YAMAHA PACIFICA SC(シングルカット)発表|待望のTLスタイル

「テレキャスのルックスは最高だけど、フロントの音が使いにくいんだよなぁ……」
そんな風に楽器屋の隅でため息をついた経験、ギタリストなら一度はありますよね。
ストラトほど万能じゃない。レスポールほど太くない。でもあの「シングルカッタウェイ」の魔力からは逃げられない。そんな我々の業(ごう)の深さに、ついにYAMAHAがひとつの完成された「答え」を提示してくれました。
どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。
ギターを始めて18年。何本ものテレキャスタイプを試し、ピックアップを交換しては「……なんか違う」と枕を濡らしてきた訳ですけども。
結論から言いましょう。今回登場した「YAMAHA Pacifica SC」は、単なるテレキャスのコピーではありません。
PacificaやREVSTER、伝説的なマイク・スターン・モデルで培ったノウハウを基に、現代のセッション・ギタリストが抱える「HS配列のジレンマ」を大企業の技術力でねじ伏せた、革命的な1本です。
この記事を読めば、Pacifica SCがなぜ「道具」として最強なのか、そしてあなたの音作りをどう変えるのかが、手に取るように分かるはずです。



ついにベールを脱いだ!Pacifica SCのラインナップ

長年、ダブルカッタウェイ(ストラトタイプ)が主流だったPacificaシリーズに、満を持してシングルカッタウェイ(SC)モデルが加わりました。
YAMAHAのシングルカッタウェイといえば、レジェンドであるマイク・スターン(Mike Stern)のシグネチャーモデル「PAC1611MS」が有名ですが、今回のSCはそれを現代の音楽シーンに合わせて徹底的にアップデートしたモデルと言えます。
ラインナップは、プレイスタイルや予算に合わせて選べる2グレード展開です。
Pacifica SC Professional

生産国: 日本(Made in Japan)
特徴: YAMAHAの独自技術である「I.R.A.処理」を施し、新品の状態から何年も弾き込まれたような豊かなレゾナンスを実現。
演奏性: ローポジションからハイポジションにかけて指板のカーブが平らになる「コンパウンドラディアス」を採用。テクニカルなソロからコードバッキングまで、ストレスフリーな運指が可能です。
Pacifica SC Standard Plus

生産国: インドネシア
特徴: 上位モデルの設計思想を継承しつつ、コストパフォーマンスを追求。
演奏性: 指板ラディアスは12インチに固定されていますが、基本パーツはProfessionalと同等。実戦で戦えるサウンドの核はしっかり守られています。
Standard PlusのPACIFFICA(ストラトタイプ)は以前あぽろんイオン新潟西店で弾かせてもらったことがあります。
インドネシア製と侮ってましたが、実際かなり良い出来で、普段使っているSAITO S622と比べても遜色ない品質に感じました。
さらに去年の価格改定でまさかの値下げが発表されましたよね。
YAMAHAの凄まじい企業努力を感じます。
YAMAHA Pacifica SC スペック比較表
項目 | Pacifica SC Professional | Pacifica SC Standard Plus |
|---|---|---|
製品名 | PACP11S / PACP11SM | PACS+11S / PACS+11SM |
希望小売価格 (税込) | 295,350円 | 145,200円 |
生産国 | 日本 (Made in Japan) | インドネシア |
ボディ素材 | アルダー (アコースティック・デザイン / チェンバード加工) | アルダー (アコースティック・デザイン / チェンバード加工) |
ネック素材 | メイプル (ラウンドCシェイプ / サテン仕上げ) | メイプル (ラウンドCシェイプ / サテン仕上げ) |
指板素材 | ローズウッド (S) / メイプル (SM) | ローズウッド (S) / メイプル (SM) |
指板ラジアス | 9.5″ – 12″ コンパウンドラディアス (ローポジションからハイポジションにかけて平らになる) | 12″ (約305mm) (固定ラジアス) |
フレット | ミディアムジャンボ・ステンレス | ミディアムジャンボ・ステンレス |
ピックアップ | Reflectone™ (HS配列) フロント:ハムバッカー リア:シングルコイル | Reflectone™ (HS配列) フロント:ハムバッカー リア:シングルコイル |
コントロール | マスターVol, マスタートーン (Focus Switch付), 3way SW | マスターVol, マスタートーン (Focus Switch付), 3way SW |
ブリッジ | Gotoh製 3サドル (In-Tuneブラスサドル) | Gotoh製 3サドル (In-Tuneブラスサドル) |
ペグ | Gotoh製 ロッキングチューナー | Gotoh製 ロッキングチューナー |
I.R.A.処理 | あり (初期鳴りを向上させる独自処理) | なし |
付属品 | ハードシェルケース | ギグバッグ |
発売日 | 2026年3月5日 | 2026年3月5日 |
生産国、指板ラジアス、I.R.A.処理、ケース
以外は共通スペックとなっています。
その上で倍の価格差をどう解釈するかですよね。
I.R.A.処理っていうのは楽器のポテンシャルを引き出し、鳴りとサステインを向上させ、レスポンスに優れたギターに仕上げる技術らしいです。
ナメック星の最長老みたいですね。
コンパウンドラジアスも確かに魅力的ではありますが、木材のグレードも一緒、使っている部品も一緒なので、正直Standard Plusのコスパは圧倒的かなーと思います。
贅沢すぎる共通スペック

