ハンマリングのフレーズを練習しているのに、音がうまく鳴らない。譜面通り弾いてもどこかぎこちない。そんな壁に当たっていないだろうか。
練習初期はハンマリングのコントロールが難しい。これは誰にとっても起こり得る自然な課題だ。
ハンマリングのポイントは二つ。指を“速く”振り下ろすことと、オンタイムで発音させる意識だ。
ハンマリングをコントロールできれば、音の芯が立ち、フレーズに説得力が生まれる。
この記事では、ハンマリングの基本とコツを押さえたうえで、コントロール力を鍛えるエクササイズまで用意した。
ハンマリングをコントロールする事で数段説得力のあるギタリストになれるはずだ。
ハンマリングとは

ハンマリングとはピッキングせず、押弦側の指を素早く落として音を鳴らす奏法。
ピッキングを端折る事で細かいフレーズをよりローコストに演奏できるのが魅力で、開放弦と組み合わせることでスピーディーで音程差の広いフレーズも再現できる。
エレキ、アコギ、は勿論あらゆるジャンルで常用される必修テクニックの一つ。

譜面上だとスラーで音符同士を括った上で上部にHの表記がされるが、場合によってはH表記が省略されスラーのみで記譜される場合もある。
この期に是非習得してほしい。
ハンマリングをうまく鳴らすコツ
ハンマリングを演奏するには前準備として指先の皮を厚くしておく必要がある。
と言っても習慣的に楽器を触っていれば十分な厚さに育っている筈。
今月ギター始めました、指先が痛いです!という人にとっては音を出す事すら難しい奏法だと思うが、簡単なコードストロークなら余裕を持って弾ける、得意なリフやフレーズが1つでもある。という人なら全然問題ない。
さて、早速ハンマリングのポイントを整理していこう。
強さよりも速さ
ハンマリングのコツはとにかく速く目的のフレットに指を振り下ろすことだ。
その上で叩いた弦を強く押さえすぎない事。強く押さえることで弦がベンドされ音が上ずってしまう事がある。
素早く叩いた上で音が伸びる程度の強さで押弦する事を意識しよう。
で、どうやってその速さで弦を叩くのかと言うとPM関節を使って指を動かすことがポイントだ。

PM関節とは、いわゆる第3関節のことで、指の付け根の関節を指す名称だ。
パソコンのタイピングの際にはこのPM関節が大活躍しているので指の動きを観察してみてほしい。
他にもピアノの打鍵、マウスのクリックなど似たような動作があるがハンマリングも同じような身体操作だ。
その上で第1関節と第2関節は軽く曲げた状態で固定。
指がアーチを描くような形のまま弦を叩く。

最初は助走をつけるように高い位置から振り下ろすようなイメージで叩くと鳴りやすいが慣れてくると親指の付け根の筋肉が発達し、短いレンジでも十分な音量で鳴らす事ができるようになるだろう。
フレットの際を狙う
二つ目のコツはフレットの際を狙うことだ。
これはハンマリングに限らずコードを弾く際も、単音のフレーズを弾く際も同様で、フレットの際を押さえる事でより明瞭な音を鳴らす事ができる。
例えば2フレットをハンマリングする際は、指板面のどこでも良いわけではない。
先に良くない例を三つ紹介しよう。
良くない例1.フレットの頂点
フレットの頂点を押さえてしまうと指が弦の振幅域に侵入してしまい、弦振動を妨げてしまう。
結果的に音が伸びずにボワボワと曇ったような音が出てしまう。
また、場所によってはハーモニクスポイントとして機能してしまう場合があり、キンキンとしたノイズを発生させてしまう事もある。

良くない例2.フレットとフレットの間
フレットとフレットの間、つまり指板面の真ん中あたりを押さえた場合は指板面が支点になってしまう事で振幅域がズレてしまう。
よってフレットと弦がこすれてしまいビビりが発生してしまう。

良くない例3.ヘッド側を押さえた場合
更に支点が後退し、フレットと激しくこすれる。
より強くビビりが発生し、弦振動は一瞬で減衰し、ピッチもフラット気味になってしまう。

フレットの際を狙う
演奏したいフレットの際を押さえる事でフレットの頂点が支点として正しく機能する。
フレットの際であれば少なくとも支点となるフレットでのビビりは発生しない。
際を狙ってもビビる場合はトラスロッドや弦高の調整、フレットの擦り合わせや交換によって解消する必要がある。
普段の押弦の場合はピッキングのフォーム改善なども必要になって来るが、楽器本体の調整がバッチリという前提で言えばハンマリングもフレットの際を狙うのが最もクリアに発音され、最もロスなく音が伸びる。

