「普通」でいようとすることが、上達を遅らせている?
ギターがうまくならない。続かない。楽しくない──。
そんな悩みを感じている人に、ぜひ考えてほしいことがある。
「普通になろう」としていないか?
「みんなと同じようにFコードが押さえられるようにならなきゃ」
「速弾きできなきゃ恥ずかしい」
「センスがないならやめたほうがいいのかも」
こうした考え方の背景には、「普通のギタリスト像」に自分を無理に当てはめようとする心理がある。
しかし──
ギターは、本来もっと自由で、もっと“あなたらしく”あっていいものだ。
この記事では、心理学的な視点を踏まえながら、“普通”という呪縛から解放されて、自分らしいギター上達の道を歩むヒントを解説していく。
なぜ人は「普通」に合わせようとするのか?
私たちは子どもの頃から、「みんなと仲良く」「協調性を持って行動すること」が大事だと教えられて育ってきた。
これ自体は間違っていない。社会の中でうまく生きていくには必要な価値観だ。
しかしこの“普通”を学ぶプロセスは、心理学では「社会化」と呼ばれている。
親、学校、テレビ、そしてSNS──あらゆるところから、「こうあるべきだよ」というメッセージを無意識に刷り込まれている。
この結果、知らず知らずのうちに私たちは「自分が普通かどうか」を常に他人と比べて確認するようになる。これが社会的比較理論という心理メカニズムだ。
「他の初心者は1年でライブ出てるのに…」
「SNSの投稿見てると、みんなキラキラしてる」
「自分は何してもダメな気がする」
そう感じたことがあるなら、それはあなたが“普通”という幻想に飲まれているサインかもしれない。
比較しすぎると、ギターがつまらなくなる
SNSは他人の“最高の瞬間”ばかりが並ぶ。
でも、自分の現実は違う。
指が痛くてコードが押さえられない
チューニングが合わない
覚えたはずのフレーズが弾けない
そうした「リアルな自分」と「SNS上の理想像」のギャップが広がると、自信をなくし、やる気が失われてしまう。
これはまさに自己肯定感の低下という状態。
つまり、ギターそのものが楽しくなくなってしまう。
「自分を偽ること」によるストレス──認知的不協和とは?
本当は「好きな曲をマイペースに弾きたい」と思っているのに、「周りがそうしてるから」と無理して理論書を読む。
こんなとき、あなたの中では認知的不協和という心のズレが起きている。
この不協和を解消するために、人はときに“本当の気持ち”を捨ててしまう。
「本音なんて無意味だ」
「これが正しいって誰かが言ってたし」
「みんなと違う自分の感覚が間違ってるんだ」
こうして少しずつ、自分の“異端性”を封じ込めていくことになる。
異端こそが、あなたの武器になる
だけど、本当にそれでいいのか?
むしろ、ギターの世界では「変わってる」「ちょっとおかしい」ことが、最大の武器になる。
B’zの松本孝弘さん、Charさん、布袋寅泰さん──誰もが「普通」ではない個性を武器にしてきた。
変であること=創造性の源泉
この感覚を見失ってしまうと、ギターがただの「作業」になってしまう。
「違和感」に気づける人は、成長が早い
「なんかこのやり方、しっくりこない」
「この練習法、意味あるのかな?」
こうした違和感に敏感な人は、伸びる。
それは、“みんなと同じ”ではなく、“自分だけの正解”を探しているから。
違和感を活かす3ステップ
ステップ①|違和感を見つける
自分のテンションが下がる瞬間を意識する
誰かの言葉に反発を感じたときに注目する
ステップ②|記録する
スマホのメモでも日記でもいい。
「その時、自分が何を感じていたか」を書き残すことで、自分の価値観が見えてくる。
例:
「今日のバンド練習、なんか疲れた。たぶん話しづらい人がいたから」
「先生に“もっと理論を勉強しなさい”って言われたけど、納得いかなかった」
ステップ③|「なぜ?」を繰り返す
「なぜ疲れたんだろう?」
「なぜ納得いかなかった?」
「自分が大切にしたいことは何?」
この自己対話を繰り返すことで、自分だけの「価値のある上達スタイル」が浮かび上がってくる。
実際に“変”で成果を出している人の例
譜面を一切読まず、耳コピとフィーリングでセッション力が爆上がりした人
毎日練習動画をSNSにアップして、フォロワーからアドバイスを受け続けた結果、半年で別人に
練習は苦手だけど、機材オタクに特化して“音作り職人”として信頼を得ている人
共通しているのは、「普通のやり方」にこだわらなかったということ。
かといってこれらをそのまま真似しろって訳じゃないから注意。
上達より「続けること」のほうが大事な理由
ギターに限らず、何事も上手くなるには“続けること”が必要。
そして続けるためには、“楽しめること”が一番の武器になる。
つまり、
普通を目指す → 苦しい → 挫折
変を活かす → 楽しい → 続く → 上手くなる
という、逆転現象が起きる。
まとめ:あなたの“変”は、ギターにおける最大の武器
「普通に合わせる」ことは、時にあなたらしさを失わせる
SNSは「社会的比較」の温床。適度な距離を持とう
違和感はあなたの価値観を教えてくれるサイン
「変わっている」ことは恥ではなく、最大の強み
自分らしく弾くことが、長く楽しく続ける秘訣