「ギターを始めたいけど大きすぎる」「ウクレレは弦が4本で物足りない」──そんな人にちょうどいいのがYAMAHAのギタレレGL1だ。価格は1万円前後。手軽に入手できる入門向けの楽器として、発売から長年にわたり定番モデルとなっている。
だが実際に弾いてみると、期待通りの部分もあれば「クセが強いな」と感じる部分もある。本記事では、実際の使用感を踏まえてギタレレGL1の魅力と課題をレビューしていく。
GL1の基本仕様とコンセプト
GL1はギターとウクレレの中間的存在。
全長は約70cmで、テナーウクレレ程度のサイズ感。ボディ材にはスプルース(トップ)とメランティ(サイド&バック)が使われており、安価ながら丁寧な作りを感じる。
弦はナイロン弦で、チューニングはギターの5フレットにカポをした状態と同じA-D-G-C-E-A。つまり、普段のギターと同じコードフォームで演奏できるのが大きな利点だ。
演奏性|小ささゆえの難しさ
GL1の演奏性については正直なところ賛否が分かれる。
- ボディが小さいのにネックが意外と太い
- ペグがフルサイズギター同様のものなのでヘッドが重い
- 膝に乗せるには小さすぎ、脇に抱えるにはネックが重く疲れる
筆者自身、まだしっくりくるフォームを見つけられていない。椅子や地面に座って本体を膝に立てて弾くのが現状の落とし所だが、長時間は厳しい。今後はウクレレ用のストラップを試す予定だ。
弾きやすさの面での補足
スケールが短いため弦のテンションが弱く、Fコードのような難関フォームは意外と押さえやすい。ただしフレット幅が狭く、慣れないと窮屈に感じることもある。
サウンド|思った以上に“ギターらしい”
音に関しては嬉しい驚きがあった。
- 小さなボディにしては豊かな響き
- 安価なギターにありがちな押弦時のピッチの甘さが少ない
- 一方で、ミスタッチは非常に目立つ
筆者は主にソロギターで使用しているが、チープで温かみのある独特のサウンドが心地よく、ちょっとした練習や気分転換にぴったりだ。「こういう楽器が1本あると楽しい」と素直に感じる。
携帯性|抜群のポータブル楽器
GL1最大の強みは携帯性だろう。
- ミニギターよりさらにコンパクト
- 電車移動でも隣に迷惑をかけない
- キャンプや旅行に気軽に持っていける
ギター系の楽器でここまで気楽に持ち出せるものはほとんどない。ソフトケースが付属しており、そのまま持ち出せる点も便利だが、筆者はとにかく気軽に使いたいのでケースに入れずに携帯している。
車の助手席に乗せて一人でドライブへ出かける事もある。
チューニングと弦選び
標準チューニングはギターより2.5音高いA-D-G-C-E-A。
ギター経験者ならすぐに慣れるはずだ。半音上下に変えても問題なく弾ける。
弦はクラシックギター用のノーマルテンション弦を選べばOK
筆者はなんとなく定番っぽいナイロン弦ってことでSAVAREZの520R(通称ピンクラベル)を張っている。
特にそれ以上の理由は無いので参考にすらならないかもだが、これで問題なく弾けている。
SAVAREZ ( サバレス ) / 520R
カポの活用
筆者はクラシックギター用のSHUBB C2カポを共用している。サイズもフィットし、手軽に音域を変えられるので便利だ。
SHUBBのローズゴールドの色味が嫌味っぽさが無くて気に入っている。
レギュラーチューニング化の可能性
「ハードテンション弦を使えばレギュラーチューニングに対応できる」という情報もあり、今後は検証していくつもりだ。ただしナット調整やネック負担のリスクもあるため、試す際は慎重さが必要になる。
ギタレレGL1はどんな人に向いているか?
GL1は「万能楽器」ではないが、用途を絞れば非常に頼れる相棒になる。
- ギター初心者の入門用:指に優しく、コードフォームも学べる
- ギター経験者のサブ楽器:旅先や出先での気軽な練習に最適
- 子どもや小柄な人の最初の一本:サイズ的にも扱いやすい
- ウクレレに物足りなさを感じる人:より豊かな表現が可能
まとめ|クセも愛せる人なら最高の遊び道具
YAMAHA ギタレレ GL1は、演奏フォームに悩まされる一方で、コンパクトさとサウンドの良さが際立つ楽器だ。
ギターの代用品というより、ギタレレという独自ジャンルの楽器と割り切った方が楽しめる。ソロギター用の“遊び道具”としても面白いし、1万円前後でこのクオリティなら試す価値は十分にある。