思うけど、もし本当に才能があったなら、今もっと上手くなってるだろ、なんて自分にツッコんだりもする。

挫折知らず、ただギターにハマっていた日々

「ギターはFコードで挫折する」なんて話をよく聞くけど、正直その感覚もない。
確かにFは他のコードより面倒だなとは思った。
でも、練習を続けているうちに、いつの間にか押さえられるようになっていた。

指が痛いっていう感覚も、当然あったはずだ。
でも、それよりもギターを弾く楽しさのほうがずっと勝っていた。

たぶん、弾けないことを気にしすぎることもなかったんだと思う。
とにかくギターに触れていた。
多分1日2時間以上は普通に弾いてた。
それが自然に習慣になっていった。

ギターは、自分にとって「特別な時間」ではなかった。
気合を入れて取り組むものでもなかった。
ただ、飯を食うとか、歯を磨くとか、そういう当たり前の行動の延長にギターがあった。

それは今も変わらない。

社会人になり、ギターから少し離れたとき

18年の間にはギターから離れた時期もあった。
社会人になって、生活が大きく変わった頃だ。

期間にしてどれくらいだったかは正直曖昧だ。
3ヶ月くらいだったか、それとも実際は3週間くらいしか空いてなかったのか。
とにかく、まともにギターに触れなかった時期があった。

その間、自分でも気づかないうちに、ちょっとピリピリしていたように思う。
もちろん、ギターに触れていなくても情報収集だけは欠かさなかった。
スマホで機材情報を見たり、プレイヤーの動画を漁ったり。
「ギターを触ってない」という事実だけが、自分の中に小さなストレスを積み上げていた。

そして久しぶりにギターを弾いたとき──
めちゃくちゃ感動したかと言われると、別にそんなこともなかった。

でも、たとえるなら、大きめの耳垢が取れたときのあのスッキリ感
心のどこかに引っかかっていたものが、すっと抜けた感覚。

特別なイベントじゃない。
でも、確実に「ああ、これこれ」という安心感はあった。

興味は広がっても、結局ギターに戻ってくる

ギターが生活の一部になっているとはいえ、
別にギターだけにしか興味がないわけじゃない。

科学、とくに心身の健康に関する分野は面白い。
最近も、水分補給とノイズ対策について考えていた。
──まあ、考えていたというより、藤岡幹大さんが言っていたのを覚えていて、改めて腑に落ちたという方が正しいけど。

水分が不足すると肌が乾燥する。
肌が乾燥すると、ギターの弦アースが効きにくくなる。
つまり、水分補給はノイズ対策にもなる──そんな発想。

こういう風にギターバカは何を学んでも結局ギターに繋げてしまう。
無理やりとかじゃない。
自然と、興味や知識が全部ギターに向かって流れ込んでしまう。

インストラクター経験と、「続けること」へのこだわり

そんな自分が、ある時期インストラクターもやるようになった。
そこで初めて、「弾けない人の気持ち」に真正面から向き合うことになった。

身体操作。
腕の位置、指の開き方、体重のかけ方──
どうすれば人体構造に逆らわず、楽にギターを弾けるか。
そんなことを考えながら、理屈っぽく、地道に教えてきた。

生徒さんを見て気づいたのは、
ほとんどの人が「練習時間が絶対的に足りない」ということだった。

自分が14歳の頃、1日2時間以上ギターを弾いていた。
うまく弾けないことなんか、いちいち気にしなかった。
それくらい鈍感だったことが、逆に良かったのかもしれない。

だから、インストラクターとして一番大事にしていたのは、
「どうやってギターの練習を習慣にしてもらうか」だった。

その答えのひとつが、「1日3分ギターに触ることをノルマにする」というやり方。
たった3分なら、誰でもできる。
それを毎日続けていけば、練習は自然と習慣になる。
そして、習慣さえできてしまえば、ギターは勝手にうまくなっていく。

このブログでも、上達法っぽい記事を書いているけれど、
実はずっと「どう続けるか」「どう向き合うか」ばかりをテーマにしてきた。
ギターは続けたやつが勝つ。
それだけの話だと思っている。

そして、また新たなスタートへ

そして、18年目の今。
一度退いていたインストラクター業に、また挑戦しようとしている。

生徒はまだ一人。
でも、気長にやっていくつもりだ。

ギターは、特別じゃない。
毎日飯を食うのと同じように、自然とそばにある。

きっとこれからも、そうやって生きていくんだろうなと思う。

ABOUT ME
吉田寛定
新潟在住のギターインストラクター、MBTIはINTP(論理学者) 時々インスタに演奏動画を上げたりしている。 だいたいどんな話を振られてもある程度語れる位常に知識をむさぼって生きています。