その「パリパリ音」、諦めるのはまだ早い。ラインを「空気」に変える方程式。

どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。

自宅の練習やスタジオで、エレアコをアンプやスピーカーに繋いだ瞬間、「プラスチックみたいな硬い音」になって萎えた経験はありませんか?

生音はあんなに美しいのに、アンプを通すと急に味気なく……この「ガッカリ感」はギタリスト共通の悩みです。

結論から言うと、マルチエフェクターで適切に加工すれば、ライン接続でもの生音っぽい音作りが可能です。

この記事を読むことで、マルチエフェクターでのエレアコの音作りに対する考え方が学べます。

すぐに試せる手法ばかりですので是非実践までして貰えたらなと思います。

ゲイン・アゲ美
ゲイン・アゲ美
エレアコのライン音って、どうしても「パリッ」としたピエゾ臭が鼻につくよね。マルチでどこまで補正できるのかな。

アド・リブ代
アド・リブ代
そうね。生音のあの「ふくよかな空気感」が消えちゃうのは寂しいわ。でも、やり方次第で色気は取り戻せるはずよ。

モダン・テク子
モダン・テク子
要は周波数特性とダイナミクスの制御だ。ピエゾの速すぎる立ち上がりをどう処理し、失われた倍音をどう付加するか。論理的に詰めれば答えは出る。

エレアコ音作りの土台:必須の「4大工程」

ライン特有の不自然さを解消するには、以下の4つのセクションを順番に繋ぐのがセオリーです。これは「音を作る」というより、「ラインで失われた情報を復元する」作業に近いと言えます。

1. プリアンプとIR:『箱鳴り感』を付加する

マルチエフェクター内の味付けの無いプリアンプ「TRANSPARENT」でゲインを上げて音を太くしたり
アコースティックプリアンプエフェクト「Acoustic Resonance」や、アコギ専用のIR(インパルス・レスポンス)を活用しましょう。

ピエゾピックアップは弦の振動を直接拾うため、ボディの共鳴(箱鳴り)が含まれていません。IRはこの「箱の響き」をデータとして足し戻す技術です。これを通すだけで、それっぽい倍音が付加され、聴感上の厚みと奥行きが劇的に改善されます。

2. コンプレッサー:ピッキングの『暴れ』を整音する

エレアコにおいてコンプは「潰す」ためではなく、「音をまとめる」ために使います。

アコギはピッキングによるダイナミクスが激しいため、ラインだと耳に突き刺さるピークが発生しやすいのです。アタックタイムを遅め(35ms〜85ms程度)に設定し、ピッキングの瞬間の勢いを残しつつ、後続のサステインを自然に持ち上げるのがプロの隠し味です。

3. EQ(イコライザー):ピエゾ臭を『削ぎ落とす』

「ライン臭さ」の正体は、特定の中音域にあります。

一般的に、400Hz〜1kHz(特に700Hz付近)をカットすることで、耳障りな「パリパリ・モコモコ」した成分が整理されます。これを「ミッド・スクープ」と呼びます。不要な帯域を引くことで、相対的に高域の煌めきと低域の太さが強調され、生音に近いバランスになります。

4. リバーブ:ラインの砂漠に『潤い』を

シールドを通った音は、部屋の反射音がない「完全に乾いた音」です。

「Hall」や「Room」タイプのリバーブを薄くかけることで、空間的なプレゼンスを付加します。かけすぎは禁物ですが、存在を感じるか感じないか程度の残響が、聴き手に安心感を与えます。

接続の順番

接続順は
プリアンプ→コンプ→EQ→リバーブ
を基本にしつつ、曲中でブーストする場合はEQの後にブースターか別のEQをセット
もしくは別のパッチを作って音色を切り替える使い方もアリですね。

ゲイン・アゲ美
ゲイン・アゲ美
なるほど、まずはEQで「嫌な音」を削ってから、IRやリバーブで「良い響き」を足していくんだね。

モダン・テク子
モダン・テク子
その通り。特にパッシブピックアップを使っている場合は、入力インピーダンスにも注意しろ。マルチの入力が「1MΩ」以上でないと、ローエンドがスカスカになるぞ。

