ギターx心と身体

サウナイキタイ!ミュージシャンのパフォーマンスを高める“整う”習慣

楽器を鳴らす手。
高音を支える横隔膜。
リズムを刻む集中力と、歌詞を紡ぐ感情。
ミュージシャンの活動は、単なる技術の積み重ねではなく、全身全霊での表現だ。

でも、それだけに消耗も大きい。
ツアー明けの全身の倦怠感。
曲作りが進まずに朝を迎える制作期間。
ライブ前の焦燥や、終演後のメンタルの落ち込み。

それでも「音楽が好きだから」と、無理を押してしまう人は多い。
そして気づけば、身体も心もどこかボロボロになっている。
その状態では、いくら演奏や表現力を磨いても、目標とする表現に辿り着けない。

そこで、いま多くの音楽家たちが取り入れ始めているのが、「サウナ」だ。
単なるリラクゼーションではない。
自分を“整える”ことで、音楽に向かうコンディションを作る――それがサウナの本質だ。

この記事では、ミュージシャンがサウナを活用することによって得られる恩恵を、心身の側面から解説する。
「ただの流行でしょ?」と思っている人にこそ、読んでほしい。
あなたの音楽人生を少し長く、深く、豊かにするヒントがここにある。

なぜ今、ミュージシャンにとってサウナが注目されているのか

かつては“おじさんの趣味”というイメージもあったサウナだが、今やその認識は変わりつつある。
都市部では個室サウナや音楽付きサウナが登場し、若い世代やアーティストの間でも利用者が増えている。

注目すべきは、音楽業界においてもサウナを生活に取り入れる人が増えているという点だ。
SNSでも「サウナ後に曲が一気に書けた」「ライブ後の疲労が明らかに違う」といった声が見られる。

なぜ、いま音楽家にとってサウナが必要とされているのか?
それは、音楽活動が心身に与える負担が非常に大きいからに他ならない。

音楽は感情を扱う仕事だ。
演奏や制作には集中力が求められ、ツアーやライブでは過酷なスケジュールが組まれる。
その中でコンディションを崩す人は少なくない。

サウナは、その疲労とストレスを効率的にリセットできる手段として、静かに支持を広げている。

本来サウナとはおじさんたちが独占していい場所ではないのだ。

サウナの効果①:身体を整える

まず最も分かりやすいのが、身体的疲労の軽減だ。

ライブやレコーディングでは、肩・腰・指・喉といった部位に負担がかかる。
サウナに入ることで血流が促進され、筋肉のコリが和らぐ。
また、水風呂との交代浴によって、全身の代謝が上がり、疲労物質の排出もスムーズになる。

さらに、サウナは呼吸機能の改善にもつながる。
温熱によって気道が拡張し、深い呼吸がしやすくなる。
これは特にボーカリストにとっては大きな利点だ。

質の高い睡眠も得られやすくなるため、翌日のリハーサルや制作作業に向けた“仕込み”としても非常に効果的である。

サウナの効果②:メンタルを整える

音楽は、精神状態に大きく左右される表現でもある。

サウナは副交感神経を優位にし、心を落ち着けてくれる。
焦り、イライラ、プレッシャー、不安…演奏家が抱える負の感情を、一度リセットできる空間だ。

さらに、サウナはデジタルデトックスでもある。
スマホも音も情報もない、ただ熱と静寂だけの世界。(BGMやテレビがある施設も多いが)
この「何もない時間」が、意識のノイズを削ぎ落とし、本当に必要な感情や発想を呼び起こしてくれる

創作に煮詰まっているときほど、一度すべてから離れて「整う」ことで、内側から自然とフレーズやアイディアが湧いてくる。

サウナの効果③:アイディアを生む“仕掛け”としての活用

面白いのは、サウナ前後に浴びるシャワーが、アイディア発想に影響を与えるという話だ。
水流が頭皮を刺激することで、脳の血流が促進される。
これにより、脳の“ひらめき回路”が活性化されやすくなるという。

まずはシャワーで掛け湯をし、身を清めながらサウナ室で考えるテーマを整理

身体の水分を拭きとりサウナ室へ。落ち着いて呼吸を整えながら思考の海へダイブ。

掛け湯やシャワーで汗を流して水風呂へ。冷たくても決して慌てるな、焦るな。

身体の水分を拭きとり外気浴へ。一旦考えるのをやめて感覚に全集中。

サウナ室~外気浴の流れを2~4週

最後にシャワーを浴びながらアイディア出しをする。
これを「創作のルーティン」として取り入れてみるのもいかがだろうか。

サウナの入り方:ミュージシャン向け“整えルーティン”

