ギターの上達が止まったように感じる瞬間
ギターを弾いていると、ふとした瞬間にこんな風に思うことがある。
「なんか最近、全然上達してる気がしない」
「むしろ前より下手になってないか?」
それはあなただけではない。
むしろ、ある程度弾けるようになった“中級者以上”の誰もが一度は通る道だ。
物事の習得には、成長を実感できない「停滞期」がある。そして、その先に一気に伸びる「加速期」がやってくる。この二つは交互に現れ、繰り返されていく。
ただし――加速期が一瞬で過ぎ去るのに対し、停滞期はどんどん長くなっていく。
これは、ちょっとした地獄のようなシステムだ。
ギター上達の法則:「停滞期」と「加速期」の存在
成長は直線ではなく、波のように訪れる
どんな物事にも上達の波がある。
ギターも例外ではない。
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ひとつのスキルを覚えるとしばらく伸び悩む
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ある日突然、できなかったことが急にできるようになる
この流れを繰り返して、ギタリストは少しずつ進化していく。
この「波」の中で重要なのが、停滞期の存在を“異常”と捉えないこと。むしろそれは、正しい道を進んでいる証でもある。
成長するほど、停滞期は長くなる
ギター歴が浅い頃は、ちょっと練習すればすぐにできることが増えていた。
Fコードが押さえられるようになった日、初めて1曲を通して弾けた日――そういう「分かりやすい成長」を感じやすい。
だが、ある程度できるようになると、次の「壁」は高くなる。
音の粒立ちを揃える、抑揚をつける、グルーヴを出す…。
細かくて地味な課題に向き合う日々が続く。
努力しても報われない時間が、どんどん長くなっていく。
そしてここで、多くの人が立ち止まる。
ギター上達の仕組みはゲームと同じ
レベルが上がると、次のレベルに必要な経験値が増える
この成長システム、ゲームにそっくりだ。
ポケモンやドラクエのようなRPGを思い出してほしい。最初のうちはちょっと戦うだけでレベルがポンポン上がる。でも、ある程度進むと、次のレベルアップに必要な経験値が膨大になってくる。
ギターも同じ。
伸びないと感じるのは、あなたがもう「レベル30」に到達している証拠だ。
ギターの経験値は「スライム狩り」に近い
ゲームのように、高経験値モンスターは出てこない。
ゲームでは、あるタイミングで「レアモンスター」や「ボス敵」と出会い、一気に経験値が稼げることがある。でも、ギターにはそういう都合のいい敵はなかなか出てこない。
日々の練習は、いわば“ポッポ”や“スライム”を倒し続けているようなもの。得られる経験値はごくわずか。それでも積み重ねるしかない。
時々現れる「レアモンスター」は確かに存在する
もちろん、時には一気にレベルアップできるような機会もある。
たとえば人前での演奏。
ライブや発表会、誰かの前で弾くという非日常は、普段の練習では得られない経験値をくれる。
しかし、その「レアモンスター」もやがて慣れてくる。最初はドキドキしていたステージも、回数を重ねるごとに“スライム化”していく。
一度高い経験値を得られたとしても、それが次第に“日常”に変わってしまう。
「スライム狩りを楽しめるか」がすべて
ここで問いたい。
あなたは、スライムを狩るのが好きだろうか?
これはつまり、毎日の地味な練習を楽しめるかどうか、という問いだ。
指が思うように動かない。
同じフレーズを何度も弾き直す。
誰にも見られない場所で、ひとり音と向き合う。
この「地味な繰り返し」が苦痛でしかないなら、ギターの成長実感を得るのは難しい。
でも、それを“面白い”と感じられる人には、確実に先がある。
今まさにギターを始めたばかりの人へ
一方で、今ギターを始めたばかりの人には、成長を実感しやすい時期が訪れている。
この時期はとにかく楽しい。何を弾いても新鮮で、昨日できなかったことが今日にはできるようになっている。
この「伸び盛り」の時期を、ぜひ全力で楽しんでほしい。
やがて、成長が鈍化したと感じるタイミングが来るかもしれない。
その時、この記事をもう一度思い出してほしい。
停滞期を打破する方法:「進行方向の角度」を変える
同じことをやり続けても、次の壁は越えづらい
例えば、コードストロークばかり練習していた人が、ある地点で「これ以上上手くなるには何をすればいいんだろう…」と悩むようになる。
それもそのはず。
同じ練習を繰り返しても、得られる成長は徐々に減っていく。いわば“成長の飽和”だ。
角度を少し変えると、成長が加速する
ここで有効なのが、進行方向の角度を少し変えること。
たとえば、
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コードストロークからアルペジオへ
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コピー中心だった練習から作曲や耳コピへ
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アコギだけでなく、エレキやクラシックギターを触ってみる
こうした“ジャンル横断的”な練習は、新たな加速期を生み出してくれる。
経験値の入り口が変われば、また成長が見えるようになる。
言い換えれば、「違う角度からギターを攻める」ことで、停滞期の突破口が開けるのだ。
好きなことじゃないと、長い停滞には耐えられない
努力には限界がある。だから「没頭」が必要
ここまで読んできたあなたに、ひとつだけ心をえぐるような現実を伝えたい。
努力しても報われない時間が、どんどん長くなっていく。それでもあなたは、それを“好き”でいられるか?
もし、ギターを「頑張ってる」だけなら、その停滞はただの苦痛になる。
でも、ギターを「好きで没頭している」なら、不思議と時間は気にならない。
長く続けている人たちは、この“好き”の力で停滞期を乗り越えている。
「好き」が原動力になる
ギターが好きだと、自分から練習に向かう。
新しいフレーズを試したくなる。
気づけば3時間経っていた、なんて日もある。
その状態が、最も成長に近い場所にいる証拠だ。
成長が見えない時期に何をするか――それが、その人のギター人生を大きく左右する。
停滞期の先にある、自分だけの音
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ギターには、上達を感じにくい停滞期と、急激に伸びる加速期が交互にやってくる
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停滞期が長くなるのは、成長の証
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成長実感が欲しいなら、進行方向を少し変えてみるのが効果的
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努力だけでは続かない。だからこそ「好き」であることが何よりも大切
ギターは「続けた者勝ち」の世界だ。
成長を実感できない時こそ、自分がどれだけ進んできたかを振り返ってみよう。