エフェクターレビュー

【2025年版】BOSS CE-5は今でも買いか?定番コーラスを正直レビュー

ギターエフェクターの中でも、導入タイミングが難しいジャンル──それはコーラスかもしれない。

「必要性がピンとこない」
「派手さがないから後回し」
そう思っている人も少なくないが、実際に一度使ってみるとその存在感に驚かされるのがBOSS CE-5 Chorus Ensembleだ。

このペダルは、地味だけど強い。目立たないけれど頼れる。そんな“縁の下の力持ち”タイプのコーラスペダルであり、今なお多くのプレイヤーに支持されている。

ただし、その一方で、発売から30年以上が経過していることもあり、課題も見え隠れしている

この記事では、CE-5の「今でも使われる理由」と「今後への期待」の両面にフォーカスしながら、その実力を丁寧に掘り下げていく。

CE-5とは?──BOSSらしい堅実なコーラスペダル

1991年に登場したCE-5は、BOSSの長いモジュレーション系エフェクターの歴史の中でも、比較的「実用的な方向に振られたモデル」だ。

派手さやクセの強さではなく、どんなジャンルや機材構成にも対応しやすい“スタンダードなコーラス”としての役割を担ってきた。

特に現行モデルはステレオ対応で、透明感がありBOSSらしい輪郭のある音作りが特徴だ。

どんな場面でも使える「汎用性の高さ」

CE-5の魅力は何より“バンドアンサンブルに自然に馴染む”サウンド。

薄くかけておけばクリーンのアルペジオが立体的になり、空間系としての効果をしっかり発揮する。ディレイやリバーブと併用してもモコつかないし、かといって存在感が消えることもない。

これは中域がきちんと残りつつも、邪魔にならない帯域設計がなされているからこそ。

加えて、フィルターでコーラスのかかる帯域を調整できるのも大きな強み。エフェクト音に不要な低域や高域が混じるのを防ぎ、ミックス全体のバランスを崩さずに使える。

これにより、「何となくエフェクトを踏んで音が汚くなった」という失敗が激減する。これはライブやレコーディング現場で安心して使える理由の一つだ。

歪みにもクリーンにも使える「安定感」

CE-5はクリーンだけでなく、歪みサウンドにも相性がいい

特に深めの設定にすれば、ディストーションと重ねても破綻しにくく、ダークで雰囲気のある“揺れ”を加えることができる。RATEを絞り、DEPTHを強めれば、アンビエントやポストロック的な音作りにも使える。

あくまで“現場基準での安定感”を重視した設計になっているため、さまざまなジャンル・音作りに応用できる懐の深さがある。

信頼性と入手性

BOSS製品らしく、CE-5は堅牢で壊れにくい。踏みやすさやサイズ感も含め、ボードに組み込みやすい設計で、トラブルも少ない上に新品なら5年間の保証が付いてくるから安心だ。

さらに新品・中古ともに流通量が多く、補修情報やレビューが豊富というのも初心者~中級者にとっては大きな安心材料になる。

それでも感じる“課題”──新しさへの渇望

ここまではCE-5の長所を挙げてきたが、一方で課題もある。

① “飛び道具”にはなれない

CE-5は「自然なコーラス」であるがゆえに、エフェクティブな使い方をしたい人には物足りない

たとえばElectro-Harmonix Small Cloneのような太く暴れるサウンドや、CE-2Wのようなビブラートモードを持つモデルの方が“面白さ”はある。CE-5は洗練されすぎていて、あくまで実直な音に終始する傾向がある

② フィルターの操作が難しいと感じる人も

LOW/HIGHの2バンドFILTERはCE-5最大の魅力だが、裏を返せばツマミが多くて難しそう、と感じてしまう人もいる

「細かく調整したい人」には嬉しいが、「簡単に良い音が出てほしい人」には、むしろハードルになる可能性もある。直感操作を求めるならCH-1やCE-2Wの方が向いているかもしれない。

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③ さすがに“古さ”が否めない

BOSSのディレイ(DD-8)やリバーブ(RV-6)には、最新機種としてのアップデートが入っている。

しかしCEシリーズはここ十数年で新しい製品が出ておらず、CE-5も1991年発売のままアップデートなし。CE-2Wは名機の復刻だが、新しい“提案”ではない

“最新のモジュレーションとしてのワクワク感”は、CE-5にはもうない。

BOSSファンとして、そろそろ「次」が欲しい

BOSSの機材は実直で信頼できる。でも、だからこそ次のCEシリーズの展開に期待したい。

  • 波形の選択ができるLFO

  • あえてのアナログ回路への回帰

  • デジタルモデリングによるマルチタイプ選択

今の時代、こういった仕様は全く珍しくないし、BOSSがやれば品質と堅牢性の両立もできるはず

CE-5の完成度は高い。でも、「これが最新です」と言うには少し寂しいのが現実だ。

CE-5は“今でも使える”

CE-5は、今でもライブ・宅録・練習など、あらゆる場面で安心して使えるコーラスだ。

  • クリーンでも歪みでも扱いやすい

  • ミックスで埋もれない

  • フィルターで調整が効く

  • BOSS品質で堅牢&入手性が高い

BOSS ( ボス ) / CE-5

BOSS ( ボス ) / CE-5

ただし、モダンな機能性や飛び道具としての面白さは希薄
そろそろBOSSの新しいコーラスのビジョンを見せてほしい──それが、長年CEシリーズを使ってきたユーザーとしての素直な願いだ。

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吉田寛定
新潟市在住のギターインストラクター。 趣味ギタリストに向けた“ちょうどいい温度感”の発信を心がけています。 新潟市江南区のギター教室|7丁目ギター教室にて無料体験レッスン受付中。亀田・横越エリアの方はぜひどうぞ。