【BOSS GX-1】サウンドサンプルあり|実戦で使える「5つの隠し味」設定術

GX-1は案外かゆい所にも手が届く
どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。
最新のマルチエフェクター「GX-1」を手に入れて、家では最高の音だと思っていたのに、いざバンドや宅録で鳴らすと音がボヤけたり、逆に耳に刺さったり…。結局、操作が複雑すぎてプリセット周回に戻ってしまう。そんな経験、ありませんか?
結論から言うと、マルチの音作りを「実戦級」に引き上げるには、実戦的な視点に基づいた「隠し味」の設定が不可欠です。
そこでギター歴18年、初心者の頃からBOSSマルチを愛用している筆者が実戦で使える設定をご紹介します。
この記事を読めば、GX-1(もちろんGX-100やGTシリーズでも応用可)を使って、ワンランク上の解像度とアンサンブルでの存在感を手に入れることができますよ。
正直地味目な手法ばかりではありますが、様々なエフェクトで応用できる内容なんじゃないかなーと思っているので、簡単なサウンドサンプルと共に楽しんでもらえれば幸いです。



歪みエフェクトの「DIRECT MIX」で芯を確保する

深い歪み(ディストーションやハイゲインアンプ)を作ると、波形が激しくクリッピングされるため、ピッキングの瞬間の鋭い立ち上がりが失われがちです。
ひとりで弾いている分には気になりませんが、これが音源やアンサンブル内になると「音が引っ込む」「輪郭がボヤける」原因になります。
これを解決するのが、歪み系エフェクト内にある「DIRECT」パラメーターです。
DIRECT
歪んだ音の裏側に、あえて加工されていない生音(ダイレクト音)をブレンドします。
歪みの壁を突き抜けて、ピッキングの「カチッ」としたアタック成分を聴き手に届ける事が出来ます。
また、完全に歪みきった信号はダイナミクスが平坦になりますが、ダイレクト音を混ぜることで、入力信号の強弱に対する応答が改善され、解像度が向上します。
サウンドサンプル
オーバードライブ
軽く歪ませた際に少しDIRECTを混ぜる事でよりダイナミクスを感じながら弾く事が出来ます。
出音の差は僅かですが、実際に弾いてみるとその差を感じる事が出来ます。
オーバードライブダイレクトミックス無し

オーバードライブダイレクトミックス

ディストーション
強めに歪ませた際はより差が顕著に表れます。潰れがちなアタック感を原音でカバーする事でよりザクっとした音に仕上がります。
その反面迫力が損なわれる場合があるためバランスを見る必要があります。
ディストーションダイレクトミックス無し

ディストーションダイレクトミックス
「GLOBAL EQ」のローカットでアンサンブルを整理

自宅のヘッドホンで気持ちよく聞こえている低音は、バンドアンサンブルではベースやドラムのキックと衝突し、マスキング効果によってお互いの音を消し去ってしまいます。
そこで、喧嘩しがちな低域をあらかじめ削っておくことでアンサンブルのボヤケ感を緩和し、結果的にギターの抜け感も改善させる事が出来ます。
設定

FX1~3のパラメトリックEQでも設定できますが、「GLOBAL EQ」を使う事で貴重なエフェクトブロックを温存する事が出来ます。
[MENU]から「GLOBAL EQ」を開き、LOW CUTを160Hz〜200Hz付近まで大胆に設定します。
ギター単体では少し物足りなく感じますが、バンドで合わせた瞬間に「自分の音がクッキリ浮き上がる」のを実感できます。
「GLOBAL EQ」で設定してしまえば各メモリー(パッチ)ごとに設定し直す必要がなく、会場の音響特性に合わせて一括で調整できるため、リハーサル時間の短縮にも繋がります。
サウンドサンプル
ローカットなし
ローカット