今回のモデルもパーツ選びがとにかく「ガチ」です。初心者には扱いやすく、玄人を唸らせるポイントが随所に散りばめられています。
ピックアップ「Reflectone」

DTMをやってる人なら知らない人は居ないんじゃないでしょうか、プロオーディオの神、ルパート・ニーヴ氏が興したRupert Neve Designs社と共同開発。
低域の力強さと高域のきらびやかさが共存しており、音が「見える」ような感覚を味わえます。
ステンレスフレット

錆びにくく、チョーキングの滑らかさが段違いです。メンテナンスの手間も減るので、練習に没頭できますね。
Gotoh製ハードウェア

ロック式ペグと「In-Tune」ブラスサドルを採用。テレキャスタイプの弱点だったオクターブピッチの甘さが解消されています。
アコースティック・デザイン

科学的な解析に基づき、ボディ内部をくり抜くチェンバード加工を実施。軽量化だけでなく、ボディとネックが一体となって鳴る「連成振動」を最大化しています。
またボディコンター、カーブドネックジョイントヒールなど演奏性を高める工夫が随所に見られるデザインとなっています。
HS配列のジレンマを解消した「フォーカススイッチ」

Pacifica SCの最大の特徴は、フロントにハムバッカー、リアにシングルコイルを配置した「HS配列」です。
通常、この配列は音量バランスが取りにくかったり、最適なポット抵抗値(250kΩ vs 500kΩ)で悩んだりするものですが、過去にもYAMAHAはSJシリーズでこのHSレイアウトを採用していました。

70年代末期にすでに「バイサウンドスイッチ」、いわゆるコイルタップを採用することでフロントハムを疑似的にシングルコイル化し、バランスを取るという現代でも定番の手法で解決していたわけですが。
今回、YAMAHAはこの問題に対し「フォーカススイッチ」という異なる回答を示しました。
「バイサウンドスイッチ」がフロントハムを疑似シングルに変えるだったのに対し
「フォーカススイッチ」はリアシングルのミッドをブーストさせることで言わば疑似ハムに変えるという真逆のアプローチをとっています。
しかもこれを完全なパッシブ回路で実現している点も見逃せません。
HSレイアウトのメリット・デメリットと解決策
| 項目 | 一般的なHS配列の課題 | Pacifica SCの回答 |
| サウンドの幅 | リアの鋭さとフロントの太さの差が激しすぎる | 専用PUチューニングで自然な繋がりを実現 |
| 音量バランス | ハムが大きすぎて切り替え時に調整が必要 | リアをブーストする「フォーカススイッチ」で解決 |
| ミックス音 | どちらかの特性が死んでしまいがち | 独特の艶がある、ソロからバッキングまで使える万能なトーン |

ノーマルモードではテレキャス的な、フォーカススイッチONでリアのミッドがブーストされるのでレスポール的な使い方ができる。というのが、このモデルの最大の魅力と言っても良いでしょう。



デザインの背景:シティポップと南カリフォルニアの風

このギター、デザインにもこだわりが詰まっています。
近年世界中で愛されている「日本のシティポップ」のアートワークや、Pacifica発祥の地である南カリフォルニアのビーチをイメージしたカラーリングが採用されています。
明るく爽やかなフィニッシュは、ステージ映えはもちろん、自宅に置いてあるだけでも練習のモチベーションを上げてくれます。機能はプロ仕様の「道具」でありながら、どこか懐かしくもお洒落な、所有欲を満たしてくれる一本です。
よくある質問
Q: 初心者がいきなりProfessionalを買うのはアリですか?
A: 大アリです。ステンレスフレットや安定したピッチは、上達を確実に早めてくれます。予算が許すなら「最初から最高のもの」を持つのは賢い選択です。
Q: HS配列だとノイズが気になりませんか?
A: フロントはハムバッカーなのでノイズに強く、クリーンなリードトーンが楽しめます。リアも高品質なパーツと設計により、一般的なシングルコイルに比べてコントロールしやすい印象です。
まとめ:Pacifica SCは「究極の汎用機」だ
YAMAHA Pacifica SCは、単なる「テレキャスターのコピー」の枠を完全に超えた、現代のギタリストのための「解答」です。
マイク・スターンモデルの遺伝子: シングルカットを作って来た確かな実績。
最強の汎用性: HS配列 + フォーカススイッチで、クリーンのカッティングから太いリードまで1本で対応。
プロクオリティのパーツ: Rupert Neve共同開発PU、Gotohパーツ、ステンレスフレットを標準装備。
「テレキャスの形が好きだけど、もっと太い音が欲しい」「1本で何でもこなせるギターが欲しい」という方にとって、Pacifica SCは間違いなく理想の選択肢になるでしょう。
発売日は3月5日
楽器店に並ぶのが今から待ち遠しいですね。







