【2026年】初心者の「ちょっと良い一本」にAZ Standard

10万円以下のギターを侮るのは、もう終わりにしよう。
どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。
そういえば去年の夏ごろ、あぽろん新発田店さんでIbanezのAZ Standardを弾かせていただいたことを思い出しまして 。その時はXoticのAC Booster V2などの試奏でお借りしたのですが 、これが予想以上に良くて驚きました。
普段、私はSAITO S622をメインで使っていますが、そこから持ち替えても遜色なく弾けてしまうほどの違和感のなさは、正直「これが10万円を切るのか……」と感心した記憶があります。
もちろん、20万〜30万円クラスと全てが同等とは言いませんが、この価格帯での完成度としては、あまり文句のない仕上がりです 。
というわけで、今回はAZ Standardの徹底レビューをお届けします。既存の「S1F」モデルの解説に加え、今年のNAMM 2026でお披露目されたばかりの最新モデル「AZ22S2-BK」「AZ24S2-BK」についても紹介します 。
ギター歴18年、現役講師の視点から、特に「どうせなら最初から少しいいギターで始めたい」という初心者の方にチェックしていただきたい情報をまとめました。ぜひ最後までご覧ください。



AZ Standard

Ibanezが2025年夏に投入したAZ Standardは、単なる廉価版ではありません。上位のPrestigeやPremiumから得た膨大なフィードバックを基に、「演奏体験の核心」を削らずにコストダウンを図った戦略的モデルです。
その核心を支えるのが、以下の3つのアプローチです。
1. ローステッド・メイプルネックによる「剛性」と「安定」

ネック材に加熱処理を施すことで、木材内部の含水率をコントロールしています。これにより、湿度の変化による反りに強く、形状安定性が飛躍的に向上しています。新潟のような四季の激しい地域でも、セットアップが狂いにくいのは最大のメリットです。
2. ジャンボ・ステンレスフレットが生む「速い立ち上が」

錆びにくく耐久性が高いステンレスフレットは、音の立ち上がり(トランジェント)が非常に速いのが特徴です。コード弾きでは一音一音の分離が良く、単音弾きではクリアな出音が得られます。また、摩擦抵抗が極めて低いため、チョーキング時の滑らかさは一度味わうとニッケルには戻れません。
3. Super All Access Neck Jointの演奏性

ボディとネックの接合部を球面で仕上げることで、ハイポジションへのアクセスを劇的に容易にしています。24フレットまで指が自然に届くこの構造は、テクニカルなプレイを志向する人にとって「物理的な限界」を取り払ってくれる設計です。
AZ22S1F vs AZ24S1F:徹底スペック比較
自分に合ったモデルを選ぶために、違いを表で整理しました。
| 特徴 | AZ22S1F (SSH) | AZ24S1F (HH) |
| フレット数 | 22フレット | 24フレット |
| ピックアップ | Classic Custom (S-S-H) | Modern Custom (H-H) |
| スイッチング | dyna-MIX9 (9通り) | dyna-MIX10 (10通り) |
| ルックス | ピックガードあり(トラッド) | ピックガードなし(モダン) |
| サウンド傾向 | ウォームでナチュラル、繊細 | パワフル、レスポンス重視 |
| 得意ジャンル | ポップス、ファンク、ブルース | ロック、メタル、フュージョン |
AZ22S1F

AZ22S1Fは、シングルコイル特有の煌びやかさを活かしたカッティングや、フロント+センターのシリーズ配線による「擬似ハムバッカー」で甘いリードトーンを狙いたい人に最適です。
また22フレットなので24フレットのギターに比べてリアとフロントのサウンド差がよりはっきりと出る傾向があります。 
モード1では一般的なSSHレイアウトですが
モード2ではネックポジションでフロントの疑似ハムバッカー
ネックとミドルの間ではテレキャスのセンター風
ミドルではレスポールのセンター風
ネックとブリッジの間ではリアタップ
ブリッジではモード1同様にリアピックアップ
というレイアウトになります。
「後から別のギターが欲しくなる」という後悔をさせない、万能な相棒です 。
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AZ24S1F