「Rate 0のコーラス」で揺らさず厚みを出す

「音を太くしたいけど、コーラスのウネウネした揺れは曲に合わない」という時に使える裏技です。
どんなサウンド、どんな場面でも味変感覚で試せる汎用性の高い手法です。
モジュレーションの小技
CHORUSや、SCRIPT PHなどのモジュレーション系を選択し、RATE(速度)を「0」に設定します。
または、FX3ブロックでのみ選択可能な「OVERTONE」のDETUNE(デチューン)機能を活用します。
音程を周期的に揺らさずに、わずかなピッチのズレや遅延(ディレイ)を加えることで、2人で同時に弾いているようなダブリング風の効果が得られます。
サウンドサンプル
アンプセクションの後にモジュレーションエフェクトを配置
CHORUS

Rate…0
DEPTH…お好み
Pre-Delay…0msc

DEPTH…0
Pre-Delay…30mscくらい
OVERTONE

LOWR…0
UPPER…0
DETUNE…お好み
「FIXED WAH」を薄っすら混ぜて中域にフックを作る

「鼻詰まりサウンド」を作るFIXED WAHですが 、これを隠し味として使うことで、ソロ時の抜け感を劇的に改善できます。
設定

FXブロックで「FIXED WAH」を選択し、DIRECTを最大(100)に設定した上で、エフェクトのLEVELを薄っすら(10〜20程度)上げていきます 。
原音の太さをキープしたまま、特定の周波数に独特な癖と粘りが加わります。
エフェクト音をがっつり混ぜてしまうと、あからさまにB’zの松本氏のような「あの音」っぽくなってしまうため、特にそこを狙う訳でなければあくまで「隠し味」としてのバランスが重要です 。
GX-1で新たに収録されたエフェクトなのでこの機に使ってみてください。
サウンドサンプル
チェインの先頭にFIXED WAHを配置
フィクスドワウなし
フィクスドワウあり
ダイナミクス系でピッキングニュアンスを適正化

演奏内容をしっかり伝えるためには、ダイナミクスのコントロールや補正が欠かせません。
コンプレッサー、リミッター、エンハンサーを使い分けることで、ダイナミクスを補正し、狙ったニュアンスを適正な音量で再現します。
| エフェクト | 役割 | 効果 |
| COMPRESSOR | 大きな音を圧縮し小さな音を増幅 | 音量を均一化し、歪ませずにサスティンを得る |
| LIMITER | 設定以上の大入力を抑える | 歪みを防ぎ、ダイナミクスを安定させる |
| ENHANCER | 入力の立ち上がり(高域・低域)を強調 | 弱く弾いた際に失われがちな音の輪郭をはっきりさせる |
カッティングにはCOMP、コードストロークにはLIMITER、繊細な指弾きにはENHANCERを割り当てるなど、シーンに合わせたサウンドコントロールが可能です 。
サウンドサンプル
ダイナミクス系エフェクトをチェインの先頭に置いています。
コンプレッサー

リミッター

エンハンサー



よくある質問
Q: 接続順を変えたい時はどうすればいい?
A: [EDIT]ボタンからエフェクト・チェイン画面に入り、[1]つまみ(SELECT)を押すことでブロックを自由に移動できます。空間系を歪みの前に置いて「シューゲイザー風」にするなど、実験を楽しんでください。
Q: 工場出荷時の音(プリセット)と比べて、どっちが正解?
A: プリセットは「そのエフェクトの特性を強調する」ために派手な設定になりがちです。実戦(スタジオやライブ)では、エフェクトの量を適正にしたり、今回紹介したような「隠し味」の設定を加えて作り込んだ自作パッチの方が、結果的に扱いやすい音になります。
まとめ:GX-1を使いこなすための「5つの隠し味」
DIRECT MIX: 10〜20%混ぜて、歪みの壁に「芯」を通す。
GLOBAL EQ: 160Hz付近をカットし、アンサンブルでの「席」を確保する。
Rate 0のコーラス: 揺らさずに音に「厚み」と「広がり」を与える。
FIXED WAH:特定の帯域を盛った音を薄っすら混ぜることで独特なクセを付与。
ダイナミクス系: ダイナミクスを適切に補正する事でニュアンスをしっかり届ける。
マルチエフェクターは、機能を「全部使う」のではなく、「必要な部分を精密に研磨する」ことで、最高のマシンに化けます。ぜひ、次回のスタジオ練習で試してみてください。