ハンマリングもリズムが9割
ハンマリングが上手くいかない、思った通りのフレーズにならない場合、リズムが甘過ぎるという点が挙げられる。
特にハンマリング習得初期はフレーズのリズムにバッチリ合わせて弾けている人はほとんどいない。
それはハンマリングが含まれるフレーズを演奏する際にハンマリングの直前の音を弾いた事をトリガーにハンマリングをしている事が考えられる。
例えば、0フレット→2フレットハンマリングを8分音符で弾く、というフレーズがあったとしたら
0フレットを弾いた瞬間にハンマリングしてしまっているというパターン。
8分音符で弾くフレーズなのに関わらず、それよりもずっと早いタイミングで音を出してしまうと全く違うフレーズになってしまう。
ピッキングとハンマリングを分離させる
ハンマリングは押弦で発音タイミングも音量も音色も全て決まってしまう。
この押弦の加減をコントロールする事がハンマリングという奏法のキモだ。
とは言え音量や音色のコントロールは一朝一夕で身に付くものではない上に、聴き手に対しても伝わりにくい部分であるため、まずは最も伝わりやすい要素の一つであるリズムを決定付ける発音タイミングのトレーニングをしていこう。
ハンマリングのトレーニング
ハンマリングは性質上、8分音符もしくは16分音符の軽快なフレーズで使用されることが多い奏法であるがゆえに前述のとおりジャストのタイミングで発音する事に意識が向きにくいという課題を抱えている。

そこで4分音符のトレーニングフレーズを用意した。
メトロノームをBPM=80で鳴らして弾いてみよう。
4分音符なので全てクリックと同じタイミングで発音する事になる。
ピッキング→ハンマリング→ピッキング→ハンマリング
と交互に演奏するフレーズになっているため、ピッキングしたと同時にハンマリングという悪癖がある場合はここでクリックに合わせられるように訓練しよう。
BPM=80でもゆっくりに感じるかもしれないが、これが弾けたら今度は70、60と落として弾いてみよう。
BPM=60をジャストで弾けたら今度は90から120まで段階的に上げていこう。
狙ったタイミングでハンマリングする感覚が身に付くはずだ。
機材でサポート

エレキギターやエレアコではエフェクターやアンプの設定でハンマリングの鳴りをサポートさせる事が出来る。
まずクリーンな状態よりも歪んでいた方がハンマリングが鳴りやすい。
ジャズコーラスのようなドクリーンなアンプに対してはオーバードライブやディストーションで軽くクランチさせるだけでも弾きやすさが増すはずだ。
クリーン目なフレーズでもわずかに歪ませることで粒立ちが良くなる場合があるので試して見て欲しい。
また、コンプレッサーやEQ補正でもサポートできる。
コンプレッサーを使う事で細かなニュアンスも音量感をもって伝える事が出来るし
EQは中域を盛ることで音をぐっと前に押し出したり、高域を足す事でアタック感を出したり、低域を削ることでぼんやりしがちな部分をカットできる。
コンプレッサーやEQはハンマリング以外にも効果的な機材なのでぜひ使ってみて欲しい。
まとめ
ハンマリングの要点は3つに集約できる。
速さ>強さ:PM関節を使い、目的フレットへ“速く”落とす。ただし力み過ぎてピッチを上ずらせない。
当てる場所:常にフレットの“際”を狙う。真ん中や手前に寄るとビビりやピッチが甘くなる原因になる。
リズムが9割:発音タイミングは符割り通りに。ピッキング直後の“つられハンマリング”の悪癖を断つ。
適宜エフェクターなどを使い、出音をサポート。
紹介した練習フレーズではBPM=80で「ピッキング→ハンマリング」を交互に、タイミングをクリックに一致させる。
安定したら70→60へ落として精度を上げ、次に90→120と段階的に上げる。ここで“狙ったタイミングに鳴らす”感覚を養う。
ハンマリングはピッキングの負担を減らしながらも早いパッセージに対応できる必須テクニックだ。ゆえに細かい点がおざなりになりがちな傾向がある。
しかし、この記事で語ったポイントを押さえる事でより説得力を持ってハンマリングが出来るようになるはずだ。

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