レッスン動画を見ても弾けない理由|初心者がまずやるべき“逆転の練習法”を解説

教本を1ページ目から読むのは、RPGの攻略本を暗記してからゲームを始めるようなものだ。まずはコントローラー(ギター)を握れ。
どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。
「YouTubeで『初心者講座』を見まくっているのに、全然弾けるようにならない」 「高い教則本を買ったけど、最初のフレーズで挫折して枕元に積まれている」
こんな経験、ありませんか? 知識は増えたはずなのに、指は動かない。動画の先生はあんなに簡単そうに弾くのに、自分のギターからは不協和音しか出ない。 これ、実はあなたのセンスがないわけではありません。
結論から言うと、「学ぶ順番」が逆なだけです。 多くの人は「知識を入れてから行動」しようとしますが、脳の仕組み上、「行動(体験)してから知識を入れる」ほうが圧倒的に吸収効率が良いのです。
今日は、そんな「逆転の練習法」について、脳科学的な視点も交えて解説していきます。



なぜ「先に弾く」ほうが脳に良いのか?

教本や動画の説明が頭に入ってこない最大の理由は、「経験の土台(スキーマ)」がないからです。
脳は「知らないこと」を処理できない
人間の脳は、新しい情報を処理するとき、既存の知識や経験(スキーマ)と結びつけようとします。 例えば、歴史の授業で「織田信長が~」と言われても、信長の名前すら知らない状態だと話が入ってきませんよね?
でも、ドラマや漫画で信長のキャラを知っていれば、「あいつならやりそうw」と理解が一気に進みます。
ギターも同じです。 「Cコードの構成音はドミソで~」という理論や、「手首の角度は45度で~」という解説を聞いても、実際に指板を押さえた時の「痛さ」や「指の届かなさ」を体験していない脳にとっては、ただの記号の羅列に過ぎません。
「疑問」が最強のフックになる
先にギターを触り、「Fコードで指が痛い!」「リズムがどうしてもズレる!」という強烈な体験(失敗)をすると、脳に「知りたい!」という空白が生まれます。
この状態で解説動画を見ると、情報は「ただの知識」から「問題を解決する鍵」へと変わり、脳への定着率が劇的に跳ね上がります。
これを心理学では「先行オーガナイザー」の応用とも言えます。
まずは「泥臭く弾いてみる」。解説を見るのは、その後でいいのです。
初心者がやるべき「逆転の練習法」3ステップ

では、具体的にどう進めればいいのか。最短ルートを提示します。
1. 構え方・チューニング・TAB譜の読み方だけ覚える
これ以上の基礎(音楽理論、スケールの名前、コードの構成音など)は、最初は全部無視してください。
最低限、「音を出す準備」と「地図(TAB譜)の読み方」だけ分かれば、冒険に出発できます。
2. 好きな曲の「サビだけ」弾いてみる
ここが重要です。教本の1ページ目の「カエルの歌」や「クロマチック練習」から始めないでください。あなたのテンションが一番上がる曲の、一番盛り上がる部分(サビ)だけを弾いてみましょう。
再生速度を落とす: YouTubeの機能で0.5倍速や0.75倍速にする。
ミスしても止まらない: 音が詰まっても、リズムがヨレても、とにかく最後まで指を動かす。
ボロボロでもいいんです。「あの曲に合わせて自分がギターを弾いている!」という高揚感(ドーパミン)こそが、脳を学習モードに切り替えます。30点でも合格です。
3. 「弾けない理由」を持って教本(動画)を開く
サビを一通り弾こうとすると、必ず壁にぶつかります。 「Bメロからサビに行くときのコードチェンジが間に合わない」 「チャカチャカする動き(カッティング)がうるさい」
ここで初めて、教本や動画の出番です。 「コードチェンジ 速くするコツ」「カッティング ミュート」などで検索し、答え合わせをする。 すると、解説の一言一句が「あ!さっきのあれのことか!」と鮮明に理解できるはずです。



教則本は「教科書」ではなく「辞書」だ

多くの真面目な初心者が、「教則本を最初から全部やらなきゃ」という呪縛にかかっています。 ですが、あえて言います。教則本は「辞書」として使ってください。
必要な時に、必要なページだけ引く
国語辞典を「あ」から「ん」まで読む人はいませんよね?
わからない言葉に出会った時に引くものです。ギターの教則本も同じ。 「ハンマリングって何?」と疑問に思った時に、そのページを開けばいいのです。
理論は「後からついてくる」
「音楽理論も勉強しないと…」と焦る必要はありません。
理論は、「自分が感覚的にやっていたこと」に「名前をつける」作業です。
作曲やアレンジ、アドリブなど、クリエイティブな欲求が出てきた時に初めて学べばOK。コピー中心の時期に詰め込んでも、実感が伴わないので忘れてしまいます。
よくある不安と答え(Q&A)
Q. 自己流で弾いて、変なフォームが身につくのが怖いです。
A. 恐れずに弾いてください。フォームは後から修正可能です。 プロのギタリストでも、キャリアの途中でフォームを変える人は沢山います。 むしろ一番怖いのは、「変な癖がつくのを恐れて、指を動かさなくなること」です。 どうしても不安なら、単発でギター教室に行ってプロに見てもらうのも手です。
私の教室でも単発レッスンは可能なので、新潟近郊の方はぜひ(笑)。
Q. 練習曲の難易度はどれくらいがいいですか?
A. 「ちょっと背伸びすれば届きそう」くらいがベストです。 心理学でいう「フロー状態」に入りやすい難易度です。 簡単すぎると退屈し、難しすぎると不安になる。
「サビだけならなんとかなるかも?」と思える曲を選んでみましょう。
Q. 動画を見てると時間が溶けます…。
A. 「ギターを持たずに動画を見る」のを禁止しましょう。 必ずギターを抱えて見る。そして動画の中の先生が弾いたら、一時停止して自分も弾く。
「インプット:アウトプット = 3:7」が黄金比です。見る時間は3割で十分です。
まとめ
ギターの上達において、知識はあくまで「補助ツール」です。 主役は、あなたの指と耳による「体験」です。
知識より先に「体験(失敗)」をする。
教則本は「辞書」として、困った時だけ開く。
「サビだけ」「30点」でいいから、曲を弾き切る。



今日のワンステップ
今すぐ、あなたの「一番好きな曲」のサビを再生し、TAB譜サイトを開いてください。 そして、イントロやAメロを飛ばして、一番美味しい「サビ」のコードを一つだけ鳴らしてみましょう。
その一音が、あなたの脳に革命を起こすスイッチになります。 あなたのギターライフが、もっと自由で楽しいものになりますように。







