【レビュー】Xotic AC Booster V2|ブースターを積んだ進化系

「オーバードライブとブースター、どっちも使いたい」
「だけどボードはパンパン。コンパクトに済ませたい」
そんなギタリストならではの“わがまま”に応えるかのように登場したのが、Xotic AC Booster V2です。
オーバードライブとしても、ブースターとしても、そして“音の芯を太くする”音作りの軸としても機能する。
そんな注目ペダルを、新潟のあぽろん新発田店さんにて試奏してきました。
どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。
あぽろん新発田店さん、最近インスタも頑張っているようなので、特に新潟県民と山形県民の方はぜひチェックしてみてくださいね。
最近なぜかヘッドレスギターが充実してきてるっぽいです。
V2最大の特徴|ブースト機能を積んだ進化系
AC Booster V2の目玉機能は、なんといっても独立したブースト回路が追加された点にあります。
しかし、ここで一点注意したいのがその挙動。Boostスイッチ自体は独立して付いているんですが、本体のON/OFFスイッチがONになっている時にのみ有効になるという仕様なんです。
つまり、AC Booster全体がバイパス(OFF)されている状態では、いくらBoostスイッチを踏んでも音には反映されません。あくまで「AC Boosterで作った音を、さらにブーストさせる」ための設計ということですね。

この仕様によって、AC Boosterを「プリアンプ」や「バッファ」のように常時ONにして基本の音を作り、ここぞという場面でブーストスイッチを踏んで音を前に出す、といった使い方が可能になります。
ギターソロで「もう少し音量が欲しい」「音の密度を上げたい」という時に、スイッチひと踏みでグッと前に出てくれるのは頼もしいですね。
従来のAC Boosterも「魔法のペダル」と呼ばれるほど絶妙なバランスを持っていましたが、プリアンプ的に使うと、いざソロを弾く時に「もう一台ブースターが必要」なんてこともありました。
今回のV2では、筐体のコンパクトサイズはそのままにこのBoost機能が追加されたことで、1台で“あと一押し”に対応できる柔軟性が加わったのが本当に大きな進化だと感じます。
サウンドキャラクター

では、オーバードライブとして見た時の音はどうなのか。
結論から言えば、「極めてナチュラルで滑らか、かつ必要な押し出し感はしっかりある」という印象でした。
いわゆるドンシャリ系のザクザクした歪みではなく、ピッキングの強弱やニュアンスを損なわず、しっかり厚みのある中域(ミドル)が残るのが特徴です。
その一方で低音の重心もキープしているので、シングルコイルのギターで弾いても音が細くなりすぎず、ブルース~フュージョンに理想的な「太いクリーントーン~クランチ」を作ることができます。このあたりは、さすがXoticといったところですね。
旧モデルと比べても、ゲイン量は明確に増していると感じました。筆者が旧型を所有していたのはもう10年以上前のことになりますが、記憶にあるAC Boosterよりも、歪みの「粘り」と「押し出し」が強化されている印象です。
ノブとディップスイッチで“音作りの幅”が広がる

ツマミは以下の5ノブ構成になっています。
Volume(全体の音量)
Gain(歪みの深さ)
Treble(高域の調整)
Bass(低域の調整)
Boost(追加ブーストの音量)
TrebleとBassは共に12時の位置に「カチッ」というクリック感があり、感覚的に「ここがフラット(基準)だな」と分かりやすいのが地味に嬉しいポイント。 それぞれ12時を境にブースト/カットができるアクティブEQになっています。
Trebleは音の輪郭を作る上で重要です。例えばストラトキャスターで、バンドアンサンブルの中で埋もれない「抜け感」を出したい時に少し上げると効果的。逆に耳に痛いときはカットすれば滑らかになります。
Bassは音の「太さ」や「迫力」に関わります。自宅練習用の小さいアンプで弾くときなどは、ここを少し上げてあげるとリッチな気分で弾けますよ。 逆にバンドでベースと音が被るようなら、少しカットしてスッキリさせる使い方がおすすめです。
4つのディップスイッチ