ピエゾ(パッシブ)とプリアンプ内蔵(アクティブ)の違い

ギター側の仕様によって、マルチ側での「足し算・引き算」の比率が変わります。

仕様ギターの特徴マルチエフェクターでの役割
パッシブ電池なし。出力が弱く、音が細くなりやすい。「増幅と肉付け」:プリアンプで信号を太くし、IRでボディ感をゼロから作る。
アクティブ電池あり。既に音が整っているが、個性が強い。「補正と空間」:ギター側のEQで足りない部分を微調整し、空間系で仕上げる。

アクティブプリアンプ搭載機の場合、ギター側で低域を上げすぎると、マルチ側でコンプをかけた際に音が飽和してボワつきやすくなるので、「ギター側のEQはフラット、マルチ側で追い込む」のが失敗しないコツです。

シチュエーション別の調整

ここまでを踏まえつつ、場面によって調整を加える事でより目的に合致した音色に近づける事が出来ます。

バッキング(伴奏):歌を邪魔しない「隙間」を作る

ストロークがメインなら、EQを「ドンシャリ」気味にします。ボーカルが主役となる中音域を大胆にカットし、コードの分離感を高めます。これにより、アンサンブルの中でリズムが「クッキリ」と聞こえるようになります。
また、あえてピエゾっぽさを残すアプローチもよく用いられます。
曲の方向性や役割などに応じてピエゾ音も選択肢の中に入れておく、

リードパート:アンサンブルを「突き抜ける」

ソロを弾く際は、逆に中音域をブースト、もしくは低域と高域をカットします。グラフィックEQをブースターとして使い、帯域を調整する事で、音量を上げずとも立ち上がりが強調されるため、音が前に飛んできます

ソロギター(独奏):一本で音楽を「奏でる」

ギター一本ですべてを表現する場合、ベース音から高域のハーモニクスまで、ワイドレンジな音作りが求められます。コンプは「小さな音を持ち上げる」設定にし、リバーブは深めに。1本でも壮大な世界観が作れるよう、高品質なIRを贅沢に使いましょう。
アンサンブルでは調和が求められますが、ソロギターでは気持ち良さが正義です。

アド・リブ代
アド・リブ代
一人で弾くときは深めのリバーブに包まれたいけど、バンドだと意外と「少し硬い音」の方がリズムが伝わって気持ちよかったりするのよね。

ゲイン・アゲ美
ゲイン・アゲ美
シチュエーションに合わせてパッチを切り替えられるのが、マルチエフェクターの最大の強みだね。

よくある質問

Q. アコギ専用じゃないエレキ用のマルチでも大丈夫?

A. 基本的には大丈夫です。最近のマルチなら「Acoustic Sim」や「マイクプリアンプ」のモデリングが入っています。ただし、アコギ専用のIR(ボディ鳴りデータ)を読み込める機種(GT-1000COREやHX Stompなど)を使うと、クオリティは別次元に上がります。

IRのデータは以下のサイトなどで手に入りますので是非お試しください。
https://www.acousticir.ovh/rubrique3.html

Q. EQで削るべき「嫌な音」がどこか分かりません。

A. EQのQ幅を狭くして、特定の帯域を思い切りブーストした状態で弾いてみてください。耳を塞ぎたくなるような「不快なポイント」が見つかったら、そこがカットすべき帯域、ピエゾ臭さの原因です。大抵は700Hz〜800Hz付近に潜んでいます。

まとめ

マルチエフェクターでのエレアコの音作りは、以下の3点を意識するだけで劇的に変わります。

  • 不要な中域をEQで「引き算」する(ピエゾ臭の除去)

  • IRやプリアンプで箱鳴りを「足し算」する(ボディ感の復元)

  • コンプとリバーブで「空気感」を整える(仕上げ)

「ラインだから仕方ない」と諦める前に、ぜひマルチの中にあるEQとコンプを本気でいじってみてください。あなたのギターから、驚くほど生々しく、色気のある音が溢れ出すはずです。

あなたのギターライフが、より豊かで艶やかなものになりますように!

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アコースティック用のプリアンプは収録されてないものの、クリーンブースターやクリーン系アンプで代用も出来なくはない。
エレアコはスイッチの踏みかえが無い事も多い為、この小さな筐体1台で済むなら非常に楽だし価格も手ごろ。音も結構良いのでエレアコ用に1台導入しても良いかも。

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ABOUT ME
吉田寛定
新潟市在住のギターインストラクター。 趣味ギタリストに向けた“ちょうどいい温度感”の発信を心がけています。 新潟市江南区のギター教室|7丁目ギター教室にて無料体験レッスン受付中。亀田・横越エリアの方はぜひどうぞ。
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