基本は以下のセットを1〜3回繰り返す。

  1. サウナ(8〜12分)

  2. 水風呂(1分前後)

  3. 外気浴(5〜10分)

ポイントは、水風呂に入るときの“呼吸のコントロール”だ。
「冷たい!」と焦ってしまうと、交感神経が優位になり、かえってストレスになる。

おすすめなのは、お気に入りのバラードナンバーのBPM(60前後)を頭の中で再生しながら、水に入ること
(Eric Clapton の Tears in Heavenとかいかが?)
リズムをキープしながら、一定のテンポで呼吸を保てば、身体は次第に冷水を受け入れる。

これはまるで、心拍やリズム感をチューニングする感覚にも似ている。

なお、ライブ前のサウナは脱力しすぎる可能性があるため控えめに。
おすすめは、制作の合間や、リハーサル翌日の回復タイムとしての活用だ。

サウナを利用しない方がいいタイミングとは?

いくらサウナが心と身体に良いと言っても、タイミングを間違えると逆効果になることもある
特にミュージシャンにとっては、以下のような場面ではサウナを避けたほうが良い。

① ライブやレコーディング直前

サウナは深いリラックス状態をもたらす。
それは良くも悪くも**「脱力」**を引き起こすため、演奏に必要な集中力やテンションが下がってしまうことがある。
特にバンドアンサンブルの中での微妙な緊張感、立ち姿勢のキープ、呼吸のリズム――そういった要素が求められる場面では、サウナ直後は不向きだ。

② 疲労が限界を超えているとき

「疲れてるからサウナ行こう」と思う気持ちはよくわかる。
でも、極端に疲れすぎているときに高温のサウナに入ると、かえって心臓や血圧に負担をかけてしまう。
立ちくらみや頭痛、吐き気を引き起こすこともあり、場合によっては危険だ。

③ アルコール摂取後や空腹・満腹時

お酒を飲んだ後や食事直後のサウナは、血流が乱れやすく、体調を崩すリスクが高い。
ミュージシャンの中には打ち上げ後にそのまま…というケースもあるが、絶対に避けてほしい。
整うどころか、身体が警報を鳴らしてしまう。

サウナの種類と“自分に合った場所”を見つける重要性

一言で「サウナ」と言っても、施設によってそのスタイルはまるで違う。
たとえば、熱源だけでも以下のような種類がある。

  • 遠赤外線サウナ:カラッとしたドライ系。汗をかきやすく、初心者にもおすすめ

  • ストーンサウナ(ロウリュ):熱した石に水をかけ、蒸気で一気に体感温度が上がるフィンランド式

  • ボナサウナ:蒸気が循環し、マイルドな温まり方。長時間じっくり入りたいときに

  • 塩サウナ:低温+湿度高め。肌にも優しく、じっくり汗をかきたい人向け

さらに、設定温度や湿度、水風呂の温度・広さ・深さなども施設ごとに大きく異なる。
ある施設では「ととのう」ことができたのに、別の施設ではなんだかピンとこない……というのはごく自然なことだ。

だからこそ、いろんなサウナを体験し、自分の“整いやすい傾向”を知っておくことが重要になる。
「湿度が高めのほうが落ち着く」
「水風呂は15℃以下がしっくりくる」
そんな発見が、あなた専用の“ホームサウナ”を見つける手がかりになる。

全国のサウナ情報は「サウナイキタイ」というサイトでチェック可能。
自宅近くに思いがけない名店が潜んでいるかもしれない。
忙しい日常の中で、確実に心と身体をチューニングできる場所を持っておくこと。
それは、現代のミュージシャンにとってもう“嗜み”ではなく、“急務”と言っていいだろう。
サウナイキタイー日本最大のサウナ検索サイト

“整う”ことは、音楽に向き合う準備である

音楽は、目に見えないものを形にする仕事だ。
だからこそ、作り手自身のコンディションが、そのまま音に乗る。

自分の身体は、大切な楽器と同じ。
チューニングを怠れば、いい音は出ない。
磨き続けるためには、メンテナンスが欠かせない。

「音楽のために自分を後回しにしてきた」
――そんなあなたこそ、まずは整うことから始めてみてほしい。

サウナは、あなたの音楽をもっと自由に、もっと深くするかもしれない。

ABOUT ME
吉田寛定
新潟在住のギターインストラクター、MBTIはINTP(論理学者) 時々インスタに演奏動画を上げたりしている。 だいたいどんな話を振られてもある程度語れる位常に知識をむさぼって生きています。