さらに、筐体のサイド(側面)にはXoticおなじみの4つのディップスイッチが搭載されています。これがいじり始めると楽しいんですよ。
| 番号 | 機能 | 説明 |
|---|---|---|
| 1 | COMPRESSION | ONでコンプ感が強まり、サステインが伸びる |
| 2 | MODERN/VINTAGE | 全体的なゲイン(歪み量)の切り替え |
| 3 | LO MID BOOST | 中低域の押し出しを強化(ファットになる) |
| 4 | HI MID BOOST | 中高域に張りを出して煌びやかに |
MODERNモードに設定するとしっかり歪んでくれるので、メインのオーバードライブとしても十分に戦えます。
一方でVINTAGEモードは、ゲインは控えめになりますが、アンプの歪みを補正するブースター用途や、少しだけ枯れた質感を足したい時にピッタリです。
なお、本機は18V駆動にも対応しています。
通常は9Vのアダプターを使いますが、対応したパワーサプライなどで18Vを供給すると「ヘッドルーム」が広がり、より歪みにくく、クリアでレンジの広い立体的なサウンドになります。
組み合わせの例として、
MODERN+18V:音にレンジ感とパンチが出て、リッチなドライブサウンドに。
VINTAGE+18V:どこまでも突き抜けるような、極上のクリーンブースター的セッティング。
など、サウンドメイクの自由度が非常に高いのが魅力です。
「自分のギターやアンプに合った設定」を細かく調整して見つけたい方には、たまらない仕様ってな感じですね。
使用シーン別の実用性

このペダルの強みは、その幅広い対応力にあります。具体的にはこんな使い方ができます。
アンプのプッシュ:真空管アンプの前に繋いで、音の太さと艶を足す。
ゲインブースター:他の歪みエフェクターの前に置いて、ゲイン(歪み)を増やす。
- ボリュームブースター:歪みエフェクターの後に置いて、ソロなどで音量を上げる。
メインの歪み:JC-120(ジャズコ)などのクリーンアンプを歪ませる基本の音として。
プリアンプ的用法:かけっぱなしにして、ディップスイッチやEQで「いい音の土台」を作る。
今までのAC Boosterや、シンプルな1ノブのブースターではカバーしきれなかった「痒いところ」まで手が届く。まさに、ボードに1台あると安心感が違います。
デメリットは“赤いLED”だけ?
ここまでベタ褒めしてきましたが、正直に言います。唯一気になったのがBoostスイッチの赤色LEDの暗さです。
暗いライブハウスや室内なら見えますが、日中の野外ステージや、照明が強い場所で斜めから見ると、点いてるのかどうか分かりにくいかもしれません。
反対側のBypassスイッチは視認性の良い緑色LEDなので、余計にこの赤色の控えめさが惜しいなと感じました。
おそらく「常時点灯でも眩しくないように」という配慮なのかもしれませんが、ライブでの誤操作を防ぐ意味でも、もう少し明るくても良かったかなというのが本音です。
視認性の高い青色に交換する人が居そうですね。
この内容で25,000円台は“正直破格”
現在の相場で、新品価格は25,000円前後。
独立ブースト機能付き、多彩なディップスイッチ、18V対応と機能面はフル装備。 さらに筐体の高級感ある質感や、ボードに馴染むデザイン。
これだけのクオリティをこの価格帯で出してくるのは、Xoticというブランドの企業努力と信頼性の証だと感じました。
最近はエフェクターの価格も全体的に高騰していますが、クオリティに対しても価格に対しても、ユーザーに寄り添っているこのモデルは、初心者からプロまで“安心してボードに乗せられる一台”になるはずです。
まとめ|AC Booster V2は「抜け目なし」の実力派ペダル
✅ 1台でメインODとブースターを両立
✅ ディップスイッチで好みの音作りが自由自在
✅ 18V対応でレンジ感の拡張も可能
✅ ブルース~フュージョン系に最高のフィット感
✅ LEDの暗さ以外に大きな欠点はなし
「失敗しないエフェクター選び」をしたい初心者の方から、音作りにこだわりのある中級者やプロの方まで。非常に幅広くおすすめできるエフェクターでした。
筆者も試奏してみてあまりの完成度の高さに、正直「自分のボードに入れたいな…」と思ってしまいました。
欲しいものリストに仲間入り ってな感じですね。
おまけ