一方、AZ24S1FはアルニコVマグネットを採用したModern Customピックアップを搭載。歪ませても芯が崩れず、Power Tapモードを使えば、シングルコイルの明瞭さとハムバッカーの音圧を両立した、現代的なアンサンブルに埋もれないトーンが得られます。
エフェクターでの音作りを前提にしているなら、ピックアップの選択肢が多いこれらのモデルは非常に強力な武器になりますね。

モード1では一般的な2ハムモデルに近い使用感ですが
ネックとミドルの間、ミドルとブリッジの間のポジションがそれぞれリアとフロントのタップミックスになります。
それぞれ内側と外側のミックスなので若干のサウンド差があり、ミドルとブリッジの間ではテレキャスのセンター風。
ネックとミドルの間ではよりミドルが引き立つような味付けになっています。
モード2ではハムバッカーがパワータップ状態になり、ネックとミドルの間とミドルとブリッジの間がそれぞれ一般的なタップサウンドとなっています。
パワータップはその名の通りパワフルなタップサウンドで、ハムバッカーの太さを残すことで疑似的にP90やジャズマスターのような太いシングル風のサウンドを得る事ができます。
24フレットの開放感。10通りの強力なサウンドで、ロックもメタルも、憧れのソロも思いのままに。
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宿命のライバル比較:
YAMAHA PAC612 vs AZ Standard

10万円前後の「ハイコストパフォーマンス機」を語る上で、避けて通れないのがYAMAHAのPACIFICA PAC612です。どちらも素晴らしい完成度ですが、その「設計思想」と「維持管理」には明確な違いがあります。
| 比較ポイント | YAMAHA PAC612 | Ibanez AZ Standard |
| 主要パーツ | セイモア・ダンカンPU、Wilkinsonブリッジ等 | Ibanezオリジナルパーツ中心 |
| 強み | ブランドパーツの信頼性、汎用パーツによる修理のしやすさ | ローステッドメイプル、ステンレスフレット、多彩な配線 |
| メンテナンス性 | 街の楽器店で代用部品が即手に入る | Ibanez専用部品の取り寄せが必要なケースがある |
PACIFICA 612は、ダンカン製PUなどの「社外製定番パーツ」を贅沢に採用しており、サウンドの説得力はもちろん、万が一の故障時にも汎用品で即修理できる「オープンな設計」が魅力です。
対してAZ Standardは、高い演奏性を実現するために専用設計のオリジナルパーツを多く採用しています。
例えば、断線リスクを抑えた樹脂一体型の「Mono-unitアウトプット・ジャック」。非常に堅牢で接触不良に強い一方、長年の摩耗で寿命を迎えた場合、一般的なジャックでは代用できず、Ibanez(星野楽器)から専用部品を取り寄せる必要があります。
万一部品が廃版になった場合は新たにねじ穴をあけ直して汎用プレートを取り付ける必要があることも念頭に置いておきましょう。
「最新スペックの恩恵をフルに受けるか(AZ)」、それとも「数十年先まで汎用パーツで維持し続けるか(PAC)」という、ギタリストとしてのライフスタイルの選択とも言えます。
PAC612は既にド定番でまわりと被りやすいのに対し、AZ Standardはまだまだ知名度が低いのでみんなと違う選択がしたい場合にピッタリとも言えますよね。
日本のメーカー・ヤマハならではの丁寧な作りで、弾きやすく、飽きのこない優等生なギターです 。
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メリットとデメリット:
購入前に知っておくべき「現実」
AZ Standardは素晴らしいギターですが、10万円を切るためには削られた部分も存在します。
メリット・デメリット一覧
| メリット | デメリット(注意点) |
| 上位機種と共通のネック厚(しっかりした握り) | ノブやスイッチの質感がややプラスチック的 |
| ステンレスフレットでメンテナンス費用を節約 | T106ブリッジのアーミングが少し硬い |
| 10万円以下とは思えないセットアップ精度 | リアのClassic Customはアンプとの相性が出る |
| ロッキング・チューナーで弦交換が爆速 | カラーバリエーションが定番色に偏っている |
特にブリッジのT106は、ボディにプレートがダイレクトに接するため、音の強弱の表現力やレゾナンス(響き)が良いという利点がある反面、激しいアームアップを多用する人には不向きです。
その影響で弾き心地やサウンドはトラッド寄りな傾向がありつつも、よりトラッドで高い精度や「日本製」という所有感を求めるのであれば、HISTORYのStandardシリーズなども比較対象に入ってくるでしょう。
https://gainfomation.net/history-guitar-review/
2026年トップ材無しの硬派な「S2」モデルが登場

