ギター初心者向け

ギター上達は“寄り道”が近道?飽きっぽくても上達する理由と続け方のコツ

「続かない…」と悩むあなたへ

ギターを始めたけど、続かない。これ、よくある話だ。YouTubeで初心者講座を観ながら毎日練習するぞ!と思ったのに、気づけば数日でギターに触らなくなっていた。そんな経験、あなたにもあるんじゃないだろうか。

「やっぱり自分には向いてなかったのかも…」
「飽きっぽい性格だから、ギターも続かないんだな…」

そうやって自分を責めたくなる気持ち、よく分かる。でもちょっと待ってほしい。
それ、本当に“悪いこと”なんだろうか?

実は、「あれこれやりたくなる性格」は、ギター上達においてはかなりポジティブな特徴でもある。
むしろ、ストイックな一本気よりも“広く浅く”を繰り返すタイプの方が、長い目で見ると深く根を張っていくケースも多い。

今回の記事では、「飽きっぽい」「すぐ他のことに気が移る」そんな自分を否定してきたギター初心者の人にこそ知ってほしい、“寄り道型”ギター上達法を紹介する。

色々やるのは脳にとって最高のトレーニング

「あれこれ手を出して、結局どれも中途半端になってしまうんです…」
ギター教室の体験に来る人から、こんな相談を受けることがある。でもその人の話をよく聞くと、映像編集、DAW、作曲、ベース、ドラム…とにかく色んなことに手を出してる。これ、実はめちゃくちゃ良い傾向だ。

脳科学の研究でも、いろんな趣味に興味を持つ人ほど、認知機能が高く、長期的に見て“成長力”があるということが分かってきている。

2022年に発表された研究によれば、高齢者を対象にした追跡調査で「趣味が多い人ほど認知症になりにくい」という結果が出ている。特に40代~60代で複数の趣味を持っている人は、リスクが最大で22%も低下していた。

つまり──
ギターやって、飽きて、DAWやって、またギターに戻ってきて、今度はエフェクターにハマって…というような“回遊魚的な楽しみ方”が、脳にとっては最高の刺激になるということだ。

趣味が多い人は“心理的に豊か”な人生を送っている

最近の心理学では、「心理的な豊かさ」という概念が注目されている。これは「楽しい」や「充実してる」とは少し違っていて、「様々な経験を通して、物事を多角的に見られる状態」のことを指す。

ギターに当てはめると、例えば…

  • コード弾きだけじゃなくて、リードプレイにも挑戦した

  • エレキもアコギもどっちも触ってみた

  • 作曲もしてみたけど、やっぱりコピーが楽しいと気づいた

  • ギターではなく、最近はアンプの違いにハマってる

──こういった“試行錯誤の数”が多い人ほど、結果的に「自分にとって心地よいスタイル」が見つかる。

「心理的に豊かな人」は、音楽を多面的に楽しめる。そしてその豊かさは、プレイの幅や音楽の理解にもつながってくる。音の捉え方が深くなるし、機材選びのセンスも変わってくる。

「やる気」は最初しか持たない。上達のカギは“好奇心”

ギターを始める時の「やる気」は、たしかに爆発力がある。でも、残念ながらそれは長続きしない。1週間もすればモチベーションは落ちてくるし、忙しい日があれば簡単に消える。

そこで重要になるのが「好奇心」だ。

  • あの曲のイントロ、どうやって弾いてるんだろう?

  • ピックの厚さ変えたら、音がどう変わるの?

  • このエフェクター、なんか良さそうだな。踏んでみたい!

こういった小さな「気になる」が、じつはギター継続の最強エネルギー。無理に“真面目な練習”をするよりも、自然と「弾きたくなる」感覚を大事にした方が結果的に上手くなれる。

“寄り道”型ギター練習こそが長く続く

ギターが続かない人の多くは、「ちゃんと練習しなきゃ」「理論も覚えなきゃ」と完璧を求めすぎて疲れてしまう。

でも、ギターってもっと“遊び”の要素があっていい。

たとえば…

  • 音作りに1時間かけて、最後にちょっとだけ弾く

  • 機材を調べて満足して、今日は弾かない

  • YouTubeで上手い人の演奏を見て「すげぇ…」と思うだけ

これは全部“立派な練習”になり得る。
インプットを蓄積し、モチベーションを貯める期間だ。

結果的に、「久しぶりに弾いてみたら意外と指が動いた」なんてことがよくある。

他の趣味が、ギターの上達を加速させる?

ギターだけやってるよりも、実は“他の趣味”がギター上達を後押ししてくれることがある。

たとえば…

  • 格闘技 → 体の軸や動作のキレが改善 → ピッキングが安定

  • キャンプ → 音楽との親和性高い → ギターが“使える趣味”に

  • 写真 → “見せ方”の感覚がつく → SNSでの発信力向上

  • サウナ → 集中力と回復力UP → 練習の質が変わる

音楽はライフスタイルの中に混ざることで“意味のある趣味”になる。
ギター、楽器はその最たる存在だと思う。

飽きっぽい人のギター上達戦略5選

以下は、筆者が実際に効果を感じている「続ける工夫」だ。

  1. 練習メニューを日替わりで変える
     スケール練、コードチェンジ、耳コピ、音作りなど、テーマを変えることで飽きない。

  2. 「ジャンル月間」を設定する
     今月はブルース、来月はJ-POP、再来月はジャズ風…と期間で区切って遊ぶ。

  3. SNSで「ギター◯日目」投稿
     内容はゆるくてOK。小さな反応がモチベーションにつながる。

  4. 練習に“ご褒美タイム”を入れる
     20分基礎練習+10分は好きな曲だけ弾く、といったルールも効果的。

  5. ギター以外の趣味と“掛け合わせる”
     アウトドア+ギター、映像編集+ギター、ゲーム実況BGM制作など。

まとめ|飽きっぽさは“武器”になる

ギターは気づいたら上手くなっているような“緩やかな成長型”の楽器だ。毎日やらなきゃ…と気を張る必要はない。

「あれこれ手を出してもいい」
「気が乗らない日は休んでいい」
「また戻ってこれれば、それでいい」

このくらいゆるく構えている方が、長くギターと付き合える。

あなたの“寄り道”には意味がある。色々な角度から音楽を楽しむそのスタンスが、結果的に「深いギター愛」につながるはずだ。

焦らず、比べず、気まぐれに続けてみよう。
そうすれば、きっと“上手くなってる自分”に出会える日が来る。

ABOUT ME
吉田寛定
新潟市在住のギターインストラクター。 趣味ギタリストに向けた“ちょうどいい温度感”の発信を心がけています。 新潟市江南区のギター教室|7丁目ギター教室にて無料体験レッスン受付中。亀田・横越エリアの方はぜひどうぞ。