2026年のNAMM Showにて、AZ Standardシリーズの新たなバリエーション
「AZ22S2」および「AZ24S2」がお披露目されました。
これまでの「F1(フレイムメイプルトップ)」モデルとは対照的に、トップ材を排したオールブラックカラーの非常に硬派なルックスが特徴です。
「フレイムメイプルの杢目が派手すぎて少し苦手……」と感じていた層には、まさに待望のモデルと言えるでしょう。
AZ22S2

ピックガード付きの伝統的なスタイルをブラックで統一した、よりトラッドで引き締まったルックス。
AZ24S2

24フレットの武骨な機能美を突き詰めた、ストイックなスタイル。
国内でのリリース時期は現時点(2026年2月)では未定ですが、トップ材の廃止や塗装工程の簡略化により、既存モデルよりもさらに手に取りやすい価格設定になるのではないかと予想されます。
今後カラーバリエーションも増えると嬉しいですよね。



よくある質問(Q&A)
Q. AZのネックは「太い」と聞きますが、手が小さくても大丈夫?
A. 「太い」というより「現代的な厚みのCシェイプ」です。Ibanezの極薄Wizardネックに慣れた人には厚く感じますが、Suhrなどのモダンハイエンドに近い握り心地です。丸みがあるおかげで、親指をかけるシェイクハンドでも安定しますよ。
Q. 最初の1本として、AZ22SとAZ24Sどちらがおすすめ?
A. 迷ったら、AZ24S1Fを推します。24フレットまであることで、将来的にどんな曲に挑戦したくなっても対応できますし、Power Tap機能の汎用性は初心者の「音作りの迷い」を解決してくれます。
Q. 録音で使いたいのですが、ノイズはどうですか?
A. ロッキングペグやMono-unitアウトプットジャックなど、電気系統の接触不良を防ぐ工夫がされています。ピックアップ自体のS/N比も良好ですが、より緻密な追い込みをしたいなら、良いモニターヘッドホンでチェックすることをおすすめします。
まとめ:AZ Standardがもたらす「最高の演奏体験」
Ibanez AZ Standardは、単なる「安いAZ」ではありません。
ローステッドメイプル&ステンレスフレット:驚異の耐久性とクリアな音質。
dyna-MIXシステム:1本で10通りのトーンを操る圧倒的汎用性。
Super All Access Neck Joint:ストレスフリーなハイポジションの演奏性。
コストパフォーマンス:10万円以下で現場で戦える「本物の道具」が手に入る。


これからギターを始める人も、サブで使える相棒を探している人も。ぜひ一度、店頭でこの「現代のスタンダード」を手に取ってみてください。
個人的には24フレットでパワータップ付きのAZ24S1Fは守備範囲が広くてサブギターとしてめっちゃアリだなーと思ってます。
「後から別のギターが欲しくなる」という後悔をさせない、万能な相棒です 。
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24フレットの開放感。10通りの強力なサウンドで、ロックもメタルも、憧れのソロも思いのままに。
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